表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

いつもと同じで違う風景

作者: 窪宮彩

いいかげんいつもと同じ事の繰り返しに嫌気がさした。

毎日同じ時間に起きて、

ぱさぱさのパンをかじりながら、

味の無いコーヒーで流し込む。

時計代わりにつまんない芸能情報ばかりのテレビを見て、

最低限の身なりをととのえて時間になったら家を出る。


いつもと同じ時間のバスに乗る。

ほぼいつもと同じメンバーだ。

みんな周りをみても、スマホ、スマホ、スマホだらけ。

他人なんか誰も気にしていない。


いつもと同じ時間に駅に着く。

いつもと同じ電車に乗る。

これまたバスとほぼ同じいつものメンバーだ。

ここでも、みんな、スマホ、スマホ、スマホだらけ。

何が楽しいんだか。


「痛い!」急に横のおじさんに足を踏まれる。

何故か踏んだ方のおじさんが、「チッ」と舌打ちして こっちを睨んできた。

ああ、いつから世の中はこんな風になっちゃったんだろう。

世界は自分を中心に回っている人ばかり。


次の駅を告げるアナウンスが流れた。

いつもと同じ窓から見える風景。

ゆっくり電車が減速して、駅に到着した。

いつもと同じ様にドアが開く。

たくさんの人が降りて、また降りた分だけ人が乗る。

ちょっと待って。

ふいにこの駅に降りてみたくなった。

いつも通り過ぎるだけの場所だけれど、今日は何だかそんな気分。


駅から降りた時、目の前に知らない風景が広がった。

いつも電車から見ている時は、ありふれた風景なのにこんなに違うなんて。


しばらく駅のイスに座って、私はぼんやりと何本も満員電車を見送った。

喉が渇いたので、近くの自販機で缶コーヒーを買った。

「うまい」こんなに缶コーヒーっておいしかったっけ。

よく冷えてて、喉に心地よい。


いつのまにか猫が一匹、私の横にちょこんと座っていた。

でも残念!

目が合ったとたんすーっとどこかに消えてしまった。


そうだ、今日はずる休みして、見知らぬ場所に行ってみよう。

いつもいつも毎日判を押した様な生活に、ちょっとだけさよならして。


何かいい事があるかもしれない。

最近忘れていたワクワク感をとりもどせるかもしれない。

そんな気持ちを胸に秘めて、、、少しだけこの街で迷子になろうと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