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日ノ御子戦記〜うさうた〜  作者: おはよう太郎
PR13 神祓天
22/47

PR13 (1)


 あの日、五月雨(さつきあめ)の降りしきる中、引波家の前で傘もささずに立ち尽くす一人の少女がいた。


 紫兎はその気配を感じ、玄関から家を出ると。頭からずぶ濡れになっているその少女に歩み寄って、赤い傘を差し出した。


 紫兎にはその少女が御子だとすぐに分かった。

 神使ノ獣(しんしじゅう)()いていたからだ。

 そして、その少女が自分に何か伝えたいことがあることも。


 まるで喪に服したような黒鴉(カラス)色の御子装束。ずぶ濡れの御子は差し出された傘に目もくれずに口を開いた。


「あんたが、引波紫兎ちゃんやな?」


 頷く紫兎に、その御子は手に持っていた一つの煌河石(こうがせき)を差し出した。

「…ごめん……」と、雨音に打ち消されそうな(かす)れ声を喉の奥から絞り出しながら。


 その煌河石は紫兎が神祓天(かみはら そら)に渡したものだった。

 禍抓(マガツ)と呼ばれる手強い鬼魔ノ衆との決戦に向かう(そら)に、お守りとして。

 ありがとう、と滅多に見せない笑顔で(そら)がそれを受け取ってくれたのは、つい昨日のことだった。


 その煌河石にそっと手を伸ばしながら紫兎は気づく。

 その御子の(ほほ)が濡れているのは雨のせいだけではないことに。


 …ぁ……


 一瞬で理解した。

 大好きだった神祓天は、もうここには戻ってこないのだと。


 あの時、自己転移魔法で姿を消す神祓天を見送りながら、紫兎にはすでにそんな予感があった。


 まるで捕まえた蝶を逃がさないようにするような優しさでその煌河石を両手でそっと包み込む。

 すると、白く(はかな)げな光の粒子がフワッ…と(おぼろ)立ち、紫兎の指の間からすり抜けていった。


「……(そら)さん……は?」


「…消えてしもうた……ヤツを道連れにして……」


 涙は出なかった。

 代わりに全身が、そして心の芯までもが鈍色(にぶいろ)の鉛と化したように重くなり。

 ザーッと降りしきる冷たい雨音とともに紫兎の周りの世界が色と音を失っていく。


 黒鴉色の御子は淡々と言葉をつなぐ。

「…それと、(そら)ちゃんからあんたに伝言があるんや…」

 グッと下唇を噛んでから、神祓天が引波紫兎に残した言葉を、そのまま伝えた。

「ありがとう、楽しかった……やて」


「……………………」


 瞳の色を失ったまま茫然と煌河石を見つめている少女…引波紫兎にその言葉が届いたのかどうか、鴨宮あずきには分からなかった。

 …が、他にかける言葉も思いつかず。

「…ほな……」と背を向けた。


 雨はざーざーと降り続いていた。

 どれぐらいその場に立ち尽くしていたのだろうか。


 紫兎がふと顔をあげると、煌河石を届けてくれた御子はもう姿を消していた。

 手に持っていたはずの赤い傘は開いたまま足元に転がっている。

「…うっ……」

 自分は泣いているのだと気づいた。

 無機質な雨音に打たれ、消えてしまった神祓天を想いながら、ただただ静かな涙が流れる。

 …ぅぅ…っ……ぅっ…ぅっ……

 胸の前で祈るように握っていた煌河石は、すでに光を失っていた。



 やっぱりここにいた……

 二條いちみは、消灯され誰もいない食堂の自動販売機の前でボーっと蒼白い顔で幽霊のように突っ立っている引波五郎を見つけた。


 あれは、そうとう(へこ)んでいるわね…

 まあ、無理もないか。


「司令…?」


「…ぁぁ…二條か…何か飲むか?」


 ゆらっと振り向くその動きだけ見てもすっかり魂が抜けているようだった。いちみが声を掛けるまでずっとそうして小銭を指先に持ったままだったに違いない。


「ほな…いただきます」


