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わたしもチート?

宿から少し離れたところに雑貨の店と衣類の店がある。


日用品と衣類を2人分買い込んだ。

中世欧州風というか、欧州民族衣装風というか、丈の長いスカートとボレロが基本の格好なので、それを買った。

もちろん古着である。

本来なら自作すべきなのだか、そんな時間はないし、生憎裁縫はそこまで得意ではない。


どちらの店も何度か利用しているせいか、今回たくさん買い込んだからか、衣類はかなり値引いてくれたし、雑貨はオマケをつけてくれた。


あとは簡単な武器になるものでも仕入れておかないと。

一応護衛も兼ねてるから、丸腰というわけにもいかないよね。


ということで、一旦宿に荷物を置き、再度外に出る。



「あれヒスイ?」


外に出ると名前を呼ばれた。

振り返ると、一度依頼を受けた女性がいた。


「カトリエルネ!久しぶり!あれからどう?旦那さんと仲良くしてる?」


カトリエルネは悪魔に求婚されて、どうにか断りたいという依頼を出していた人。

カトリエルネ、相手の悪魔、カトリエルネの家族、とそれぞれに何度も話を聞いて、最終的には悪魔に嫁入りしたんだった。


久しぶりに会ったカトリエルネは幸せオーラ全開にしてる。


「ふふっ、わかる?実はね、3人目の子ができてね。彼、すでにデレデレなのよ。上の子たちのことも物凄く可愛がってるんたけど」


武器を買いに行く道すがら、依頼完了したあとのカトリエルネの話を聞いていく。


「あの時はホント、ヒスイがいてくれてよかった。ヒスイがいなかったら、どうでもいい人と慌てて身を固めるとこだったよ。そしたら今の幸せはなかったんだもんね」


幸せそうなため息をついて


「で、どこいくの?」


と聞いてきた。


「依頼のために武器をちょっとね」

「他の誰かの幸せのため、だよね?」

「うん、そうだよ」

「そっか、ヒスイにはその力があるんだから使わなきゃね」


カトリエルネ、それなに?

わたしの力って。


「だから、ヒスイは人を幸せにする力があるってこと。わたしもだけど、ヒスイのそばにいると落ち着くというか、自分と向き合っていこっとか、周りの人を傷つけたくないなって自然に思えてくるんだよね。これは彼も言ってた」


わたしが交渉に行く前は、あの悪魔は拉致ってでも、家族を破壊してでも、カトリエルネを自分のものにしようとしたらしい。


わたしが何度か交渉に行き、だんだんとそれが変わっていったという。


いや、それは普通なのでは?

第三者が間に入ることで冷静になるし、冷静になればいい方法を考えやすくなるし。


というと、それは違うよ、と。

あの悪魔は、こんな気持ち初めてだと言っていたとか。


いやだから、それまでそこまで悪魔にこんこんと諭した人がいなかったのでは?と思ったが、店に着いてしまったので黙っておいた。


チート能力ゼロの翡翠じゃない、という人がいてもいいよね?

真実はどうあれ。


店の入り口でカトリエルネと別れ、店に入った。


「こんにちは」

武器屋のマスターは物静かな人で、自分から話しかけることはめったにないし、声を荒げることもない。

その分、本気で怒らせるととんでもなく怖いとか。


マスターはちょうど武器の手入れをしていたようで、わたしを見て一瞬目を大きくしたけど、うなづいてまた、手元に目を落とした。


店の中は、半分が武器、半分が防具という配分になっていて、武器は比較的初心者でも扱えるようなものがメインになっている。

間違えてもドラゴンキラーみたいな、Sランク勇者しか使えないようなものなんてない。


防具も、いいとこ鎖かたびらかな。


今回争うことはほぼないと思うけど、念のためダガーとナイフを買うことにする。


防具は皮の胸当てがあれば御の字。

でも服の下に着ると太って見えるから嫌なんだよね。

むーん、と悩みつつ、マスターに聞いてみる。


「マスター、皮の胸当てより薄くて機能的に同じくらいのものってある?ホラ、皮の胸当てって太って見えちゃうから…」


マスターはわたしに一瞬目を向け、いやいやと首を振ってから、カウンターを出て手招きした。



防具コーナーの下の方からなにやら取り出す。

それはコルセットでは?


「特殊糸で織られた布でできているコルセット。セットでペチコートもあるけど、どうする?あとは、反撃用アミュレットやタリスマンとかなら気にならないかな」


コルセットか〜。

むむむ、ぎゅうぎゅう締めるやつだよね。


と思うわたしの気持ちを見抜いたのか


「防具の一種なので、そんなに締めないタイプですよ。女性魔導師候補生がよく買い求めてい―」

「買います」


即決した。


「ついでにペチコートとアミュレットとタリスマンもお願い。全部2人分で」

「アミュレットやタリスマンは効果ごとに種類あるから、必要なものを選んでください」


店の真ん中のテーブルにある分だけで足りないならまだありますよと、壁際の棚を目で示してくれる。


テーブルにあるものだけでも結構種類あるわね。


とりあえず普通の防御タイプのものと、攻撃された瞬間に発動する反撃タイプのものが2〜3個あればいいかな。


どれも自然に身につけられるようにアクセサリー加工されていて、嬉しい限りよね。


わたしはピアスタイプと指輪タイプのものを自分用に、ネックレスタイプとバングルタイプのものを雪白用に、ブローチタイプのものを予備として選ぶ。


もし足りないようなら、また買い足せばいいし。


…そんな事態にならないのが一番なんだけどね。


全ての会計を済ませて、外に出る。

夕闇迫る時間になっていた。

結構時間かかったな。ま、下手なものを選べない分仕方ないよね。


何が起きてもいいように、今買ったばかりの指輪をはめておく。



さて、今日はこんなところかな。

また少し情報集めておけばいいか。

そろそろご飯の時間だし…



わたしは部屋へ戻り、汗を流してさっぱりしてから、食堂へ向かった。

その時はまだ、食堂での美味しいご飯しか考えられなかったのだけど…。






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