プロローグ7 テレムーブ
魔物が降ってきて数分。
ただいま狭く汚いボロ小屋にいますが、あっという間に魔物に囲まれました。
・・・と、いうのもこの世界に魔物は何故か光に集まる習性がある模様。
蛾みたいだな。
じゃあ、電気消せばいいだけじゃん、そう思うじゃん。
しかし残念。うちの電気は特殊で、なんかどうやっても消せないみたい。
どういう仕組みしてるのかが兎に角気になるが、今はそんなこと考えてる余裕はない。
外の奴らが強すぎてただでさえボッロボロな小屋が壊れかけてるのだ。
「母さん、もう限界です!」
「ええい!なんじゃよこの魔物は。」
最初は魔法で何とかなるかと思いきや、こんな狭いところで魔法出したら小屋が壊れるらしい。
まあこの状態を抜け出す方法が一つだけあるのだ。
それは俺が覚えた数少ない魔法の一つであるテレムーブ、瞬間移動技だ。
これは俺が覚えられる数少ない無属性魔法の一つで、魔法の使用者+1人を移動させることが出来る魔法だ。
しかしこの魔法はさっき言ったが、魔法の使用者+1人しか移動できない。
つまり師匠かライカのどちらかはここに残らなくてはならない。
しかもそのうえ、俺の魔法はまだ未熟なため、正確な場所を指定することが出来ない、すこしはズレてしまうのだ。
俺はどうすればいいのだ・・・
「テレムーブでライカと逃げろ!」
師匠が声をあげて言った。
「そんな、お母さんは・・・」
「私みたいな老いぼれよりあんたらみたいな若者は長生きだ。」
そんなこと、出来ない。
師匠は厳しく、しかし優しい人だった。
あんなに弱かった俺をここまで強くしてくれたのは全て師匠だ。
「俺は師匠を置いていくことは出来ない。」
「この馬鹿者が!」
師匠は怒鳴った。
「ここであんたらが逃げなければここでみんな死ぬんだぞ。あんたらだけでもサッサと逃げるんだ!」
「もうダメです!家が崩れます!」
遂に攻撃の耐え切れず、家の壁が崩れた。
「早く!」
俺は信じた。
師匠なら生き延びれる、と。
俺はライカの手を繋いだ。
「え?」
「テレムーブ。」
俺とライカは壊れた家から離脱に成功した。
移動した後は俺が最初にやって来た森の中だった。
俺とライカは走った。
この森も数年のうちに道を覚え、迷わないようになった。
俺らは洞窟に逃げた。
多分ここなら何も来ないだろうと思ったからだ。
ライカを見ると泣いていた。
「お母さん・・・」
「大丈夫、師匠なら生き残れるだろうさ。」
「だと・・・いいね・・・」
そして洞窟に逃げ込んでしばらくたった。
雨も止み、いつしか再び綺麗な青空が顔を出していた。