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悔恨(前編)

リースの過去が分かる話です。

1、墓参り


 レイスはフェイス領の城の裏手に弔われた。

 私はあの事件が起きてから毎日墓参りに訪れている。

「あの時、リースを止めてレイスを回復させれば良かったのかな……」

 答えは返ってこない。

「昨日も、リースは部屋から出てこなかったよ。もう3日は食べてないんだ。だから、

 すごく心配」

 リースはあの日を境に部屋に引きこもってしまった。

 食事の時間になっても部屋から出ない。

 幸い、と言うと変だが、半魔は魔族と同様に食事の必要性が少ない。2、3日食べなかったからと言って体に支障が出ることはない。

「……また来るね」

 そう言い残し私は城へと帰った。




2、拒絶


「リース。食事、持ってきたよ」

 私は今日も夕ご飯をリースの部屋に持っていく。もちろん返事はない。

「……ドアの前に置いておくからね」

 ここ2、3日は食事に手を付けた後が見て取れた。

 少しだけだが調子よくなっているのかもしれない。

 でも……。

 と、その時、私は一つの方法を閃いた。

 少々強引な手だが効果はあるかもしれない。

 私は明日に備えて早めに寝ることにした。




3、悔恨


「リース。食事、持ってきたよ」

 今日も夕ご飯をリースの部屋に持っていく。

 だが、今日はいつもと違い、私はその場に居座り続けた。

 そして、ガチャッと音がしてドアが開いたのを見計らって、強引にリースの部屋に入る。

「ハウト?!」

 突然のことでリースは驚きすぐにドアを閉めようとするが、私はすでに部屋の中に入っている。

「ごめん、ちょっと強引な手を使った」

「出てってよ……」

 そう言うリースに力がない。

「リース。お願い。一人で悲しまないで。私にできることならなんでもするから」

「……」

 しばし沈黙。

 その沈黙を破ったのはリースの方だった。

「私……」

「うん」

「私、父さんが大好きだったの。大きな体でたかいたかいをしてくれた時、すごく

 楽しくて。妹が二人いてね。妹たちは母さんが好きで。だから父さんは余計に私を

 可愛がるようになって」

「うん」

「でも、あの日、全てが壊れたの。その日はお客さんが差し入れを用意してて。その

 差し入れのお酒を一口飲んだら、父さんがおかしくなって。母さんを殺して。

 妹たちも殺して。私も殺されたと思った。でも、一命を取り留めて」

「うん」

「ショックで、その後学園に引き取られたすぐの頃はなにをするにも元気がなくて。

 弓を学び始めた頃から復讐心が強くなって。学園でいざこざがあってこっちに来て。

 ディアーから接近戦の心得を学んどけと言われて、でも鍛錬中は復讐心は抑えろと

 言われて」

「うん」

「復讐心はなくなったわけではないけど、平穏な日々のおかげで大分薄れてて。そんな

 時に突然父さんが現れて。復讐心が一気に燃え上がって。無我夢中で相手して。そして、

 とどめを、さして……」

「うん……」

「私、大好きだった父さんを殺して! でも、家族を殺したのも父さんで! 家族の仇を

 とらなきゃ、て思って……。私、どうしたらいいのか分からなくて! どうしたら

 いいのか分からなくて……」

「……そっか」

 リースは今まで明かすことがなかった過去の話とともに己の悔恨の情を語ってくれた。

 やっぱり、大切な人を殺してしまったことが辛いみたいだ。

 それなら、なんとかなるかもしれない。

「リース」

「……なに?」

「あなたに、私の過去を話すわ。本当は話したくないし思い出したくもないけど。今の

 リースにはきっと必要な話だと思うから」

「……うん」

 私は、一つ深呼吸をして、過去の話を語り出した。



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