二章 出会いと部活 (二)
「今から体育館に行きます」
先生の言葉で生徒は廊下に並び始める。峰浜はこっそり雲石の近くに並んだ。先生はそれに気づかないまま、体育館に歩き始めた。
「入学式、すぐに終わると思うか?」
「まあ、卒業式のときよりは早いと思うけど」
「五分とかで終わらないだろうか」
「そんなに早くは終わらないだろうな」
峰浜の質問に雲石は淡々と答えた。
二人はしゃべりながら体育館に向かう。
体育館は、前に生徒席、後ろに保護者席、横に先生と来賓者の席があった。
「おお!」
「どうした?」
少しテンションの上がっていた峰浜の声に、雲石は冷静な態度で返した。
「席が近い!」
「そうだな」
峰浜は入学式で雲石としゃべるつもりでいた。
峰浜の座った席の近くには、名久井や隣のクラスだったが中上も近くにいた。
少しの間待っていると、教頭の声が聞こえ始める。
「ただいまより、平成二十年度、入学式を始めます」
入学式は普通に始まった。
校長のあいさつや来賓のあいさつ、生徒からすればどれもつまらないものである。
「だるくないか?」
峰浜は雲石に話しかけた。それに対して、雲石は静かにしろの合図を出す。そこに名久井が割り込んできた。
「静かに出来ない?」
「少しくらいしゃべってもいいだろ」
「ほかの人の迷惑でしょ」
二人は小声で喧嘩を始める。雲石は急いで止めようとした。
「二人とも、喧嘩はやめないか?」
その言葉を聞いても、二人はけんかを止めない。
次第に周りの先生から注目されるようになる。
「今は入学式の最中だぞ」
雲石は小声で必死にけんかを止める。そのうち、雲石の気持ちが届いたのか、二人はにらみ合いをするくらいになった。
雲石はほっとした。
「入学生代表の言葉」
教頭の声と同時に、一人の女子生徒が壇上へ歩いていった。そして、軽く礼をし、言葉を言い始めた。
「私たちはこの久那原高校で、文化や伝統の発展・向上を目指してがんばります。学校生活では、部活と勉強の両立をがんばり、充実した毎日を送れるように心がけていきます。 (中略) 新入生代表、巻長佐和美」
「あいつには、普通の人と違ったオーラがある」
峰浜は小声でつぶやいた。
「静かに」
雲石は再び注意をする。注意が通じたのか、峰浜は黙って何かを考え始めた。




