死の円舞団
わたしはその男と一緒に暮らす事となった。
男は冒険者をしていた。
冒険者稼業する時はいつも仮面を被っていた。
白地に赤く縦三本木の傷が付いた仮面。
男の名前はサンと言っていた。
だから三本の線が仮面に引いてあるとも言っていた。
そしてニアナという大人の女も、後から合流して一緒に暮らす事となった。
ニアナはいつも前髪を右半分垂らしていた。
わたしはニアナが来た日から一緒にお風呂に入るようになった。初めての日わたしはこの醜い体をみられるのが恥ずかしく、脱ぐのを渋った。
その頃からわたしは、生まれてからずっと裸で生きてきたのに、サンには裸をみられるのはとても恥ずかしくなっていた。
途中から、自分で体を拭いたり、一人でお風呂に入るようになった。
サンに見られて恥ずかしいのは、醜い姿をみられるのが嫌な訳ではなく、なぜかサンの事を考えると体が熱くなって、そして裸を見せたくなくなった。
ニアナと出会った日、お風呂でニアナは自分から裸になってその身体をわたしに見せた。身体のラインは綺麗で胸も大きくとても女らしい体つきだったが、体のあちこちが変色して、変なボツボツも一杯体にあばたのように張り付いていた。
そして垂らしていた前髪にかくれていた顔を見せた。
片目が白く濁り、顔半分も爛れていた。
小さい頃。物心つく前に疫病にかかり、何とか命は繋いだけどこんな姿になったと教えてくれた。
ずっとこの姿でイジメられ迫害され、ヒドイく酷い扱いされてきたが、サンに出会って生きる喜びを知ったと彼女は笑った。
わたしもニアナに裸をみせた
「つらかったね。もう大丈夫よ」
わたしをギュッと抱き締めてくれた。
ここの家に住んでいる間。サンのことはパパと、ニアナのことはママと呼ぶようになった。
わたしたちは家族となった。
夜一緒に寝ていたニアナが、時々夜中に寝床を抜け出した。朝になると隣に戻っていた。
わたしは気付かない振りをしていたが、ある日気になってニアナの後を付けた。
サンの部屋に行っていた。
二人裸になって抱き合って変な声を出していた。
次の日。わたしはニアナが寝静まったのを確認すると、サンの部屋に行き裸になってベットに潜り込んだ。
サンは驚いて
「早く服を着てママのところへ行きなさい」
と言ったが、わたしは
「ママにしてくれてなぜわたしにしてくれないの?」
と泣いた。
騒ぎを聞きつけてニアナママが部屋に入って来て、裸で泣いているわたしを庇ってサンパパをボコッた。
わたしはそんなママを引き剥がすのにやっとだった。
事情を説明し、ママは何とか納得した
「いい。イチ。こういうことは大人になってから、好きな人とするものよ。妥協して身体を安売りするような事をしては駄目よ」
「好きな人出来ないかもしれない。それに……。
好きな人わたしを嫌いかもしれない……こんな身体だから……」
わたしはあの黒い頭巾を被った特別な人を思い出した。
わたしが殺したあの人は、たぶん一度もわたしを好きになってくれなかった。そんな事を思っていると
「大丈夫。わたしにもこんな素敵な人が出来たのですから……あなたのような美人さんにはきっと素敵な運命の人が現れるわ」
そしてわたしは時々パパとママに二人だけの夜をあげた。
それ以外はわたしを挟んで三人で寝ることとなった。
一年後
パパは大怪我をした。
魔物にやられたといった。
わたしは直してあげたいと願い、傷口に手を置いた。
するとみるみる傷が治っていった。
全治1ヶ月の傷が、一分で治った。
ママの目も治してあげようとしたが、それは治らなかった。
わたしはもうパパが傷つくのが嫌だった。
「わたしも冒険者になる!」
わたしは宣言して、パパとママの説得にも耳を貸さず意地を貫き通した。説得し二人は根負けして納得した。
そしてママも冒険者に復帰した。
ただわたしの正体を知っている者がいるかも知れない。
あの虐殺したわたしを知っている者が……。
それにわたしたちは三人共顔を他人には見られたくなかった。
わたしたちはサンの仮面に倣って、わたしとニアナも仮面を被るようにした。
わたしは名前がイチだから、白地に目の辺りに真一文字の赤い傷。
ニアナはニだから線二本、白地に赤い二本の傷。
目の辺りに一本。鼻から顎にかけてもう一本の傷痕。
そしてサンが縦三本の赤い傷。
傷と云っても傷に見える文様である。
仮面は特殊な魔法が施されていて、外からみたらただの仮面だが、内側からは外の景色は肉眼とほとんど変わらず見ることが出来た。
そしてわたしは腕や手を武器に変形させて戦う。だからその変形する様を他人に見られないように、袖を大きくダボダボにした。
足も変形できることがわかったので、足元もダボダボ。
ツナギのようだけど、上下分かれている。
境目はスカートのようになっていて、おしゃれ。
パパもママもツナギ。手足の先はダボダボで共通。
これはわたしだけだと変に勘繰られる可能性があるから、皆で統一のファッションにしている。
パパは上から下まで通しのツナギだけど、ママはわたしと同じ上下分かれている。
それにウェストもキュっと締まって、大きな胸とお尻のラインが凄く綺麗!。
色はみんな群青色。
夜もあまり目立たず戦えて殺しに向いているから……は表向きな理由。ホントはわたしが自由になった日の青空が眩しくて青がいいと駄々を捏ねたから!
さすがにキレイな青空色は却下されたけどね。
そしてわたしたちは冒険者と傭兵を兼ねる戦闘特化パーティーを結成した。
その名は
【死の円舞団】
ママがノリで決めた。
名前が格好いいこと、そして〈円〉は〈まる〉みんな強い絆で繋がっているよ!
と、想いを込めて!
命名!
あっ、それとわたし。髪切りました。
バサッとボブカット!
パパとママに「「よっ!美少年!」」と囃された。
髪を切ったのは決意の現れ。
新しい人生を生きていくための決意!
そして新しい人生を生きる覚悟!
もうあの頃には戻らない。
でも……。
……ゼロだけは殺す……
それはわたしのケヂメ。