 手にしていた小銭をやっと自動販売機に放り込んでから、好きなボタンを押せと身振りする。

 いちみは無糖のアイスコーヒーを選び。ガコン!と吐き出された缶を五郎が取り出してくれた。

 そして五郎も同じものを選んだ。


 五郎は手近なテーブルの椅子を引き、腑抜けた体を投げ出すように腰掛け、カシュッ!と缶を開けた。


「…言い過ぎ…だったよな?」


 いちみは向かいの椅子の背を取り、同じように缶を開ける。

 それをひと口飲んでから。

「ご心配なんですよね?…紫兎ちゃんのこと」


「まあな」


「でもまさか…ホンマにあそこに潜るなんて言い出したのには、わたしも驚きましたけど…」


「あいつは、ああ見えてもかなり頑固でな…言い出したら聞かん」


「紫兎ちゃんは御子に憧れているんですね」


「憧れ、と言うより、後悔……かもしれん」


「後悔?」


「二條は、神祓天(かみはら そら)という御子を知ってるか?」


「もちろんです。わたしは直接()うたことはないですけど、あずきがよう知ってますし。その噂は色々と…でも今は行方不明と聞いてます」


「ああ、どうやら手強い鬼魔ノ衆(バケモノ)と戦った後に姿を消してしまったらしい。琵琶湖の津波、アレだ」


「…そう…だったんですね。ソレにあずきが関わっていたことは知ってましたけど…」


「紫兎も色々と知っているはずなんだが、その事をあまり話したがらなくてな。(そら)は紫兎と仲が良かったんだ…」


「それは…初耳です」


「なんだ、二條は聞いてなかったのか」


「ええ」


「初めてだったよ、紫兎が友達をウチに連れてきたのは。あいつ、どうやら、学校にはあまり馴染めていないらしくてな。俺もその時は嬉しかったのをよく覚えてる」


「そうやったんですか…」


(そら)は記憶をなくしていて、頼る所もなくて、結局ウチに住み込むようになって…」


「それ、前にも似たような話を聞きましたが…」


「ははっ…そうだったな」


「ほんま…司令はそういう体質なんとちゃいますか?」


「かもしれん…だが、何というか、俺には(そら)と紫兎が姉妹のように見えてくることさえあった。口数が少なくてもの静かな子だったが、いい子でな。たまに笑顔を見せるんだが、それがまた可愛くて…」


 五郎はつぃと天井を見上げて、神祓天のはにかむ笑顔を思い起こした。


「司令は知ってはったんですか?…その…神祓天が御子だということを」


「ああ、知っていた。そもそも(そら)がウチに出入りするようになったのは、紫兎を鬼魔ノ衆(キマノス)から救ってくれたことがキッカケでな…」



 うぅ、やばい…

 献立(メニュー)で悩んでいたら遅くなっちゃった。


 その日は、おばあちゃんが町内旅行でいなかったので紫兎が夕飯を作ることになっていた。

 学校帰りにスーパーに寄り、食材を選ぶのに思いのほか時間がかかってしまった。

 すでに辺りが暗くなっていて、近道の公園の樹々の間を抜けながら足を早める。そこは変質者の出没が多く、遅い時間は絶対に通るな、と五郎にも釘を刺されていた。

 急いで抜ければ大丈夫と思い、足を踏み入れた。


 実はものすごく嫌な予感もあったのだが、そして紫兎の嫌な予感はだいたい当たるのだが。


 かくしてその嫌な予感は見事に当たり、紫兎は鬼魔ノ衆と出くわした。

 一ツ目で口が裂け、腕が6本も生えている大きさは熊ほどの異形の物ノ怪(もののけ)

 変質者の方がよっぽどマシだと思えた。

 お約束のように周りには誰もいない。

 初めて出くわした化け物に、紫兎は悲鳴を上げることもできず恐怖で立ちすくんだ。


 そこに神社の巫女服のような紅白の衣装で、長い銀髪の少女が忽然と現れた。

 そして長い槍のようなもので化け物を斬り裂き、手から放った光の球でそれを塵に変えてしまった。


 あまりの唐突な出来事に紫兎は放心しきって、ただ銀髪の少女をボーッと見つめていた。


 ……誰?

