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一章 すべては過去から (九)

 放課後、二人は屋上にいた。そして、峰浜は怒っていた。


「あいつ、よくも」


「そう怒るなって、名久井さんは真面目なだけなんだ。きっと」


 雲石は冷静に丁寧に話す。


「だが、あれはおかしいだろ!」


「おかしい? そりゃ、あの場面で言わなくてもいいだろうけど……」


「思うと思うほど、むかつく!」


「ひとまず落ち着こう」


 峰浜は一人で怒りを増幅させていた。横にいた雲石も、少し冷静さを欠く。


「やっぱりむかつく。あの先生、俺だけを疑いやがって」


「そ、そっちの話か」


「先生の野郎、人を人柄だけで判断するなんて、差別の象徴だろ!」


「まあ、それはそうかもしれないけど……」


 二人がこんなことを話していると、後ろから誰かが来たようだった。二人は後ろへ振り返る。そこには中上がいた。


「あの、私の友達がすみません。ああ見えていい人なんです。少し素直じゃなくて、口調も少し悪いかもしれませんけど、いい人なんです」


「わざわざ、謝りに来てくださったのですか?」


「はい」


 中上は笑って答えた。そして、中上は屋上から去っていった。この姿を見て、二人は少し不思議な気持ちになる。


「中上はいい奴だ」


 峰浜はぽつりと言った。




 その後の中学校生活で、峰浜はいろんな計画を立てた。そして、それを実行しようとする。しかし、名久井の手によって、全て失敗に終わった。




 卒業式の日、峰浜と雲石は屋上にいた。


「俺の計画が~」


 峰浜は屋上から大きな声で叫んでいた。


 雲石は何かを深く考えていた。


「何を考えているんだ?」


「いやな、今までにお前の計画をここまで壊した人がいたかと思って」


 この言葉に峰浜は思った。名久井がいなければ今頃、俺は「革命家!」と言われていただろうと。


「名久井がいなければ今頃……」


「でも、名久井が来てから、お前は先生にあまり怒られなくなったんじゃないか」


「まあ、そうだが、俺の自由が、自由が!」


 峰浜は多少の怒りを持ち始める。


「俺から見てお前は、十分に自由だったと思う」


 二人が話していると、突然屋上のドアが開く。そこには、名久井と中上がいた。


「屋上で大声を出すってどういうつもり?」


 名久井は峰浜に怒っていた。


「別にいいだろ。大声を出すくらい」


 二人はいつものように言い合いを始める。


「周りの人の迷惑なのよ。分からない?」


「分からない!」


 二人が言い合いをいるところに、中上は言った。


「二人ともやめて!」


 この瞬間、三人は中上のほうを見た。


「佳奈美ちゃん、けんかをしに来たわけじゃないでしょ。ただ、峰浜が心配だから来たんでしょ」


 この瞬間、場の空気ががらりと変わった。


「何を言っているの、そんなわけないでしょ」


 名久井は顔を真っ赤に染めて反論する。


「でもここに来るとき、『いつも心配させるんだから』って」


「あれは冗談よ。こんな奴、心配する価値もない」


 名久井の顔はさらに赤くなる。


 名久井は少し怒りながら屋上を去り始める。中上もそれを追う。


「なんだったんだ?」


 峰浜は雲石に聞いた。


 雲石は少し笑っている


「お前は幸せものだな」


「どういう意味だ?」


 峰浜の疑問は大きくなるだけだった。


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