百合の花
『いやはや何というか……人間とは、かくも浅ましく美しい者か……』
セトは美しい二人の女性の、永遠とも続く濃厚な絡みを見ていた。この亜空間はセトの世界。彼女達にはセトは見えないが、セトは彼女達の全てを見ていた。
あの空間にはベッドがあったが、セトの視界からはベッドを消し去り、女性二人が空間に浮かんでいる。
そしてセトの脳内では彼女達をあらゆる角度から眺める事が出来た。下から上から横から、あられもない姿を堪能出来る。
開始10分でジュリエッタは快楽に身を委ね、マーリンにされるがままにどんなに恥ずかしい格好でも許していた。
そしてうつ伏せで下半身を弄ばれ絶頂にいたる。
それから一時間後、攻守が逆転してジュリエッタがマーリンを責め続ける。好奇心の赴くまま、普段は絶対見せないマーリンの快楽に溺れる顔を眺めながら、襲っている。
今は攻守が激しく入れ替わり、くんずほぐれずお互いに快楽を貪っている。二人とも何度も絶頂に達し、身体を痙攣させている
──ちょっと薬が効きすぎたかな?
亜空間に漂う媚薬の濃度を、少しづつ増やしてきた。ふたりが女からメスの顔になったので、反対に今は媚薬濃度を減らしている。
なのに一向に止めようともしない
──いつまでつづくのかな?
セトもいい加減飽きてきた。
女体など飽きるほど見てきたし、そもそも差ほど性交渉に興味はない。ただ男女が絡むよりも、百合の方が綺麗で鑑賞に値するとは思っている。
少なくとも男同士の絡みは見たくはない。
この亜空間では時間の流れが現実界とは異なり、非常にゆっくりだ。それにここでは疲れ知らずで、体力を気にすることもなく行為に及んでいける。
だから、気の向くままこの二人は何処までも快楽を探求出来る。というかマーリンは意識的に禁欲してきたようだけど、セトはマーリンは恋人のフェル相手なら性欲に見境ない女だと知っている。
ジュリエッタに至っては乙女で18歳の今日に至るまでキスしかしたことはない、そういう事をすること自体が初めてだ。それも綺麗で尊敬するマーリン相手にはっちゃけてしまった。
自分がされて気持ち良かった行為を、そのままマーリンへお返ししている。
今はお互いの股に顔を突っ込んで、無心に奉仕している
──いやはや。終わらないね
もうほんとに飽きた。
付き合ってはいられない。
という事で……強制終了!
パンッ!
手を叩くと亜空間が解除されて……
「いっ!痛!」
「大丈夫かジュリー?
おいっ!セト!いきなり解除するな!」
御奉仕の最中にいきなり1mくらい自由落下して、床にしこたま打ち付けた
「いやね。あんなもの永遠と見せられるこっちの身にもなってみなよ。自分の亜空間だから、逃げ出す訳にもいかないだろう?それにずいぶん出来上がっていたから、声をかけても無視されると思ってね」
セトはあの錬金術師スタイルで片眼鏡をクイッとあげる。それから肩をすぼめて
「おい!ビオラ!目を覚ましてあげなさい」
キャン
一声鳴き、キメラの犬にされたビオラがジュリエッタに突進する
「きゃ!ちょっと!ビオラさん!何処舐めてるの!やめてください」
ビオラはジュリエッタの股に顔を突っ込み、激しくペロペロしている。マーリンが魔法で眠らせ、やっとの思いで引き剥がした。
ビオラ犬は伏せの状態で寝息を立てている
「あー。マーリン。ちょいとジュリエッタだけ借りるよ」
「何するつもり?」
「心配しなくていいよ。興味は失せたから。
快楽に溺れるお姫様の顔も、胸いっぱい堪能したから食傷気味でね。
もちろんキメラになんかしないさ。
なーに。ボクの亜空間で、このお姫様の愛しの君が消えたカラクリを見せてあげようと思ってね」
ジュリエッタは立ち上がると、裸のままセトの元へ向かう
「見せていただけるのですか?」
「約束だからね。ところでいつまで裸でいるつもり?
ボクは君の裸体データ嫌というほど保存したから、もう見たくないけど?」
「あ!えっと……なんか申し訳ありません。
直ぐに着ます」
ジュリエッタは騎士風戦闘服を着用する。マーリンが当たり前のように手伝う。これは長年侍女勤めをしてきたスキルだ。
ジュリエッタに仕える前から、長年帝国で皇族の侍女として仕えてきた。いわば表の顔だ。だから侍女やメイドスキルも身につけている
「ジュリエッタ。
レイハルト殿下のことで、もしかしたらショックを受けるかもしれないわ。だから覚悟しなさい」
「はい。覚悟しています。
生きているのか死んでいるのか?
生きているなら、何故わたしの元へ現れないのか?
色々知りたいです。
何より、どうやってあの結婚式で消えたのか……それだけでも……」
「大丈夫だジュリエッタ。
わたしも共に見る。
おい。セト。わたしにも見せてくれ」
セトは頷き
「いいよ。
それよりもマーリン。君もさっさと服を着てくれないかな?また発情されたら困るからね」
マーリンはローブを羽織り、二人とも冒険者の格好に戻る。セトはそれを見届けると
「では。今から亜空間へ戻るよ。
でも見えるのは映像だけ。君達の姿はボクの世界では認識出来ないからね。驚かないように……。
ただの意識体……精神体にとも言うけど、それになるだけだからね。
それと、これは過去に起きた出来事を再現しているだけで、君達には干渉できないから、そのつもりで。
では二人手を繋いで離さないようにね」
マーリンとジュリエッタは手を繋ぐ
パンッ!
セトはフッと笑って手を叩いた。




