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完璧なクズ


「もーーー!なんでーーー!いっーーつもこう!」



空から落ちて来る4人の女の子たち。



ストン!



綺麗に着地したのは執事服の銀髪の美女。

瞳は金色で彫像のような整った顔立ち。

背中には大きな翼が生えている。

その両脇には女の子を抱えている。


空中で掴んだのだ。


右脇には黒髪の美女。

左脇には青いシスター服の美人。

「ほっんと。心臓に悪いのよ……」

シスターがぼやいている



「どいてどいてどいてどいてにゃー」



ザムド達が上を見ると、最後の一人、猫耳少女が落ちてくる。

慌てて場を空けると


─シュタッ!


猫耳少女が着地してポーズを決めた


「チーナ参上にゃ!」


グレイの周りにはいつの間にかギルドの依頼を受けた、スタンピードを生き残った冒険者パーティーが集ってきた。

皆、遠巻きにグレイ率いる美女軍団を不思議そうに眺めている。

グレイがほくそ笑む


「おい!お前ら。

みんなに挨拶しろ。宣伝だからな。顔を売れ」


「はいはーい!皆さん!お元気かにゃ!

あたちはチーナ。猫亜人のお姫様にゃ!

グレイしゃんの最愛の嫁だにゃ!

夜な夜なあんなことやこんなこと。

し放題され放題にゃぞ!

よっろしくにゃ♪」


猫耳少女が片足を上げて猫招きのポーズでウィンクする


「さいあい。ちがう。さいあく」

「コノゴロ。うざすぎて。ほうち。サレホウダイ」


白と黒がすかさず悪態をつく


「わたし。しろえ。ますたの。どれい。で。よめ」

「ワタシ。クロエ。マスタの。どれい。で。ヨメ」


魔法で壁を作った白い少女のシロエ。

黒髪の少女はクロエ。

二人は顔立ちが瓜二つの絶世の美少女。


壁の向こうのグルングルンした羊角の少女がコクリと頷き


「えっと……わたし。イチ。もと人間。今悪魔です。

えっと……クロエの姉さんです。

グレイさんとは……無理矢理嫁にされました。

今取り込み中なので、これにて失礼します」


イチは青い狼での魔物狩りを再開した。


「デモスだ。男だ。ゴミ共め」


羊の角を生やした執事の男はそれっきり黙った。

質問したら殺されそうな雰囲気を纏っている。


近くのグラマラスなほぼ裸のような格好の女は


「私はリーダ。魔族よ。

命をくれるなら抱かせてあげるわ」


集ったパーティーの男達を見て、嬉しそうに笑う


「離婚するぞ」


グレイがポツリと洩らす


「あ。あーん。ダメですよグレイさ~~ん!

女の喜び教えてくれたばかりじゃないの~!

やっと死にもの狂いで結婚したのに……酷いわ!」


「クソ!うるせえ!離れろ!

前がみえねぇだろうが!」


リーダがグレイの顔に抱きついている。

豊満な胸部をグリグリ顔におっつけながら、クネクネしている。ほぼ剥き出しのオシリからピョコッと飛び出たしっぽがウネウネ動いている。

先端が矢印の形で、毒蛇のよう。

グレイは「離婚するぞ」を連発でリーダを引き剥がした


「なんでオレ。こんなやつと結婚したんだっけ……魔が差したな……」


げっそりとした顔で嘆いている。

ただ周りの男達は『羨ましい死ね』とジト目していた


「ウリエッタさーーん!いつまで抱き抱えているんですか?」


翼の生えた美女の小脇に抱えられた、青いシスター服を着た20歳前の青い髪の清楚な美女が喚いている。


反対側の腕に抱えられていた黒髪の美女は、もう解放されていた。

体の線が分かる紫のワンピースを着こなす、黒い長髪の女はクロエを更に大人にしたような絶世の美女。抜群のプロポーション。18歳位だろうか?


(わらわ)はルルワじゃ。主様(ぬしさま)の奴隷じゃ。奴隷のまま結婚しておる。

おぬしらと遊んで遣りたいが、主様の生きてる間は手出し出来んのじゃ。それが結婚の条件だからの」


ルルワは長い黒髪を払った。

その色気に男も女も魅了される



「あたし。アズラ。グレイ様の世話係。

グレイ様しかお世話しません。

着替えもお風呂も下の世話も……夜のお世話も何でもします。あと。メンドウなので話しかけないでください」


そう言ったのはグレイをマッサージしている10歳位の赤髪の女の子。ショートカットで丸眼鏡をしている。

超可愛い。

それにしても夜の世話って……鬼畜かグレイ



「だーかーらー!いい加減に放しなさい!

いつまで子供扱いするのですかーーー!

