3話 請け負った仕事
「ふぅ、いつもと違って、なんか緊張するね~」
ドアが閉まるのを待ってアレックスが言った。
「そうなの? 私はこんな遠出は始めてだから普通なんだと・・・」
「え~っ? 違うよ。
メンバーが、ちょっとね。
まあ、ランは、姉御風を吹かすのが玉に瑕だけれど、あれで、かなり腕の良いシステム・エンジニアなんだ。
ジェイクも機械工学のエキスパートだし」
「そうなのよ! 私、入社した時の研修でジェイクには感激したのよ!」
ニキは、高揚した声でアレックスをさえぎった。
「技術はすばらしいし、人間的にも魅力のある人だわ」
「そうだね、尊敬できる人だし、技術も高度だ。
むしろ、今回の退屈な仕事には高度すぎるくらいだ」
そのアレックスの言葉に、ニキは驚く。
「え? 退屈な仕事なの?
私はジェイクの助手になれて光栄だと思ってたし、何かすごい仕事なのかなってわくわくしてたのよ」
「ん・・・ま、オレも良く分かんないけどさ、なんかすっきりしないんだよね・・・
例えば、何でジェイクとランなのかな、とかさ。
こんな古い宇宙ステーションの整備点検にだよ。
畑違いのような気もするね。
アンティーック物で、歴史的にも価値があるって言うんだったら分かるけどさ。
この宇宙ステーションのヴェラム(vellum)って名前も興味深いしね。
うちの会社が、ヴェラムの十年ごとの定期点検を請け負って、これで三回目だそうだ。
ジェイクは三回とも来ている。
ランも二回目だ。
キースもエリートだし、実際、これだけのメンバーが必要な仕事なのかどうか疑問だよ。
おまけに、なぜドクターが一緒なのか、とかさ」
「カイのこと?」
「ああ、しかも、うちの会社の医療チームからじゃ~ない。
あいつ、どっかで見たような気がするんだけれど・・・」
「食事時以外は、クォーターで本を読んでるんですって」
「そんな感じだね。
大学の研究室の先生らしいし。
う~ん・・・これは医療の専門化を必要とするミッションなのかね~」
「じゃあ普通なのは私だけ?
アレックスの操縦の腕も一流だって聞いたけれど」
「あはっ! そう言ってくれるのは嬉しいねぇ。
まあ、新入社員の君と二人で二人分になれるくらいかな?」
そこで急に、ニキのミニ・コムから声がした。
「ニキ、どこにいるんだ? 準備は出来たか?」
「ジェイク!? は、はい、今そちらへ向かいます」
ニキはあわてて席を立つとドアへ向かう。
ウォーター・プラネットの光が、彼女の背中を青く照らしていた。