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ガンデルフィーニ事変(前編)

1、宣戦布告


 イメリア歴518年4月29日。

 この日、ガンデルフィーニと呼ばれる悪魔が各地の領を攻め込むことを宣言した。

 フェイス領でも緊急招集がかかり、作戦会議となった。

「さて、みんなに集まってもらったのは他でもない。この宣戦布告を受けて対策を考える

 必要があると判断したからだ」

 ブリングが招集理由を語る。だが、それは皆知っているようで早く続きが聞きたいと構えているようだった。

「今現在存在している領は北西大陸のセントビア、ナスティア、アングリア。南西大陸の

 ヴァンス、ウォル、ジャヤ、南東の島のオルヴィナ、北中央の島の桜花と我がフェイス。

 この内、ウォルにはヴォイド率いる旧フェイスメンバーがいることからヴァンス、

 ウォル、ジャヤは守りはいらないと考えている。次にオルヴィナだが、あそこは守るに

 値しないクズの巣窟だから放置する。残りのセントビア、ナスティア、アングリア、

 桜花だが、アングリアは強者が揃っているため守りはいらない。つまり、セントビア、

 ナスティア、桜花の3領に応援者を派遣しようと思っている」

「だな。恩を売ることもできるし、今後の活動を見据えて応援者を派遣するのは賛成だ。

 しかし、問題は相手の戦力がどこにどれだけ来るか分からないところだな」

 ブリングが総括を話し、ディアーが賛同し新たな疑問をぶつける。

「セントビア、ナスティアにはそれぞれ独自の防衛者がいることを考えると人数は

 少なくて良いだろう。盗賊の被害を受けた桜花に集中して応援を派遣するつもりだ」

「なるほど。それで、誰をどう派遣するんだ?」

「まず自領の守りは俺とレイン、ハウト、フェイの4人を中心に動くつもりだ。桜花には

 ディアー。お前に行ってもらいたい」

「ああ、構わんぞ。集中してってことは他に誰かいるんだろ?」

「エンジ、卯月をディアーとともに桜花に派遣するつもりだ」

「分かった。それだけいれば十分動けるだろ」

 ブリングとディアーが話を進めているが、そこまで聞いて少し疑問に思ったことがある。

 今ので主力はあらかた出そろってしまった。

 セントビアとナスティアに誰を派遣するつもりなんだ?

「残りのセントビアとナスティアだが、アクアをセントビアに、ナスティアを

 メバスターに行ってもらう」

「ちょっと待て。その二人は組んでこそ真価を発揮する。分けるのは危険だ。それに、

 主力級の援護がないのも危ない」

「お前は長年行動を共にしていただろう。彼らを信用していないのか?」

「長年一緒だったから意見を言ってんだろ。それならせめてエンジ、卯月をセントビア、

 ナスティアに派遣してアクアとメバスターと俺で桜花に――」

「却下だ。お前ら過去に暴れ回ったのを忘れてないだろうな?」

「……忘れてはねえけどよ」

「桜花は同じ島に住むいわば隣人だ。そこに親密度が高いエンジと卯月を置くのは必然だ」

「ならせめてアクアとメバスターを一緒に――」

「だからあいつらを信用してやれ。それとも、この程度の任務をこなすのもできないほど

 お前らは軟弱だったのか?」

「んだとお!?」

「ディアー、抑えて抑えて」

 私は話が良くない方に進んでいるのでとりあえずディアーさんをなだめた。

「ちっ。わあったよ。お前の作戦で動く」

「分かってもらえたようでなによりだ」

 ディアーは渋々納得したが、心の中ではまだ納得していないようだ。

「以上! 派遣者は翌朝早朝に移動するように!」

 最後にブリングがしめて作戦会議は終了となった。




2、読み違い?


 翌日。私はフェイとともに城の入り口前で待機していた。

 お互いに初の大きな任務に緊張しているのか、軽口すら叩かず黙っていた。

 そこに、下級悪魔が群れをなしてやってきた。

「フェイ!」

「おう、守りは任せとけ。中級以上が出たら俺も応戦する」

「了解!」

 そう言うと私は下級悪魔の群れに突っ込んでいった。


 所詮は下級悪魔と言うべきか。ものの十数分で群れを全滅させた。

 私はフェイと合流し、次の襲撃に備えて入り口前で待機する。


「……来ないな」

 そう呟いたのはフェイ。

 日が傾きかけてきた頃になっても悪魔たちが襲ってくることはなかった。

「何か嫌な予感がする」

「ハウトもか」

「うん」

 集中力を切らさないようにしつつも私も会話に参加する。

 結局、この日再度悪魔たちが襲撃してくることはなかった。


「おう、帰ったぜ」

 ディアーがエンジと卯月を連れて帰ってきた。

「夜襲は警戒しなくていいの?」

 私はディアーに問いかける。

「それがな。下級悪魔数匹来ただけで終いだったんだ。それで、これぐらいなら

 自分たちでもなんとかできるから、だと。お前のとこはどうだった?」

「こっちも似たようなもんです」

 フェイが答える。

「そうか。アクアとメバスターが心配だな」

「二人は遠いから帰ってくるとしたら明日だね」

「ああ」

 私はディアーを励ますように言ったが、あまり効果はなかったかな?

「ハウト。俺と一緒にブリングに報告しに行くぞ」

「はい」

 私はディアーと一緒にブリングに今日の出来事を報告しにいった。



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