 何もないところから急に出てきた…

 すごい髪色…外人の巫女さん?…でも綺麗な人…


「あなた……大丈夫?」

 そう話しかける少女の透き通る孔雀青(ピーコック ブルー)の瞳で覗きこまれ、紫兎はハッと我に返った。


 ふと見ると、その少女の頭の上に何かが浮いているのに気づく。

 …何だろ?…ぬいぐるみ?

 でも何の動物だろう…


 プカプカと浮いているぬいぐるみらしきヘンテコを見つめていると、頭の中に直接声が聞こえてきて驚いた。

「えっ?!…しゃべった…」


 今度は銀髪の少女が驚く番だった。

「あなた…もしかして神使ノ獣(しんしじゅう)が見えてる?…あなたも御子?」


 しんしじゅう?

 みこ?…

 紫兎には、その少女がいったい何の話をしているのかわからない。


「それより、何ですか?それ。その浮いてるヘンテコな…ぬいぐるみ?」


 ヘンテコ、と言われ気に障ったらしい。ぬいぐるみらしきものがプリプリと怒り出した。

 銀髪の少女が「もう…うるさい!」とソレの頭を平手で引っ叩いた。


 漫才のようなその様子が可笑しくて、紫兎はプッと吹き出した。

 …が、再び孔雀青(ピーコック ブルー)の瞳にジッと見つめられているのに気づき、笑いを止めた。

「…ぁ…ごめんなさい…」


 銀髪の少女のお腹がグー〜と音を出す 。

 ぽっと顔を赤くして恥ずかしそうに俯いたのが印象的だった。

 そうだ、と紫兎は両手に提げていた食材の中からガサゴソとコロッケを取り出し。

「…あの…良かったらどうぞ」と。


 揚げたてのコロッケの美味しそうな匂いが鼻先に漂い、銀髪の少女はゴクッと喉を鳴らした。

「…ぇっ…いいの?…あ……ありがと……」


 ヘンテコなぬいぐるみが、俺も食べたい、と要求してくる。


「え?…君も欲しいの?…はい、どうぞ…」


 へえ…コロッケ、食べるんだ…

 紫兎には驚きだった。


 ペロリと食べ終え、銀髪の少女とぬいぐるみが顔を見合わせた。

「…あの…あなた、少し時間ある?…わたしは御子の神祓天(かみはら そら)


「ミコノカミハラ…ソラ…さん?…」

 その時は妙に長い苗字だと思った。

「わたしは紫兎(しと)、引波紫兎です。あの、今さらですけど、さっきは助けてくれてありがとうございました」


 そのまま公園のベンチで並んで残りのコロッケを食べることになって。

 紫兎は不思議な少女と不思議なぬいぐるみに心を奪われ、夕飯係のことなどすっかり忘れていた。


「…あなた、饅頭(まんじゅう)が見えてるのね?」


「まんじゅう?…は、ごめんなさい、今日は買ってないの」


「…ぁ…饅頭っていうのは、このヘンテコな可愛くないヤツの名前よ」

 神祓天は喋るぬいぐるみを指差す。

 コロッケを二つもパンパンに口に詰め込みながら、ヘンテコはまたプリプリと怒り出す。


「…文句垂れ流してるけど気にしないで。放っておいて大丈夫だから」


 何それ?…変な名前……

 紫兎はまた可笑しくなって、クククッ…と笑い出すのを抑えられなかった。


「…あの…引波さん…?」


「…ごめんなさい…紫兎でいいよ」

 ふーっ…と笑いがおさまった。


「…ぁ…じゃあ、紫兎ちゃん…あなたの神使ノ獣(しんしじゅう)は?…どこ?」


「シンシジュウ…って何ですか?」


「本当に知らないのね。でも不思議、神使ノ獣が見えるのは御子だけのはずなのに…」


 この人、さっきからいったい何の話しをしているんだろう?