痛っ!」


─ドテッ

翼の生えた女が、小脇に抱えた喚く女をいきなり放したのだ。


受け身も取らず顔から地面に突っ込む聖職者


「ヒールっと」


自分の顔に癒し魔法をかけてたちあがった。

パンパンと服の埃を払い皆を見回して


「わたくし。フェアリエルと申します」


その瞬間周りの冒険者達がザワついた。

「聖女様と同じ名前……」

「奇跡の御業の使い手」

「行方不明だったよね」

「この人が本物……まさかね」


そんなヒソヒソ声が止まらない


「えっと。わたくし。聖女してました。

今はグレイ様の伴侶を務めさせていただいております。

もちろん初夜も迎えております。

マーリア教の教義では聖女には処女性(おとめ)が求められますので、もう聖女ではないと思います」


フェアリエルは微笑んだ。

そして隣の翼の生えた美女


「私は大天使ウリエッタ。

グレイに乙女を奪われ天に帰れない。

仕方ないので結婚してあげた。

フェアリエルの守護天使している。

フェアリエルは今も間違いなく聖女だ」


「おい。ウリエッタ!

お前がオレを襲って『天に帰れないから結婚して!』と泣きついたんじゃねぇか!」


グレイが突っ込みを入れる


「フェアリエルがあんなことやこんなことしているのにガマン出来ますか。傍で守護している身にもなってみなさいな。

それと。本音と建前ってあるでしょう?

天使が欲望丸出しじゃ格好つかないじゃないですか。

グレイは大人しく泥を被ればよいのです。

だから私はグレイにテゴメのされて乙女を散らされ、無理やり結婚させられた事にしたの。

これは決定事項。反論は許さないわ」


「勝手にしろ」


自分勝手な天使の暴論を受け入れるグレイ。

そして寝っ転がったまま


「オレはグレイ。見ての通り冒険者だ。

オレのモットーはいかにダラケて働かず生きるだ。

その為には何でもする。

シロエとクロエを奴隷にしたのも、俺の世話をさせる為だし。

こいつらを嫁にしたのも似たようなものだ。

嫁は他にもいる。

あちらこちらで世話を焼いて貰わないとな。

あと。戦うのは嫌いだ。

だから戦闘も全部嫁に任せている。

ちなみにデモスは嫁じゃねぇぞ!」


辺りがビミョーな空気になる。

そんな空気を読まずにグレイは続ける


「オレ様は偉いからな。

着替えもお風呂で洗われるのも下の世話も全部やって貰うのが当たり前だ。

戦闘も嫁に任せりゃ喜んで戦ってくれる。

おまけに魔石と素材で金も稼いでくれる。

こいつらがオレの為に戦っている姿を、飯を食い食い見物するのが趣味だね。

ただ面倒なのは、夜の相手だな。

一辺に済ませれば良いのにさ、こいつら自分だけの夜もくれとウルサイ。

みんなワガママだからな……ホント面倒くさい」



─テメーが一番ワガママだろうが!



無言のツッコミが降り注いでいるのに気付かない。


「コイツ殺していいですか?」

「止めとけ。嫁さんらスゴく強いぞ」

「面倒なら一人くらいくれ」

冒険者達はグレイに殺意を向ける。


そして冒険者達は男も女もなく、皆一応に思った




─コイツ。クズって呼ばれているけど……




───完璧なクズだった───





─それから




魔物はイチとチーナによって掃討された。


燃えた森はルルワが天候を操って大雨をふらせ鎮火した。

焼け焦げた跡地は聖女フェアリエルが奇跡を起こして、森を再生した。



冒険者達はそんな光景を呆気にとられて見ているしかなかった。



そんなチートな嫁達を立ち上がって出迎えたグレイは、皆の頭を「お前達。良くやった」と撫でていた。

嫁達はデレデレ顔で撫でられていた。


そして皆の目の前には魔物が落とした素材や魔石が山となっていた。

嫁達がせっせと集めた物だ。


これだけあれば一生遊んで暮らせる額が手に入る



「あー。皆さん。オレが魔物をやっつけました。

だからこれは全部オレの物。いいよな」



─お前!何もしてないだろ!



反論出来ない冒険者達は心の中で盛大に突っこんだ。

そして改めて思った




──やっぱりコイツ……クズだ──




余談



参加した冒険者達に死者は一人もいなかった。

皆。何者かに助けられたという。


ケガは聖女フェアリエルが癒してくれた。




★★★




そんなクズな男が世界征服する物語。




いや……そんなクズな男のチートな嫁達が、協力して世界征服する物語……なのかな?




時は五年程、遡る








ここに出てきた嫁達の他にも沢山います。

耳の先がとんがっているのとか

小さくて武器を作るのが上手いのとか

木の妖精とか

血を吸うのが好きなのとか

精霊使いとか

そんなこんなでチートな嫁を増やしながら

物語は進んで行きます


なぜグレイが戦わないのか?

それもちゃんと理由があります。


今回出てきた嫁達が

どんな風にグレイと出会い

嫁になったのか

それぞれの物語があります


見届けて頂けると嬉しいです





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