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神の一柱


この元ボスのフロアの状況を見れば一目瞭然。


目の前の痩せた片眼鏡の男がキメラを作り出した者だろう。それに獣のようにされたビオラという少女は一度死んだらしい。それが事実ならば男は死者蘇生も行える術者ということ。


アリエッタと[聖魔の剣]のメンバーが誰一人として、身動(みじろ)ぎも出来ず固まって動けない。

無意識か意識的か、どうあがいても目の前のこの男には太刀打ち出来ないと分かっている。


アリエッタはそんな男とマーリンが対等に……それも何処となく楽しげに語り合うのを不思議と思った


「師匠。このお方はお知り合いですか?

見たところ旧知の間柄に思えますが?」

「うん?ああ。そうだね。名前は……。

教えない方がよいかな?」


「僕はどちらでも構わない。それよりも……」


マーリンに問われた男は、興味の対象をアリエッタに向けた。そして近付くと


──きゃ!何?


いきなり屈んでアリエッタのお尻を触った。そしてサワサワしながら恍惚とした顔になり


「いいお尻だ。それにこのお尻は見覚えがある。あれから三年は経ったかな?順調に成育したらこのお尻になるだろう。

うん!君はジュリエッタだね!」


──いきなりわたしの正体を暴いた!


それにお尻がどうのと……わたしはこの男なんて知らない。会ったことはおろか、触られたことはない


「困るな。この仮面を見ればわかるだろう?わたしとこの()は正体を隠しているのだよ。

バレてしまったではないか?」

「なら。コイツらみんな殺せば良いだろう?

君なら造作も無くコイツらを消し炭に出来るじゃない?」


マーリンに恐ろしい提案をする男。

マーリンは首を振り


「わたしはこの子達を気に入っているのだよ。

きっとこの世界に必要なピースでこれから、もっと必要となるピースだろう」

「君は相変わらず回りくどい言い方をするのが好きだね。まあ。君がコイツらを買っているのは分かった。僕は手を出さないようにしよう。それよりも……僕は彼女を気に入った。僕にくれないかな?永遠の美しさを保ったまま僕のペットにしてあげる」


──気持ち悪い……


アリエッタは震える。この男の手にかかれば自分なんて、なす術もなく虜にされるだろう。それにずっとお尻を触られたままだ。けれど失礼な手を振り払う勇気が持てない


「いい加減解放してくれ。それでも(うぶ)なのだよ。男にそのように臀部をさわられるのも初めてだろうさ。それがよりによってお前に触れられるなんて、どんな罰ゲームだというんだい?」

「初めて?でも確か三年前。この女は男と交わっていたぞ。三日三晩休み無くだ。その時にいい尻だとずっと見惚れていた憶えがある。あれ?

ああ。思い出した。あれは君だけど、君じゃない君だった。それなら君は紛れもない乙女かな?ジュリエッタ」


この男が何を言っているのか分からない。

アリエッタは乙女だし、男に裸を晒したこともない。

それなのに知らない間に男と交わったというのか?

君じゃない君とは、一体何を言っているのだろう?


「ほう?君じゃない君ね?わたしはその男とやらに興味がある。もしわたしの推測が確かなら、お前が拐ったのか?あの高貴な男を!」

「高貴?身分なんて僕には屁みたいなもの。

マーリン。君が直ぐ近くにいたのに、彼だとは気付かなかっただろう?それだけ巧妙に術式を掛けられ封印されていたからね。僕らは彼が本来あるべき姿に戻しただけだよ」


「本来あるべき姿……」


そこでマーリンの雰囲気がガラリと変わる


「もしや!フェルが転生したのか?

ではずっと見守って来たあの子がフェルだったのか?

どうして気付かなかったのだろう?ずっと疑っていたが、確信が持てなかった」

「君を煙に巻くほどの者なんて、そうそう居ないだろう?」


「…………アワンか?そうか……彼女なら可能だろうな。

でも何故彼女が?いや……その前に……」


マーリンは聖魔の剣のメンバーに顔を向ける


「済まないが、これより先の話は君たちの手に余る。

少し眠って貰うよ」


手に持ったロッドを振るうと、聖魔の剣の面々はその場に崩れ落ちた。皆寝息をたてている。

そしてマーリンは仮面を取り


「ジュリエッタ。貴方も外しなさい。そして挨拶なさい。この目の前のお方の名前はセト。

現界に受肉する神の一柱よ」


──神?!


ジュリエッタは仮面をとり、素顔を晒し髪が黄金に戻る


「セト様。わたくしはジュリエッタと申します。

ジュリエッタ・ウリエル・セルフィア。

セルフィア王国の第一王女にて、行方不明となったグランドロス帝国の皇太子

レイハルト・カエサル・グランドロスの婚約者です。

今はそのレイハルト様を探す旅にでています。

もし行方を知っているのなら、どうぞわたくしに教えて頂けないでしょうか?」


「うーん。手掛かりなら教えてあげても良いけど、僕にも条件がある。君をもっと観察させてくれないかな?

身体中隅々まで。

もちろん全てを脱ぎ捨てて貰うよ。

恥という概念もね」


わたしはチラリとマーリンを見た。


ここでレイハルト様の手掛かりを得るなら、この裸を神らしいセトに見せるのもやむ無し。

もしこのまま手掛かりも得られず時を重ねたら、どのみちあの肉の塊の第二皇子に穢されてしまう。


わたしは頷いた

マーリンはため息をついて


「セト。彼女の乙女を奪わないこと。

そして一切触れないこと。

更にキズひとつ付けないこと。

キメラなんかにしたら、貴方を殺せないけど、何度でも殺してあげるからそのつもりで!

それを守れるなら、ジュリエッタの覚悟に従うわ」


「いいよ。その条件で!」

「ジュリエッタ。セトは変態だけど、自身の性行為には興味がないの。ただ対象を観察するのが好きなだけだから、見られる以外は身を穢される事はないわ。

その一点は安心して欲しいの」



──安心なんて出来ないけど……



ジュリエッタは意を決して衣服を脱ぎ、一糸纏わぬ裸体となった。







やっとセトが出できましたね。

名前だけはちょくちょく出ていたと思います。


セトはアダムとイヴとの間に生まれた、不死の肉体を持つ六柱の神一人。兄弟姉妹で結婚してました。

パートナーは赤い髪の女神のアズラね。


他のペアは


カインとアワン

アベルとルルワ


因みにカインとルルワは双子さんだね。


この世界の住人は彼らの子孫です。



この六人。

旧約聖書では完全人間扱いだけど、こちらの世界では不死の肉体を持つ神様になります。


ついでに彼らとの血が濃いほど、不老不死に近い魔力の高い者が生まれます。


という設定です。




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