一章 すべては過去から (五)
八時を過ぎた頃、二人は学校に着く。周りはすでに真っ暗。このとき、峰浜は死人のように運動場のベンチで倒れていた。
「本当に穴を掘って、運動場に竹を埋めるのか?」
「当たり前だ、何のためにここまでがんばってきたと思う。ゴホ、ゴホ」
峰浜の声はかすれていた。息もかなり上がっていた。
「でも、穴を掘るだけの体力は残ってないだろ」
この言葉に聞いた峰浜は黙ってしまった。
「大丈夫か? おーい」
この言葉を無視するかのように、峰浜は黙っていた。その姿を見た雲石はため息をつく。
「俺は帰ってもいいか?」
この言葉にも峰浜は黙っていた。峰浜があまりにも返事を返さないので、雲石は心配になり始める。
「おーい! おーい!」
このとき、雲石は大変なことになったと思う。雲石は急いで近所の家に行こうとした。
「よく寝た。でも体がだるい……」
峰浜はいきなり言葉を発した。雲石がゆっくり後ろを振り向くと、そこには起き上がった峰浜の姿があった。
「大丈夫か?」
「『大丈夫か?』と聞かれれば、大丈夫だが、大丈夫でもない」
「どういう意味だ?」
「生きてはいるが、体中が筋肉痛だ」
この言葉を聞いた瞬間、雲石はほっとする。そして、ため息をついた。このときのため息は、いつもと違って暖かさのあるため息。
「もう少しだけ休む」
峰浜はベンチに再び寝転がった。そして、五分が経過する。
「いつまで寝るつもりだ?」
峰浜からの答えは無い。答えの無いまま、さらに五分が経過する。
「運動場に行って、早く竹を埋めようぜ!」
峰浜は起き上がると同時に言った。雲石は不意を突かれ、びっくりする。
二人は竹を持ち、運動場へ向かって歩き始めた。このときの峰浜は、学校に着いたときの峰浜とは違い、元気になっていた。雲石はその姿を見て、かなり不思議に思う。峰浜の体はどうなっているのだろうかと。




