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魔女め!


新婦が乙女の鮮血を無垢なシーツを染めてから、どれだけの時が経っただろう。


濡れた子鴨のように震えていた乙女は、今や金髪碧眼の王子の上に股がり全身全霊で快楽を追い求めている。


初めてを失ってから、もう三日が過ぎた。


この[初夢の間]から一歩も出ずに行為に耽っている。


いつからか時が経つのも忘れてしまった。


そして……レイハルトは快楽の中で、また彼女の中へ放出した


「レイハルト様……」

「ジュリエッタ……」


ジュリエッタは繋がったまま身を寄せ、レイハルトに口づけをした


「おやおやおやおやおや。いつ見ても良いお尻ですね」


「誰だお前は!」


レイハルトはジュリエッタを庇いながら、上半身を上げる。レイハルトの視界の先には、錬金術師のローブを着た緑の髪で片眼鏡(モノクル)の男がいた。


ここには新婚の男女しか入れない筈。

それに皇太子と皇太子妃の行為中に、断りもなく無断で部屋に入るのは許されない。


レイハルトはジュリエッタを引き抜くとベッドの端へ寝かせ、立ち上がり男を見下ろす。

190㎝以上もあるレイハルトに目を合わせる男も、何気に180㎝はある


「いやはや。そろそろ飽きた頃だと思ってね。

水を差しにきた」

「貴様は誰だ?」


「ぼく?ぼくはセト。

まだ洗脳は解けていないようだね。

何時もの君……今世の君ではない君ならば、容赦なく殴り掛かってくるのに……歓迎されなくて寂しいよ」


セトは肩をすぼめる。

レイハルトは睨みつけたまま


「洗脳?何の事だ?

それに貴様とは初対面のはずだ!直ぐにここから出ていけ!」

「出ていきたいのは山々だけど、ここはぼくの世界だし

むしろ出ていくのは君の方だね」



パンッ!



手を叩くと、見慣れぬ風景がそこにはあった。

幾つもの大きな円筒形のガラス容器には、透明な液体の中で美しい裸の女性が浮かんでいる。


石床は磨きあげられ、セトという男と円筒形の筒の中の女性達以外は何もない


──ジュリエッタ!


思わず後ろを確かめると、大きなベッドの上に裸の彼女がいた。毛布で体も隠していない。

レイハルトはセトと彼女との導線上に体を移動させ、視界を遮る


「ここは何処だ?」

「ぼくのコレクションルーム。

良いだろこの娘達。無から育てた自慢の娘達さ。

エルフに魔族に獣亜人にノームに人間(ヒューマン)。それと……それらのハイブリッド。

まあ。この中の何人かは一生この容器から出られないけど……。容器といえば、クズな人間共に預けた黒と白の娘と、その出来損ない達はどうしてるかな?」

「黒と白の娘?」


「ああ。ちょっと手違いがあってね。クローン達に魂が入ってしまったからね、面倒で預けた。

大きな器に不相応な中身が入っても、維持出来ず崩壊するだろうから後処理が面倒でね。肉片だらけの容器を見るのはあまり好きではないのでね。

ああ。本体の方はそのうち回収するつもりだけど……。

黒と白の本体は自信作だからさ。なんせルルワとアワンの二人の姉様の力を宿した分身体だからね。

力は大分劣っているけど、それでも人からすれば神とも成り得る器さ」


「何を言っている?」

「気にしないで一人言だから……。

成長した本体は回収したら、色んな種族の種を植え付けて孕ませるつもりさ。あの娘達の腹の中で種族合成して、キメラを産ませるのが夢なのさ。

それに耐え得る器だからね。楽しみだよ」


──こいつは頭がイカれている


言っている事がサッパリ分からない


「ねぇ。セト。どうして邪魔をしたの?

もう少しで封印が解けそうだったのに……」

「ジュエリ……お前は一体……誰だ?」


横に並び立った彼女はジュリエッタの筈なのに、雰囲気がまるで違う。乙女から女になったでは済まされない変化だ


「あら?バレちゃった?まあ。宜しいですけど……。

もう初で純情なジュリエッタを演じるのが億劫になっていたから、丁度良かった」


裸のジュリエッタモドキが髪をかきあげる。その姿は何処を切り取ってもジュリエッタそのものだ。

だが


「ジュリエッタを何処へやった!」


レイハルトは細い肩をつかんで揺さぶる


「どこへもやってなどいないわ。

今頃貴方を探して大変な事になっていると思うわ」

「俺を探して……どういう事だ?」


「どうもこうも……わたしが貴方をあの大聖堂の控室から連れ出しただけよ」

「連れ出した?」


「さっきからオウム返しでつまらないわ」


そして抱きついてキスをする


「続きをしましょう。

次からはジュリエッタではなく、わたしと楽しみましょう」

「君と?俺が?」


「そう……。

わたしと貴方。もしも行為の途中でわたしを思いだしたら、もっと楽しめると思うわ」

「そうか……それもいいかもな……」


レイハルトはジュリエッタの頬を優しく包んだ


「あら?キスをしてくださるの?

御褒美に、貴方にジュリエッタの激しくあられもない姿を見せてあげ……!?」



グギッ!



レイハルトは瞬間的に両腕に力を入れて、ジュリエッタの頭を(ねじ)った。首の骨が折れ、力無く崩れ落ちるジュリエッタ。


仰向けに倒れたその顔は、あらぬ方向を向いていた、

その動かぬ骸に冷たい眼差しを向けたレイハルトは、言い放った




「魔女め!」





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