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漫才・コント

コント『穴の中』

作者: こやけ

※【ゲラゲラコンテスト2】参加作品

ボケ「……」


ツッコミ「……」


ボケ「暇だねー」


ツッコミ「……」


ボケ「…ねぇってば。話聞いてる?」


ツッコミ「……いやなんでそんなに普通なの?」


ボケ「こういう時は慌てちゃ駄目だと思うんだ。人間、ピンチの時にこそ平常心が大事なんだよ」


ツッコミ「それ君が言う?」


ボケ「やだなぁ。もちろん反省はしてるよ。だって僕が近道しようって言って、地図にないルートに入った結果、こんな人気のないところで穴に落ちたわけだしね」


ツッコミ「だよね!」


ボケ「でもさ。起こっちゃったことは仕方ないじゃない。だいたい高さは5mくらいかな? これじゃ自力では脱出できないし、助けを待つしかないよ」


ツッコミ「言いたいことは色々あるけど、死ぬ間際まで人を怒りたくないからもう何も言わない」


ボケ「いやいや、まだ死ぬって決まったわけじゃないじゃん。とにかく運良くリュックがクッションになって僕ら二人とも怪我はしてないわけだし」


ツッコミ「もはやそれを運が良かったとは思えないんだよ。遅かれ早かれ死ぬんなら、その時楽になってたほうが幸せだったかも」


ボケ「大丈夫だって! 僕、運だけはいいんだよ」


ツッコミ「君の言ったルートを歩いて穴に落ちてる時点で、めちゃくちゃ運は悪いんだよ! 携帯も圏外だし、どうしたらいいの…」


ボケ「暇だよねー」


ツッコミ「もう黙っててくれない?」


ボケ「ねぇ、好きな人とかいるの?」


ツッコミ「修学旅行じゃないんだよ。遭難中に聞くことじゃないからそれ」


ボケ「だって暇じゃんかー!」


ツッコミ「遭難中に暇も糞もないんだよ。生きるか死ぬかの瀬戸際で、ほぼ死が濃厚なんだから」


ボケ「大丈夫だって。そう簡単に人間は死なないよ。もっとポジティブにいこうぜ」


ツッコミ「……はー、正直に言うとさ、どんなことがあっても悲観的にならない君のことが少し羨ましい自分もいるんけどね。でもこういう状況になって分かった。僕にはポジティブは無理だよ」


ボケ「無理じゃないって。だって君の立場だったら僕のことめちゃくちゃ責めるのが普通だよ?」


ツッコミ「自覚はあったんだね」


ボケ「なのに君はちょっと愚痴るだけで、僕を責めなかった。世の中は、そういう人こそ幸せになるべきだと思うんだ」


ツッコミ「いや何が言いたいの?」


ボケ「君の後ろに木箱があるよね」


ツッコミ「え? あ、本当だ」


ボケ「出発する前にちょっと調べたんだけど、この山さ、埋蔵金伝説で有名な山なんだよね」


ツッコミ「え、マジで?」


ボケ「マジでマジで」


ツッコミ「ということはこれまさか…」


ボケ「そのまさかじゃない?」


ツッコミ「いやでもこれが埋蔵金だとして、ここから出れないと意味ないでしょ!」


ボケ「だから出られるって」


ツッコミ「いやその根拠のない自信はなんなの?」


ボケ「別に根拠のない自信ってわけじゃないんだけど…」


ツッコミ「え、どういうこと?」


ボケ「実はさ、穴に落ちる時、スマホ落としたんだよ。だから今頃その位置情報で、救助隊は僕らのこと探してくれてるんじゃないかなーって」


ツッコミ「なーんでそれもっと早く言ってくれない?」


ボケ「ごめんごめん」


ツッコミ「いや、それでも助かるかどうかは…」


途端、真上の照明の光が強くなる


二人ともゆっくり上を見上げる


ツッコミ「うおおお! ここです!(立ち上がって思いっきり手を振る)」


ボケ「……ほら、だから言ったでしょ? 僕、運だけはいいんだって」


暗転して終わり

板付き時点では、ボケ、ツッコミ共にリュックを背負ったハイキング風の格好で体育座りした状態で、舞台上の照明は可能な限り薄暗くするイメージです。

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