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虹彩異色の碧剣士  作者: 松本 ぽこ
プロローグ
1/13

始まりの一日

私の新たな作品です。前作はすぐに消す羽目になりましたが…。この作品では、面白いストーリーを書いていけるよう精一杯頑張って努力したいと思います!

始業のベルが今日もなる。

窓から差し込む光は、まぶたを開いて無防備になった眼球を躊躇なく痛みつける。

そんな痛みに眉間にしわを寄せ、顔を上げて姿勢を正す。


「うぁ、やっと七限目かぁ。これ終わったらやっと帰れる」


欠伸をしながらラスト一時間をどう過ごすか考えているとドアから遅れて先生がやって来た。


「皆さん、遅れてすみませんね。さぁ学級委員、号令宜しく」

「起立!」


学級委員の一声でクラス全員が席を立つ。


「気をつけ、礼!」

「お願いします」


クラス全員の声は学級委員一人の声に負ける声音だった。

そんな様子に先生は、皆さん元気ないですね?授業中に寝ないで下さいよ?と、言っていたが、先生が黒板に文字を書いている時には大半の生徒達が寝ていた。

何で寝てるんですか!起きなさぁーい!と言っていたが大半は無視して爆睡している。


「皆寝るから名前言って当てていきますからね!はいじゃあ教科書P72の最初の一文を……雄仁君!お願いします」

「僕!?」


床と椅子との剃り合う音と共に立つ。

教科書を持ち、P72を開けて最初の一文を読もうと声を上げる。

読み終わって席に座ると、先生は次の文を別の生徒に読ませようと名前を呼ぶ。

今は国語総合の時間。六限目が体育だったことから疲れが七限目のこの時間まで来ているのだ。

皆が眠くなるのも頷けるといった顔で先生は立っているが、無視してまた別の生徒の名前を呼ぶ。

一度指名されると二度は指名されない。

僕は寝る姿勢に入る。

瞼を閉じ目の前が真っ暗になり、数秒後に完全に意識が落ちる。

そして僕、霧峰 雄仁(きりみね ゆうじ)は夢の世界へと誘われた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


目を開けて起き上がる。

脳が覚醒しだして、徐々におぼろげな視界が鮮明に見えてくる。

教卓には担任の先生が立っていた。


「帰りのホームルームか……」


やっと学校の終わりを実感する僕は、先生の話が終わり、さようならと互いに言うと、急いで教室を出た。

廊下を早歩きで進み、昇降口へと向かう。

相変わらず周りが向けてくる視線はどうにかならないだろうかと思う。

毎回うんざりしているのだ。

何故そんな思いをしているのかと言うと

僕の目が虹彩異色(オッドアイ)だからだ。

小さい頃から虹彩異色症と言う、病気を患っていた。

害はないが、片方の目の色が違った色になると言ったものだ。

僕は右目が通常の金眼、左目が病気によって変色した碧眼だ。

小さい頃はそれなりにコンプレックスだったが、今はそうでもない。

周りの奴らは、あれコンタクト?中二病かよ!と会話していて、僕は内心いやいや違うからね?と叫んでいたが、友達が一人しかいない僕にとって病気を皆に打ち明けるはずもなく、そういう風に思うのも仕方ないと心の中で思う。

そんな中で誰かに後ろを叩かれて、振り返る。

僕の唯一の友達にして親友の西条 光樹(さいじょう こうき)がいた。


「今日部活ないからさ、一緒帰ろーぜ」

「うん」


光樹は赤茶髪の刈り上げスタイルだ。そして金眼。

人一倍正義感が強く、人助けは率先してやるタイプだ。僕の憧れの存在でもある。


「雄仁、お前オッドアイの事まだ言って無かったのか?俺が言って来てやろーか?」

「い、いいよ…光樹」


本当に光樹は友達を優先し、自分の事なんか後回しだ。


「光樹…お人好しだな…………少しウザイかも」

「ちょ!酷くね?」


二人で笑いあっていると足元に影が二つ出現した。

僕が横に目を配るとそこには

同じクラスメイトの野多目 咲希(のため さき)と咲希の親友の成岡 七瀬(なるおか ななせ)が横に並んで一緒に歩いていた。

咲希は茶髪の髪を後ろで一纏めに結んだポニーテール姿だ。そして青眼。

人当たりが良く、裏表がない。

親友の七瀬は青みがかった黒髪のショートヘアーで紫眼。

天然ドジっ子だ。

そんな二人はオッドアイの僕にも気軽に話しかけてくれる数少ないクラスメイトだ。


「雄仁君!私達も一緒帰っていい?」

「咲希が行くなら私も行くよ」

「う、うん。いいよ」


僕は女子と話すのが苦手なのでつい視線を逸らしてしまう。

そんな雄仁に咲希は視線を合わせようと顔を動かす。

咲希はクラス一の美少女であり、それどころか校内一美少女かもしれない。

そんな咲希と目を合わせたら気がどうにかなりそうだった。

さっきから光樹が俺の事無視しないで?!と、悲痛の叫びを上げていたが、無視された。


昇降口へと着き、靴を履き替えて正門へと向かう。


「んじゃあ僕達はこっちだから……じゃあね」

「何言ってんだ?そっちは真逆の方向だぞ」

「…………うん……間違っちゃった」

咲希の視線に耐えきれなくなり、いつもとは別ルートで家に帰ろうとした僕を光樹は止める。

そんな僕に咲希は


「可愛いね」


と、一言呟く。


今にでも昇天してしまいそうだった。

校内一の美少女に声をかけられ、一緒に帰ろうと言われ、可愛いねと言われ……

僕は頭が咲希の事で染まっていた。


頬を赤く染めながら仕方なく一緒に帰ることにした。

僕は足を一歩踏み出そうとして…遮られる。

突如、目の前に広大な光が身を包んだのだ。そして奇妙な音が場の雰囲気を支配した。


キュイイイイン


地面には魔法陣の様な円形の模様が刻まれ、淡く光り出す。

段々僕や皆の身体も淡く光り出し、消えようとしていた。


「なん……だ、これ……」

「おい!皆大丈夫か!」

「雄仁君!どこ?」

「咲希、手を離しちゃダメ!」


四人が消えようとする中、咲希は七瀬の手を振り払って僕のとこへ来た。

消えゆく中で咲希が一言……


「雄仁君……す…」


その声は僕には届かず、淡い光となって霧散した。

それを見届けていた僕は辺りを見渡すと、光樹と七瀬の姿が見えないことに気付く。きっと霧散したのだろうと勝手に解釈した。

腕から肩へ、足から腰へと徐々に光になっていく。

ふと魔法陣を見やる。

頭の中にあるアニメのワンシーンが浮かんで、ふと思う。


「これってもしかして……」


完全に淡い光となって消える直前に


「異世界召喚なの!?」



と、呟き淡い光となって霧散した。


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