世界中の恋人達に祝福を!
──異議!有りまくり!です!!──
シェリルの宣戦布告に!
リリスが嬉しそうに笑う!
「修羅場ですか?シェリル!
いいねいいねいいねいいねいいね!
さあ!異議とやらを爆発させましょうか!」
リリスは手を広げた。
シェリルはバン!とテーブルに手を置き
「もう!諦めました!
常識が通じないって分かりました!
修羅場は起こしません!
結婚もどうぞご自由に!
あれこれ悩むのが馬鹿らしいので、さっさと指輪交換してください!
ただ。
指輪交換だけでは戴けません。
折角みんな揃っているのですから、みんなでお祝い致しましょう!
結婚式もしちゃいましょう!
ついでに披露宴もしちゃいましょう!
マレーヌさんの披露宴もやっちゃいましょう!
みんな生まれたまんまの姿で楽しみましょう!
出来るでしょ?アズラさん。
出来ますよね?アズラさん。
ご馳走でも何でも用意出来るでしょう!
万能メイドのアズラさん!」
シェリルのこの『もうどうにでもなれ』的発言に、リリスが面白がり、グレイも渋々同意して急遽結婚式が行われた。
裸のデモスがめんどくさい顔をしながら神父の真似事をした。お股のポニポニは隠していない。
ずっとイチがガン見していたのはご愛敬。
それにしても悪魔王が神父とはこれいかに?
シェリルとマレーヌの結婚式も改めて此所で、行われる事となった。
けれどシェリルは断った
「生まれ育った家で挙げた結婚式は、わたしにとっては何よりの宝物です」
シェリルは辞退したが、マレーヌとアズラの結婚式を挙げた。
グレイとマレーヌ。
そしてアズラとの指輪交換は無事行われた。
抱き合って誓いのキスを交わす姿は、お互い裸なので何とも形容し難い妄想を掻き立てる。
特にマレーヌの抱き合い半分つぶれた胸は、何とも形容し難い迫力と卑猥さが同居していた。
それから披露宴となった。一人一人に分身のアズラがついて世話を焼いた。
何もない空間からご馳走を次々出すアズラーズに、みんなは次々とリクエストをした。
ラミア姉妹の〈美男子の生造り〉は流石に却下された。
披露宴もたけなわとなった頃、シロエとクロエに言い付けて岩を台形に増設して特設ステージを作った。
そこへ裸のマレーヌとアズラが登壇すると、裸のままでポーズを取った。
別にストリップショーをしようという訳ではない。
その逆である。
ポーズが決まるとリリスが両手でパチンと指パッチンをした。
すると、二人は超豪華で繊細なウェディングドレスを着ていた!
そこへ指パッチンで礼服を着せられたグレイが真ん中に陣取り、花嫁二人を両手に花としてギコチナイ笑顔を浮かべる
「いよ!色男!そして!いい女!
二人とも綺麗だよ!
いいねいいねいいねいいね!
最高だね!」
ずっと裸で結婚式や披露宴もいいけど、やっぱりいくつになってもウェディングドレスは女の華である。
それにクリオ伯爵に2番目に殺された女性のように、好きな人と添い遂げるという志半ばで散っていった女達への餞でもある。
あの時1081人の殺された女性の魂がリリスの中を過ぎていった。
彼女達の殺される前の人生や想いも同時に味わった。
今生のグレイではより人間らしく生きてみようと〈人間ごっこ〉に勤しむリリスは、何時もよりも彼女達の想いに共感できた。
共感と言っても女神たるリリスには、ウワベだけだ。
本質的には何も変わっていない。
人が死のうが生きようが、自分が楽しければどうでもいい。
それでもそんなウワベだけでも表面的には同情するには十分だ。
そして彼女達もいつか着てみたいと夢見た最高のウェディングドレスをアズラやマレーヌに着せた。
そして……
リリスも裸のまま壇上に上がった
「ちょっとだけ、隣いいかな?」
「どうぞリリスさん。わたしはこれで……」
リリスに隣を譲ったマレーヌ。
壇上から降りようとした。
けれどリリスはそんなマレーヌを引き留めた
「マレーヌもここにいてよ。ボクの隣にね。
それと……おーいシェリル!アズラの隣に並んで」
シェリルも裸でアズラの隣に並ぶ
「それからついでだから、シロエもクロエもイチもラミアもサミアもみんな並んで!
リーダもいじけてないで、ほらおいで!
でもデモスはそのまんまね。
いや。何時もの格好でここに来な!」
壇上にグレイを中心にしてみんな並ぶ。
デモスは端っこで執事の姿。
その隣はもちろんイチ!
そして裸の女達も思い思いにポーズをとる。
リリスが目を閉じ、右手を天に掲げパチンと鳴らす。
みんな純白の最高級のウェディングドレスに身を包んでいる。
そしてみんな腕を組んで、壇上で向かい合って大きく丸を描く。
最後に端っこのデモスとリーダが腕を組む
「さぁ!ゆっくり回ろうか!
