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意識の変化(後編)

1、気の扱いの鍛錬とは


 気の鍛錬は、気の放出量を調整することだった。

 武器を構えた状態で精神統一を行うような感じで気の放出量を調整した。

「フェイ、まだ放出量が多いぞ。ハウト、お前は逆に少なすぎる。減らすんじゃなくて

 密度を濃くするんだ」

 ディアーからの指導を受ける。

 これが思ったより難しく、なかなかバランスの良い状態に持って行けない。

 また、気の消費量が戦闘をしているかのようにゴリゴリ減っていくので想像以上に疲れる。

「ふむ、そろそろ終わりにするか」

「え、まだいけます」

 私は少し抗議する。

「お前はな。フェイは放出量多い状態が続いてたからもう限界のはずだ」

「た、助かります」

 フェイは私が思っているよりずっと疲弊していた。

「この鍛錬はまだお前らだけだからな。それに初日なんだから無理をさせらんねえ」

「分かりました」

 フェイの様子を見てその説明を受けて私も納得する。

「お前らは後は休んでていいぞ。おーい、残りの奴らは乱取りだ!」

 私たちは言われたとおり休むことにした。




裏話1、卯月の不満


 ハウトとフェイが特別メニューで気の扱いの鍛錬を受けるようになった。

 私、月代卯月は正直羨ましいと思った。

 私の方が長く鍛錬していたのに先を越されてしまったからだ。

 それもこれもエンジがやる気ないからだ。

 彼女は実力も体力もあるのに最低限のことしかしない。

 それに付き合わされる形でもっとちゃんと鍛錬したいのに出来ない。

「ん、卯月、どうかしたか?」

 ディアーが私の様子を見て声をかけてきた。

 思い切って話してみるか。

「あの、エンジのやる気についてなんですが」

「ああ、その件か」

 ディアーにも思い当たるところがあるらしい。

「あのやる気のなさのせいで、私は気の扱いの鍛錬が出来ないと感じるんです」

「まあ、気持ちは分かる。あいつの普段の態度はどう見ても怠けてるからな。だが、

 あいつは基礎ができあがってるから次に移りたい欲求不満の表れでもある。まあ俺は

 基礎を真面目に出来ない奴に応用技術を教える気はないがな」

「でも、それじゃあ私がいつまで経っても――」

「安心しな。さっき次に移りたい欲求不満と言ったろ。お前がいつもと違って不満が

 あるのと同様にあいつも生で応用技術見せられて目の色を変えるだろうから。試しに

 明日の乱取りで全力で相手してみな」

「えっ!? だ、大丈夫ですか? 私も流石にエンジを殺したくはないですよ?」

「大丈夫大丈夫、やってみりゃ分かるから」

 私は不安が残りながらも、ディアーの教えられたとおりにしてみようと思った。




裏話2、エンジの本気


 翌日の乱取りの時間になった。

 それまでの鍛錬は今までと変わらないように思えた。

 だから不満もあるし不安もあった。

「ねえエンジ。今日の乱取り、本気でいくからね」

「んーりょうかーい」

 いつものやる気なさそうな返事に、本当に大丈夫なのかさらに不安になる。

 そして乱取りが開始した。

 私は双剣使いなので左右に短い短剣を持っている。それを怒濤の勢いで連撃をかます。

 すると、エンジはそれを難なくいなし、私に攻撃をするほど余裕ではないか!

 驚いた私はまずエンジをしっかり見た。いつものやる気のない目はなく、真剣そのもののまっすぐな目をしていた。

 私は不満も不安も消え去り、期待がムクムクと膨れ上がった。


 そして、乱取りを終えた後、エンジに自然と笑顔を返した。

 エンジはちょっと恥ずかしそうに俯くと、そそくさと帰る支度を始めた。

「な、言ったとおりだろ」

 ディアーが私に話しかけてきた。

「ですね、びっくりしました」

 卯月も返事する。

 そう遠くないうちに自分たちも気の扱いの鍛錬が出来ると思った卯月であった。


 

ハウト視点以外の話は基本書かないですが、たまにこういう形で入れることがあります。ただし短い話限定になると思います。

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