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ゴキブリホイホイ


ここは【跳ねる子馬亭】の入口前。


兵士達は指揮官ダッタとその取り巻き達が扉から入っていくのを確認して、間合いを詰め裏口数名と共に屋敷を取り囲んだ。

だが、ほとんどの兵士はここ入口付近で待機している。


ゼェハァハァハァハァ


暫くしてから疲れた息遣いとともに、ダッタ一人が扉から飛び出てきた


「おい!お前ら!灰色の髪の男を取り押さえろ!

かなり狂暴だ!みんなやられた!なんなら殺しても構わん。いや!殺せぇ!!!」


小肥りの体型を揺すりながら喚いた。

兵士達は【跳ねる子馬亭】に突入すべく身構える。


その時


ズン!


という音と共に空から黒い巨大な塊が降ってきた



兵士達は呆気にとられて、その非現実な光景を見ていた


体長15mを越える巨体。黒き筋肉の固まり。

人とも牛とわからぬような顔。赤い瞳。禍々しい突き出た牡牛の角!


二階建ての大きな宿屋【跳ねる子馬亭】から、巨体の胸より上がはみ出でいる。




──グレーターデーモン──




あのダーレルの街を半壊せしめた魔物襲撃の首魁。

あの戦いに参加していなかったこの兵士達は、その存在を疑っていた。

だが事実だった。

伝説の悪魔王がここにいる。


そして


「ほいっ!」


という掛け声と共にグレーターデーモンの肩から、魔族の少女が飛び降りた。

メイド服を着ている。


降りる角度と風の影響で、スカートが捲れフリフリフリルにまみれたミセパンが露になる。

そしてスラッとした健康的で美しい足。


兵士だれもが、息をするのも動くのも忘れてそのままの姿勢で固まっている。

現実感がなく夢幻の世界に漂っているようだ


「空を飛んでいたらね、君たちの姿が見えてね。

いやー君たちゴキブリが家を取り囲んでいるじゃない。なんか一斉にこの家に突入しようとしてたみたいだし。このゴキブリホイホイに一体何があんのかなーと思ってさ。来てみたのさ。

何みんな黙ってんのかなー?

あっそうそう。

あんたらみたいなゴキブリに命令下す少し偉いやついるでしょ?

ソイツと話をしたいなー」


このゴスロリメイド服の魔族風の美少女はもちろんリリスだ。だがダーレルの街の人々の記憶にはグレーターデーモンだけが残り、リリスとリーダの記憶が消え去っていた。

故にここにいる連中は噂すら聞いたことがない。

グレーターデーモンだけでも思考が壊されているのに、リリスが追加され尚更思考停止状態に陥った


「だからさー。早くそのエライやつ連れて来ないとみんなコロシチャウヨー」


リリスが催促すると、兵士達の目が一斉にグレーターデーモンの左の足元をみた。

つられてリリスもみた


「あーなんか潰れてる!もしかしてこの潰れちゃっているのがゴキブリのエライやつなの?

かーーーーーやってられないよ!

デモスくん!おりる時アレほど潰さないように念を押したよね。なぜに言った先から潰すのさ!」


「──ゴキブリは叩き潰すのみ──」


恭しく屈む姿とは裏腹に、その言葉はゴキブリ共には容赦ない。デモスにとって、この兵士達はゴキブリ以下に過ぎないのだから……。


「まっ。いっか。でさー。だれかさー教えてくんない?このゴキブリホイホイには何がいんのさ?」


兵士長をやっている男が、慌ててあれこれ説明した。

直ぐ答えないと殺されかねない


「成る程ねー。この中に凶悪で外道な《灰色の髪の男》がいるって訳ね。そっか。そっか。

じゃ。ちょーどいいや。今からソイツを狩りに行くから。面白そうだからね!

それからこのゴキブリホイホイ囲んでいるゴキブリ達みんなここに集めてくれる?騒がれたり邪魔されたら面倒だかんね。

ほらっ!早く!早くしないとミナゴロシだよー」


兵士達は仲間を呼びに行き、直ぐに外の連中は集合した


「これからサーその灰色のヤツ狩るけどさー。

邪魔したらミナゴロシ。

逃げ出してもミナゴロシ。

とにかく余計な事をしたらミナゴロシ。

やっぱさ、ギャラリーっているじゃない?

勝利とか皆と分かち合いたいじゃない?

という事で……もっとねバラけてくれる?

そうそう固まっていても前が見にくいでしょ?

それと……分かってっと思うけど、あんたら束になってもボクらには勝てないから、そのつもりで!

リーダ。監視しといてー。

くれぐれもちょっかいださないよーに!」


リリスが人差し指を兵士に向けて釘を刺している



「あら皆様お揃いで……美味しそうだわ」



なんてデモスの背中側から、魔族の妖艶なグラマラス美女が落ちてきた。

くねくねと挑発するようにしなを作って兵士の眼前を歩いていく


「いいこと。わたくしを女だからといって甘くみないといいですわよ。でないと」


次の瞬間。兵士の一人の首がその胸に抱かれていた。

首なしの胴体が地に倒れる。



女はその首に愛おしそうに頬ずりし



「こんな風にはなりたくないでしょう?」



そして震える別の兵士の顎をサラリと撫でた









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