世界中の恋人達に祝福を!」
悪魔の生みの親たるリリスに祝福されるのもどうかと思うけど、細かいことは気にしない。
グレイと花嫁達とおまけのデモスはゆっくりと壇上で、手を組んだまま大きな円を維持して回りだす。
みんなそれぞれの花嫁姿を目で見て楽しんでいる
「もう一人忘れちゃいけないよね」
リリスは目を瞑り、ゆっくりと見開く。
リリスはルルワになった
「これはこれは……皆……けったいな姿をしておるのぉー。じゃが、これも一興じゃ。
しばし見ぬ間に、顔ぶれが増えておるが……まあよいじゃろう。
マレーヌも花嫁衣裳が似合っとるぞ。
皆も同様じゃ。妾も含めての。
リリスもたまには粋なことをやりおるわ!」
──宴の跡──
露天風呂を中心にドーム型の結界を張った。
ここでは気温も一定で外で雨が降ろうが風が吹こうが、結界のドームの中では春の日溜まりのように暖かくて心地好い。
そして今は日も落ちて、満天の星空だ
皆裸に戻って、思い思いの時を過ごしている。
ご馳走を食べたり、温泉に浸かったり……。
シロエとクロエはイチを挟んで眠っている。
イチも寝息をたてている。
三人の裸は三つ子のように、そっくりだ。
デモスは腕を組んで座っている。
なぜかその両サイドには下半身が蛇に戻ったラミアとサミアが抱きついて眠っている。
デモスは赤々と目を光らせてムッツリしている。
酔っ払ったラミア姉妹に散々「堅物」とからかわれ、絡まれたのだ。今は蛇の下半身に文字通り絡みつかれている。
リーダは残ったご馳走を食べワインを飲みながら、何故かマレーヌに人生相談している。
グレイの隣にはアズラの本体が来て、足だけお湯に浸けてグレイに身体をあずけている。
初夜だけどエロいことはしないで、こうして寄り添って一晩を過ごすつもりらしい。
シェリルは露天風呂の縁を枕にして、仰向けで満天の星空を見ている。
ほぼ全身が温泉に浸かっているが、張りのある大きな双丘はぷっかり浮かんでいる。
そこへリリスが来て、シェリルの隣で同じ格好をして並ぶ
「シェリル。あの時……嫁が増えると分かって……良くアズラを受け入れたね。
君がアズラとの結婚を祝福しようとするなんて思わなかった。きっと泣き言を言って……それこそ修羅場になるかと思ったのにさ。
あの時……ホントはどんな気持ちだった」
「そうですね……心から祝福できたかと言うと、違うかもしれません。ホントはわたしだけを見て欲しいし、もっとグレイさんを独占したいと思っています。
けれど、わたし自分で選んだのです。
元からマトモな結婚生活を送れないって分かっていながら、わたしはグレイさんの妻になるって決めたのです。
それに……わたしの父はあっちこっちに家族を作って、一年に二回しか帰って来ませんでした。
でも母マレーヌはそんな父の文句を一言も言わず、帰って来るとホントに嬉しそうに出迎えていました。
母はモテるのですよ。
お金持ちの方も『さっさと旦那と別れて暮らそう』って誘ってくれていたし、わたしも引き取って贅沢な暮らしをさせてくれるって人もいました。
何人もの男の人に結婚を申し込まれていました。
わたしは不義理なお父さんと別れて、母が別の人と結ばれても良いと思っていました。
でも母はどんなに好条件で誘われても
『旦那を愛しておりますから』と断っていました。
わたしはずっと只の断り文句だと思っていたけど、今なら分かります。
本当に心からお父さんを愛していたのですね。
わたしももしかしたら母と同じような生き方になるかもしれません。
旅に出たグレイさんをただ待つ生活。
帰って来る度に、違うお嫁さんを連れて来るのかもしれません。
むしろ連れて来ない方がおかしいですよね。
わたしはリリスさんが羨ましいです」
シェリルがリリスに目線を向ける
「ボクが?どうしてだい?」
「だってずっと一緒に旅をするのでしょう?
リリスさんが傍にいないグレイさんを想像できません。
きっと敵と戦ったり、そんな危険な事もするのでしょう?
羨ましいし、妬ましいし、わたしもリリスさんのようになりたいとも思います。
けれどわたしはグレイさんを愛すると決めたから、グレイさんがわたしのいない旅先で女の子とイチャイチャしたりしても受け入れます。
いつ帰って来てもいいように、自分を磨いてもっと素敵な女性となってグレイさんをお迎えします。
お嫁さんが増えても
『流石グレイさん!わたしが愛する只一人の男!』って胸を張ります。
グレイさんのいない夜は寂しくて泣いちゃうかもしれないけど、帰ってきたら最高の笑顔でお迎えする。
そんな女にわたしはなりたいのです」
ハハ!
リリスは笑った
「シェリル。君は最高にいい女さ!
ボクの想像以上にね!
流石!フェルが今生で初めに伴侶に選んだ女!
女神のボクが保証する!
君はフェルの女に相応しい!
胸を張って自慢してもいいよ」
「有り難うリリスさん。
わたし……今……とっても幸せです」
微笑みを浮かべたシェリルは、いつしか眠りについた。
眠りの呪文をシェリルに施したリリスは
「お休みシェリル。明日からまた旅が始まる。
ゆっくり休むといい。もうすぐ目的地に着く。
そこで多分ボクらは君を置いて行くだろう。
君が一番目の嫁で本当に良かった。
いい夢を……」
リリスも目を閉じた。
眠らなくても平気だけど、今宵はこの少女の隣で眠りたい……。
リリスは優しくシェリルの手を握り呟いた
「ボクはホントに君が気に入った。
グレイの第一の妃になるのなら……せめて魔王ぐらいにはなってもらわないとね。
もう種は仕込んでおいた。
目覚めるのを楽しみにしているよ
シェリルちゃん」
これでこの章の【花嫁達の宴】パートが終わりました。
いかがでしたか?
サービスパートで直ぐに終わる予定でしたが
結構長くなりました。
ラミアとサミア姉妹!
後々格好いい事になってます!
これで一応章の区切りは付いたのですが
その前にイチちゃんの番外編が入ります。
三話構成になります。