「それより…ぇぇと…さっきのアレは?…お化け?」


「うん、そんなようなもの。鬼魔ノ衆(キノマス)って呼ばれてる。わたしは御子(みこ)。鬼魔ノ衆を浄化している」


 ミコ…って神社にいるあの巫女?

 そこでやっとカミノハラが苗字だと気づいた。

 それに、浄化?…って言うんだ。

 魔法みたいだった。空中を飛んだり、綺麗な光を出したり…

 でも何だろ?…不思議とこの人と初めて会った気がしない。


「……カミハラさんは…」


(そら)で、いい」


「ぇっと、じゃあ…(そら)さんは…その…魔法少女なの?」

 紫兎は勇気を出して訊いてみた。


「うん、そう。御子は魔法少女みたいなもの」


 否定しないんだ…

「どうして、その…ミコをやってるの?」


「それが…わたしにもよく分からない。記憶が無い」


「えッ?!…そうなんですか?」


 神祓天は口下手で説明が上手くない、ということで、代わりに饅頭がペラペラと喋り出した。

 どうやら神祓天も饅頭も出自などの記憶を失っていて、鬼魔ノ衆を浄化しなければならないという使命感だけは覚えているらしい。

 そして全国各地の御子を探しながら、とある鬼魔ノ衆を追っている、と。

 ちなみに御子は、神社の巫女とは違うと教えてくれた。ややこしい…


「じゃあ、(そら)さんみたいな御子さんが他にもいるの?」


「そう…だから、あなたも御子だと思った」


 わたしが…?

「でも、違うと思う…だって、わたしには饅頭みたいな神使ノ獣がいないよ」


「そう…だから不思議。でも、紫兎ちゃんから不思議な魔力を感じる」


「魔力?…ないよ」

 空中に浮いたり、光を放ったり…そんなことができるならもうやっている。

 でも…

 ひょっとして煌河石(あれ)のことかな…?


