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紅差し指

作者: 榛李梓

 女性の化粧とは不思議なものだ。


 男の自分からするとすっぴんも化粧をした顔も大して変わらないように見えるが、彼女に言わせると大違いらしい。言われてみれば確かに目元がはっきりしていたり、唇がピンクだったりしているような気がする。


 同棲してもうしばらく経つ。僕は彼女の素顔は見慣れているし、彼女も僕の前で素顔でいることには慣れているはずだ。それなのに彼女はこうして毎日化粧をする。今日は休みだしどこにも出掛けないから必要ないんじゃないかと言っても、気分の問題だと却下された。


 彼女は僕にはよく分からないファンデーションか何かを肌に塗ったり、器具を使って睫毛を上向かせたり、眉を描いたりしている。


 そんなにまじまじと見ないで、と彼女は言うが、自分に馴染みの無いそれらの作業がまるで工作のようで、意外と見ていて飽きないのだ。


 仕上げに彼女は薬指で口紅を塗る。


 どうしてそんな塗り難そうな指で塗るの、と問うと彼女は、昔から口紅を塗るのは薬指って決まってるの。薬指は紅差し指とも言うのよ、と教えてくれた。


 化粧を終えた彼女の顔は、僕にはいつもと変わらないように思える。つまり、いつもと変わらず綺麗だと思っているが、口には出さない。


 紅差し指が重くなったら彼女は嫌がるだろうか。


 ポケットの中の小箱に触れながら、そんなことを思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] あーっ、残念です。男性視点でしたか。私の好みから言えば女性視点で語って欲しかったです。 男が側にいるにも関わらず化粧をする女性。その心情というか意味合いを淡々と語って貰い、最後に男の決断にほ…
[良い点] 好きだなあ 最後のこの (ポケットの中の小箱に触れながら、そんなことを思う。) という落とし方。 小説自体がピーンと締まる終わり方ですよね ぼわんとした入りで なるほどなるほどと共…
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