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仮初めの初夜


裸エプロンを華麗に?着こなす新妻シェリルはグレイにいった


「いえ。親子揃ってベッドの中であられもない格好をさせられて、色々見比べられたりなんて絶対嫌ですよ。でも母マレーヌが母ではなく、ただの一人の女としてグレイさんを慕っているのは知っています。

そしてグレイさんがマレーヌという女性を受け入れるなら、わたしはどうこう言うつもりはありません。

それに今まで母と一緒にお風呂に入ったり、同じベットで寝ていたのも、グレイさんがわたしたち親子には手を出さない確信というか安心感があったから出来た事です。お風呂はともかく、もうグレイさんと同じベットで母と一緒に寝ることはないでしょう」


そしてみんなを見回わし続けた


「それに……リリスさんもルルワちゃんも、まだ小さいですがシロエちゃんもクロエちゃんもグレイさんを慕っています。

一人占めなんてとてもできません。

イチさんは……誰か他の人が心の中にすんでいるようですね。

以前わたしにグレイさんが言っておりました。

シロエちゃんとクロエちゃんが15歳になって成人したら、奴隷契約を解除してこれからの人生を自分で決めさせるつもりだと……でも、わたしはその答えを知っています。

奴隷はともかくシロエちゃんもクロエちゃんもグレイさんと生涯を共にすると誓うでしょう!

そんなわたしのようにグレイさんを恋い焦がれる女の子を、宙ぶらりんにはしておけません!

妻たるわたしが責任を持ってグレイさんに娶らせます。

わたしの愛するグレイさんは、一人の女にヘロヘロする甲斐性無しではありません。

グレイさんを想い慕う人を受け入れてくれる人です。

リリスさんもルルワさんもシロエもクロエも、わたしも……もしかしたら母も……。

リーダさんはわたしもどうかと思いますけど……グレイさんが良ければ受け入れます。

みんな個性が違うのに当たり前のようにグレイさんの側にいる。そんな関係をこれからも大切にしていきたいのです」


そして決意を向けた眼差しのシェリルは最後に


「もし妻にしたわたしたちを前にして

『庶民は後生大事に一人だけ愛せよ』なんてのたまう者がいたら、わたしすぐさま反論します。

わが夫はいずれや王!いや何者にも囚われぬ魔王となる者!!お主風情のケツの穴が小さい男にどうこう云われる謂れはありません!といってやります!!!

だってグレイさんの見た目。自由の為に戦った(いにしえ)の魔王とそっくりではありませんか!

わたしの夫はそれだけの事をしていただかねばなりません!」


「いやあー」


とリリス


「ゆうねゆうねゆうねゆうねゆうねぇー!

ほんのさっきまで裸エプロンで嬉々としてクルクル回っていた同じ女の子とは思えないよ!

ボクもねー結婚なんてこれっぽっちも興味無かったけど、妻にして貰おうかな?

ボクは君が生きてる間、君としか交わらないと決めてるからね。どう?グレイ?

ボクを娶ってくれないかなー?」


ジロリ。グレイが睨む


「いいだろう!だが、今日じゃない。

今日はシェリルとこの日を分かち合いたい。

ところでシェリル。

いつまでその格好でいるつもりだ。

古の魔王の妻とやらは、いつもそんな姿を晒しているのか?」


シェリルはハッと自分のあられもない姿に気付く。

裸エプロン姿が花嫁衣裳なんて、何処の世界にもいないだろう


「きゃっ!グレイさん駄目ですよ!

夜まで待ってください。

今着替えて参ります」


グレイに剥き出しのお尻をサワッとされて、慌ててお尻を隠し恥ずかしそうに内股でわそわそ退室するシェリル


『結婚する前は裸エプロンでクルッと回ったり屈んだりしていたのに、妻になったとたん恥ずかしがるとはこれいかに?』


イチは女心の神秘とやらを知った。

あてにはならないけどね。


それからシェリルは街娘が精一杯お洒落しているよ。みたいな格好でやってきた。

それを見たリリスは『やれやれ』と頭を振り、別室にシェリルを連れて行った。

戻って来たときは垢抜けたドレスを着ていた。

そして顔を赤らめしずしずとグレイの隣に立つ様は、なんともいえぬ初々しさを感じた。


夕方。身内と仲間だけの結婚披露宴が行われた。


リリスはグレイとシェリルに別室でパチンをした。

パチンすればどんな服装にでも出来るという、素晴らしい魔法だ。どんなと言ってもリリスが知っているという条件が付くが……。


そしてグレイはグレイのスーツに身を固めていた。

髪の毛をオールバックに撫で付け、以外に似合っているというか、悪い若旦那みたいな顔をしている。

その腕に腕をからめ身を寄せているのはシェリル。

純白のウェディングドレス。上半身は清楚に、スカートは豪奢なフリル。ウェストは細くしなやか。胸は大きく胸元はレースで肌が透けていた。そして長いベールの先は、これまたパチンで可愛くドレスでお洒落していたシロエとクロエが持っている。


食堂で結婚式。一度貰った指輪をまたお互いに指輪交換をし、甘ったるいキスをして、そしてグレイとシェリルは改めて夫婦となった。


「なんだシェリル。ずいぶんとおめかししておるの?」


リリスと入れ替わったルルワが現れる。

マレーヌとシェリルはリリスとルルワが同一人物だとは知らない。

リリスも一応気を遣って別室で入れ替わっている


「ルルワちゃん!わたしグレイさんと結婚しました!」

「そうかえ。それはめでたきことじゃ。どれ、妾も祝いをせねばの」


とルルワはふたりの結婚指輪になにやら呪文を唱えた。


「これはの一日一度だけ日が昇って落ちるまでの間、どんなに離れていても一分ほど話しが出来るという(まじな)いをかけた。

手で握れば相手の指輪が光り温かくなる。シェリルはあまり魔力が無いからグレイの都合になるじゃろうが、これで離れても少しは寂しさが紛れるじゃろう?」


「ありがとう。ルルワちゃん」

「よいよい。今宵は飲むぞよ。祝い酒は酔えば酔うほどめでたさがますぞよ」


そして皆で大いに飲んで騒いでお開きとなった。


いつの間にかルルワと入れ替わったリリスが言った


「ほらシロエにクロエ。今日はボクと寝るんだ。もちろんイチもね。今宵はシェリルにとってとても大切な夜さ。ふたりの初めての夜を邪魔しちゃいけないよー」




そして……。


その夜。シェリルは女になった。




交わることはできなかったけど、それでも多くの初めてを愛する人に捧げた日でもあった。




いつかグレイが治ったら、子供を作ろう。

ふたりはひとつの寝床で約束した。




今夜はその日までの仮初めの初夜であった。

















補足です。

大陸中に広がっている【愛の神マーリア】を信仰する

[マーリア教]は一夫一婦制をとっています。

教会に大金を払えば免罪符が発行されて

側室を持てるようになります

庶民にはとても払えない額です

シェリルはそのことを、文中で揶揄しています。



それにしても

シェリルちゃんおめでとう!

お幸せに!


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