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模擬戦!神速vs旋風


ダンジョン攻略の前に……。


ヤーベの街の冒険者ギルドの地下訓練所。

ここで二人の冒険者が向かい合っている。


金髪でアンバーの瞳の貴公子[神速]のシュヒル。

ミスリルの鎧。カイトシールド。

そしてバスタードソードの魔法剣。


185cmの長身で盾を構える姿にはスキがない。


対するは、赤い騎士服の女。

紅のマント。真紅の頭髪。

薄く光る金の仮面。

[赤い旋風]アリエッタ

身長は160cm前後ながらプロポーションは美しい。

得物はレイピア。予備に細身のサーベル。

どちらも魔剣。


前腕には目立たないが籠手を嵌めている。


二人は向かい合うと礼をして、一旦距離をとった。

筋肉無精髭ギルドマスターのダーシュが合図をすると、二人は一気に距離を詰めた!


赤い旋風は切り合う直前に加速する。

シュヒルは盾で受けながす!

交錯し、アリエッタは反転すると低い姿勢からレイピアを突き出す!


シュヒルは身を捩って避ける


──神速の名がなくぜ


シュヒルは苦笑いする。

アリエッタの速度はシュヒルを上回る。

どういう理屈かアリエッタはただの身体能力以外に、速度に緩急を出している。

突然加速したり減速したりスキルか魔法か分からないが、戦い方が直線的と見せ掛けて随分と変則的だ。


シュヒルは唯一勝る経験と勘で、何とか均衡を保っている


──こいつも化物だな……


いつしかアリエッタは両手に剣を持ち、ヒット&アウェイを繰り返しシュヒルを翻弄する


──だが……戦えない訳ではない


シュヒルはアリエッタの攻撃に合わせて盾でガードし動きを止め、盾の死角から足払いを仕掛ける。

見事に引っ掛かり、アリエッタは地に滑るように倒れる。


シュヒルはすかさず追い討ちをかける。

アリエッタは立ち上がり距離を取ろうとするが、シュヒルは逃がさず盾ごと体当たりをかまし押し潰す。

そのまま倒れ込んだアリエッタの首筋に剣を当てる


「負けました……」


アリエッタは清く敗けを認める。

シュヒルは剣を収めると、手を出してアリエッタを助け起こした


「いやいや。大したものだ。

剣だけでは分が悪かったからね、ちょいと搦め手を使わせて貰った」

「いえ。剣だけでもいずれシュヒル様に負けていたと思います」


アリエッタの本心だ。

『とった!』と確信した攻撃の芯を外され、云いようにあしらわれた。

それにアリエッタに怪我を負わせないように手を抜いていた。これが本気の殺し合いなら、きっとアリエッタはなす術なく殺されていただろう。


だが自信を失った訳ではない。


このヤーベの街最強と名高いシュヒルと、形だけでも渡合えた。ただ……


──お師匠様には(かな)わないわね


シュヒルは強い。

だがマーリンは剣を持たせても、シュヒルを凌駕するだろう。一万年以上の修練の積み重ねがある。

それに卑怯とも思える魔法も使える。

例え片手を切り飛ばされても、5秒後には再生していることだろう。


あんなに細身なのに、大剣を片手で笑いながら振り回す女だ。大抵のダンジョンは彼女一人だけで攻略可能だろう。

ダンジョンに潜っているのは、あくまでもアリエッタの修行も兼ねた実戦経験を積ませる為である


「あ……あの……」


ここで突然ハーフエルフのファーラが声をあげた


「申し訳有りませんが……是非マーリンさんと戦ってみたいのです」


ファーラは一歩前に進むと、マーリンに懇願するような眼差しを向けた。

ダーシュはコホンと咳払いする


「俺はどっちでもいいぜ。

取り敢えず明日から攻略に入るから、怪我しない程度でやり合ってくれるとありがてえ」


完全に丸投げである


「私は構わないわ。さっさと済ませましょう」


マーリンはそう言って、一歩前に出た。

こうしてファーラとマーリンの対決が決まった。


ファーラは完全武装である。

弓矢に投擲用ナイフ。戦闘用の小刀と戦闘用ナイフ。

美しい顔を強張らせている。


反面。


マーリンは一見防御力皆無のローブ姿。

短槍にも変わるロッドを持ち、悠然と構えている。

腰まである美しい青い長髪。

そして微発光する銀の仮面。


お互いに礼をして、模擬戦が始まった。


ファーラは中距離から矢を放つ。

だがマーリンは一歩も動かない。

矢は吸い込まれるようにマーリンの胴を貫く……と思われた矢先、矢が逸れて石床でバウンドした。

ファーラは動じる事無く、二の矢、三の矢と放つが全て同じ結果となった。軌道が変えられたのだ。


ファーラは一気に距離を詰め小刀を突き立てた。

マーリンはサラリと避けると、コツン、という感じで軽くロッドでファーラの背中を打ち据えた。


ファーラは倒れ込み、それっきり動かなくなった


「あら?手加減したつもりだけど、やり過ぎちゃったかしら?」


慌てて白魔法士の新婚少女サリアンナ、通称サリーが駆け寄ってファーラの状態を確認する


「失神しているだけです。

でも……肋骨が三本折れてます。

今。治療します」

「あら?宜しくてよ。

私が治すわ。

明日から攻略でしょう?

魔力は温存しなきゃ……」


マーリンはロッドを向ける。

ファーラの体が一瞬輝き、光が収まる。

サリーは半信半疑でファーラを検診した


「な……治っています。

それどころか、長年残って跡になっていた傷も修復されています。しかも詠唱もしませんでした……マーリンさん。

どんな魔法を使ったのですか?」

「普通のヒールよ。

魔法は本来、詠唱なんていらないのよ。

詠唱なんて魔法大好きな変人が、誰でも使えるように作ったマニュアルよ。

只ね。第五円(ファイブサークル)位階魔法以降は、魔法名だけでも唱えると発動しやすいわね。

私は心の中で唱えているから、傍目からみたら無言で魔法が発動するように見える事でしょうね」


「第五円位階魔法……」


サリーは思わず呟いた。

位階の前の(サークル)は天空に展開される光の魔法陣。その前の数字は展開される魔方陣の数を表している。

当然魔方陣の数が多いと難易度があがり、総じて威力も上がる。

第五円位階魔法以上の使い手になると大魔法士の称号が貰え、一国の宮廷魔法士に推挙される程だ。

それに黒魔法も使え白魔法も扱えるとなると……


「マーリン様は賢者様ですか?」


サリーの問い掛けに


「賢者なんて大袈裟です。

ただの魔法使い。それでいいじゃありませんか?」


そう答えるマーリン。

皆は


『良くない!』


そう心の中でツッコミをいれたが、誰一人声ににだせなかった。






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