二章 出会いと部活 (三)
「校歌斉唱、生徒の皆さんは立ってください」
生徒は教頭の声で立ち始める。このとき、峰浜は席に座っていた。
雲石は急ぎ声をかける。
「校歌斉唱だぞ」
峰浜は驚いたように立つ。雲石と名久井は呆れていた。
伴奏が始まると、二・三年生は校歌を歌い始める。
「分かるか!」
峰浜は軽く叫んだ。隣にいた人は少し驚く。
「静かできない?」
名久井が少し怒る。
雲石は二人がけんかをするのではないかと、はらはらしていた。
「校歌が分からないのに校歌斉唱とか、腹が立つ!」
「校歌が分からないのは当たり前でしょ」
「それでも歌えってことだろ!」
雲石はどうしたらいいのか悩んでいた。止めようにもどうすればいいのかと。
「歌えないのは、あんたが校歌を知らないからでしょ」
「どこの世界に入学前から、校歌を覚えている奴がいるんだ!」
「それは……」
名久井は返答に困った。しかし、名久井の峰浜に負けたくないという気持ちは言い返す力になる。
「あの子はしっかり歌えているでしょ」
名久井の指さす方向には、中上がいた。
「確かに……」
峰浜は戸惑った。そして、心には疑問が生じる。どうして校歌を知っているのかという疑問である。
峰浜も名久井に負けたくないという気持ちから言い返した。
「普通の生徒が、校歌を知っているわけないだろ!」
「校歌なんて、学校の人に聞いたらいいでしょ」
「わざわざ聞くのはおかしいだろ!」
「おかしくない!」
二人の言い合いは終わりそうになかった。
言い合いがあまりにひどくなってきたので、雲石も何かを心に決める。
「『あの、入学式で歌う校歌が分からないので、校歌を教えてください』なんて聞く奴、いるわけないだろ」
「そんなこと、分からないでしょ!」
二人の言い合いは、誰にも止めることができないくらいまで発展していた。
「いい加減にしろ!」
この瞬間、二人の言い合いは止った。それと同時に校歌斉唱も終わる。
このときの雲石は、とてつもなく怒りのオーラを出していた。それは、二人にも分かった。
「ごめん」
「ごめんなさい」
このあとの入学式は静かだった。