 紫兎は手をかざすと光の粒子が舞う不思議な石を持っていた。

 五郎ちゃんからは他の人に絶対に見せるな、と言われているけど…


「どうしたの…?」


 じっと横顔を覗き込んでくる(そら)に思い切って打ち明けてみた。


「…でも…あの……わたし、不思議な石を持ってます。煌河石(こうがせき)と呼んでます。その石を(そら)さんにも見て欲しい」


 どんな図鑑にもない、ネットで調べても出てこない。

 煌河石について、この不思議な銀髪の少女…御子さんなら、見せれば何かわかるかも知れないと思った。


「うん、いいけど。お家の人は…いいの?」


「ぁ…!」

 長々と話し込んでしまい、気づけば辺りはもう真っ暗で。慌てて紫兎は鞄に入れっぱなしだったスマホを取り出した。

 時計表示はもう20:14。五郎からの着信履歴が20回以上も。


「うわー…まっずい…」


 即座に電話をかけると「バッカモーン!!」といきなり怒鳴られた。

 もう少しで警察に電話するところだった、とも。

「ゴメン。すぐ帰るから、事情は後で」と強引に通話を切った。


「…大丈夫?」

 心配顔の(そら)に。


 紫兎は勢いで。

(そら)さん、お願い。一緒に(ウチ)まで来て」



「…と……まあ、そんな感じで神祓天(かみはら そら)がウチに転がり込んだ」


「ちょ…ちょっと待って下さい!…司令!」

 いちみは前のめりになる。


「ん?…どうした?」


「紫兎ちゃんは…神使ノ獣(しんしじゅう)が見えているんですか?!」


 今にも飛びかかって来そうな勢いの二條いちみに、五郎は思わず仰け反った。

「あ…あれ?…言ってなかったか?」


「初耳ですっ!!」

 いちみはドカッ!と椅子に座り直し、ムッと腕と脚を組んで五郎を睨みつける。


「や……すまん、俺には当たり前だったんで…」




「なんや、ただの親子喧嘩か…」

 五郎と紫兎の一部始終をあずきの肩越しから覗き見ていた重鎮…鴨宮はしらは、呆れ声をあげた。


 あずきは、頭の後ろで腕を組み、ふと考える。

「なあ、おとん、一つ訊いてもええか?」


「なんや、あらたまって」


「何で紫兎ちゃんは神使ノ獣が見えるんやろ?」


「なんや、そんなことか。そんなん考えんでもわかるやろ。あずきちゃんもついさっき、その答えを自分で言うとったやないか」


「え?…それって…」

 紫兎ちゃんは御子?……でも……



 二條いちみはどこをどう見ても不機嫌だった。

 まるで尋問しているような捜査官っぷりで五郎に詰め寄る。

「それで?!…司令はいつ知りはったんですか?!」


「ぇ…何を?」


「何を?…じゃないですっ!…紫兎ちゃんが、神使ノ獣が見えていることに、です!」


「ぁ…ああ、そのことなら、(そら)を連れてきたその日に紫兎がすぐに話してくれた。饅頭というヘンテコな名のヘンテコなぬいぐるみが浮いているってさ。(そら)も一緒に食卓を囲んでいたから、御子についても色々と教えてくれたし…ははっ…」


「…笑い事やないです」


 うっ…

「…ま…まあ、そう睨むな、二條」


 いちみは呆れ切って「はーーーっ…」と大きな嘆息を放り投げる。

「…ということは、会ったその日に神祓天が御子だと知った、ということですね?」


「ああ、まあな」


「驚かなかったんですか?」


「もちろん驚いた。でも、それほどでもなかった。もうその時には、俺流で御子と鬼魔ノ衆ことを調べていたからな。なんちゃって知識だけはあった。…まあ…想像と実像は色んな意味で違っていたが、どちらかと言えば感動の方が大きかった。ずっと探してたからな…御子は本当に存在するんだ…ってな。ははっ…」


 呑気に笑う五郎を、二條いちみはジロリと睨みつける。


「…っと…まあ、そんなんだから、紫兎に神使ノ獣が見えるというのも、それがどれほどレアなことか俺にはピンときてなかったってわけだ」


「…話を戻します。紫兎ちゃんの、後悔、は、神祓天と関係あるっちゅうことですね?」


「まあな。紫兎は(そら)が帰ってこなかったことがよほどショックだったらしくて、一週間ほど部屋に閉じこもってた。まさしく天の岩戸(あまのいわと)だ。事情を知らなかった俺は、もちろん心配だったが、部屋の前に置いた(めし)には手をつけていたんで、まあそのうち出てくるだろうと見守ってるだけだったが…」


「なんか、そういうところ…司令らしい、ですね」


「褒め言葉と受け取っておくよ。で…引きこもりから出てきた紫兎から開口一番、煌河石を調べてくれ、とお願いされた」


「ぁぁ…それで東雲(しののめ)さんの所で石を調べはったんですね」


「その結果は二條と初顔合わせした時に話した通りだ。もう一つ、紫兎は京都に行きたいと言い出した」


「京都?」


「ああ、鴨宮家だ。おれのPC(パソコン)の情報から知ったのだろうな。紫兎にしてみれば俺の暗証コードを盗む(クラック)することなど朝飯前だし。他にも色々と御子や鬼魔ノ衆に関する各機関の機密事項にもアクセスしてたらしい。俺のPCからなら怪しまれないからな…」


「…で、行かせたんですね?」


「ああ、一人で行く、と言って聞かなかった」


「それで?…鴨宮家には何が?」


「鴨宮あずき……紫兎は、あずきに会いに行った」


読んで頂きましてありがとうございます。

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