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幕間 光と闇と表と裏

息抜きに書いて久しぶりに投稿しますが、『新たな未来を求めて』を読んでいる人がいるならそこに出てくる人物が何人か出ています。読んでいない方はそういうキャラがいるんだなと自己完結していただいて結構です。このディバインナイツの物語は星語りがある程度(自分の中では前中高の前編)進んだところで『ディバインナイツ ~光と闇の剣士~』に物語が移って、それが半分くらい進んだところで『ディバインナイツ ~二人の英雄~』に移る予定ですので、長い目で見ていただければと。

ですから、物語は二人の英雄から始まって光と闇の剣士に繋がり、星語りで終わる予定です。逆からスタートしていたのは最弱の主人公を書きたかっただけのなので。

まるでカマキリを大きくしたかのような姿。はっきり言うなら気持ち悪いとしか言えない。


そんなカマキリもどきに対して雪羽(せつわ)の持つフィアーランスが貫いた。


姫路(ひめじ)! 後ろに下がって!」


「私は大丈夫だから!」


そう言いながら向かってきたバッタの大きくした姿の相手に向かって手に持つ黎帝(れいてい)を振り切る。バッタのような何かを吹き飛ばした私はすかさず黎帝を振り上げた。


「光よ」


黎帝の先に光が集まる。その光は巨大な刃となり、私はそれを振り下ろした。バッタのような何かの体を両断する。両断すると同時になんかの体液が噴き出した。


私の顔が引きつる。


「姫路さん! 驚いて突っ立っていないでください!」


私の頬を魔力によって形取られた矢が通り過ぎる。振り返ると、そこにはカマキリのような何かが四体、テオロの放った矢によって貫かれていた。


私は振り返りながら童顔の少年に礼を言う。


「テオロ、ありがとう」


「戦いは終わっていませんよ!」


私はすかさず振り返り、最前線に目を向ける。そこにいるのは白と黒の剣士。


純白の服に身を包んだギルバート君と、漆黒のプレートアーマーを身につけているクロハの二人。それぞれの手には正反対の色の武器が握られている。


ギルバート君の手には漆黒の刀が。クロハの手には純白の刀が。


「敵の数が多い! これ以上止まっていたら勢いに押されるよ!」


響き渡るギルバート君の声。それに対して私は小さく頷いた。


「わかった、慧海には悪いけど、このまま前に突っ込む!」


「姫路? 正気?」


私が黎帝の先で殴り飛ばしたカマキリを雪羽がしっかりとフィアーランスで貫く。そして、私の横に着地した。雪羽が下がったことでテオロが前に出ている。


「正気も正気。攻撃は最大の防御って言うでしょ。全力前進で相手を砕いて行けばいいのよ」


「はあ。相変わらずの突撃思考。姫路、今は慧海(えかい)君も朱雀ちゃんもいないんだよ。ここで突撃すれば」


「大丈夫。あいつは絶対に来るから」


私の言葉に雪羽が小さくため息をつく。ギルバート君やクロハが前に出ているとはいえ、いくらでも湧き上がってくる敵を相手に押さえていることは難しい。現に、だんだん二人は押されている。いくらコンビネーションが良くても、クロハは重装甲だし、ギルバート君は軽装甲過ぎる。長期決戦には向かない。テオロの体力も気になるし。


「私が黎帝の力を最大限にして突っ込む。運がいいのかわからないけど、黎帝の光刃に対して相手は弱いみたいだから。真正面からぶった切っていけばいい」


「いつから慧海君みたいな思考になったのかな?」


雪羽がまたため息をつくけど、それはちょっと失礼じゃないのかな?


私は黎帝を肩に担いだ。雪羽もフィアーランスを構える。


「準備はいい?」


「いつでも」


見なくてもわかる。雪羽は頷いている。雪羽もわかっているだろう。私の考えを。だって、私達は白百合姫路の表と裏なのだから。


私達が同時に地面を蹴る。タイミングを合わせる必要はない。だって、タイミングを合わせなくてもタイミングは同じになるから。


「ギル!」


クロハが私達に気づいて声を上げる。それに同調するように二人は同時に後ろに下がった。かわりに出てくるのは私達。


黎帝を握り締め。振り上げる。


「光刃よ、斬り裂け!」


「ランス、ツヴァイ!」


私の振り抜いた黎帝と、フィアーランスから放たれた光が、昆虫を巨大化した群れに突き刺さり、吹き飛ばした。


だけど、敵はどんどんやってくる。


「光刃よ」


「ランス」


私達は同じ技を放とうと身構える。何度来ようと倒して見せる。それが私達だから。


「ったく。無茶だけはするなと言ったはずなんだけどな」


その時、声が聞こえた。その声は私達にとって特別で、そして、最強の味方の声。


それと共に舞った。何が? そんなの決まっている。群がってきている相手の体の一部が細切れになって舞った。


立った一撃。一撃だけで相手の軍勢の約半数の命が消え去った。攻撃はそれだけでは終わらない。一撃が直撃した群れに今度は風の刃と大地の鳴動が襲いかかる。避けられる術はない。


私は黎帝を下ろした。雪羽もフィアーランスを下ろす。それと同時に私達の前に馴染みの深い青年が着地した。


「よっ。遅れて悪かったな」


「遅いわよ」


「ふふっ。はい。遅いですね」


私と雪羽は笑う。嬉しいから。少し、照れ隠しの気持ちも込めて。






「魔物、って言うらしいな」


慧海の言葉が僕達の耳に入ってくる。その名前なら聞いたことはある。確か、慧海達の世界にいるい世界からの侵略者の名前だっけ。


「魔物? こんな昆虫見たことないわよ」


「そうですよね」


だけど、それは姫路さんと雪羽さんが否定した。僕の中でその存在がわからなくなる。


「じゃあ、この存在は何かな? 僕の世界でも小さい奴はいても、大きい奴はいなかったのに」


「ギルの疑問はもっともだ。というか、オレ達の世界にもいない。まあ、それが大量発生しているみたいだな」


「どこの害虫ですか?」


テオロの口元が引きつっている。その気持ちはわかる。でも、害虫呼ばわりは少し失礼じゃないかなとは思うけど。


「今のところ、この世界を詳しく調べるのは後回しにして、先に襲いかかってくるこいつらの駆除をした方がいいかもしれないな。いつか、Gの巨大な存在が出てくるかもしれないし」


その言葉に世界が止まった。いや、世界の時が止まった。これは過言ではなく事実だ。


Gの存在。ということは、ゴキ


「それ以上は思ってはダメ思わないであんな太郎さんが大きい存在で出てくるなんて生理的に受け付けないんだけど」


僕の口はクロハによって塞がれていた。その気持ちはわかるけどね。


「まあ、話によれば討伐すれば賞金も出るらしいし、いっちょ頑張ってみようかって」


僕はクロハの手を剥した。


「それなら賛成かな。僕も、人民が困っているのは見過ごせないし」


「決定だな。じゃ、とりあえず街に向かおうぜ。久しぶりに宿でも止まりますか」


慧海が歩き出す。それを追いかけるように僕達も歩き出した。腰に身に付けた僕の光と闇の象徴を見る。


本当にここがあの場所なら、僕達はもっと悲惨な戦いに巻き込まれていくだろう。でも、戦わないといけない。僕がこの光と闇の伝承を持っている限り。


「久しぶりに宿は、みんなで雑魚寝が出来る場所だったらいいな」


だから僕は、無邪気に笑みを浮かべた。


幕間のメンバーは少しお休みして次からはレイ達が普通に出ます。いつ更新するかわかりませんが。

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