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ウォータープラネット  作者: Naoko
12/56

12話 報告書

 最後の整理をしていたキースの元へ、カイは追加の報告書を持ってきた。

キースは報告書を受け取りながらカイに聞く。


 「君が個人で調べていたのは、医療に関するものだったよね。

それで、欲しい情報は得られたのか?」

カイは、穏やかに答える。

「興味深い、いくつかの点はあったのですけれど、予想していた範囲内というところでしょうか。」

キースはそれを聞くと、両手を頭の後ろに組んで体を反り返らせ、椅子の背もたれに寄りかかって言った。

「つまり、探していたモノは見つからなかったんだ」


 今度は逆にカイが質問する。

「探していたモノと言いますと?」

「そのために、ここへ来ることを同意したんだろ?」

キースは体を起こすと、とぼけた風に言う。

「大学の先生が、こんな医療とは関係の無い、設備管理会社の退屈な出張に付いて来るなんてね。

断る事も出来たのに」


 「言いますね~。

僕を選んだのは、キース、あなたでしょう?」

カイの言葉に、キースは苦笑いする。


 「確かに、リストには他の医者の名前もあったよ。

そして、君はその内の一人だった。

まあ、君の名前を見つけた時には、ちょっと驚いたけどね」

「それで、顔見知りの僕に決めたという訳ですか」

「リストに載ったすべての人物には接触しているから、全員とは顔見知りだ。

まあ、強いて言えば、君はハリスとバーディの従兄弟だしポイントは高かったね。

それに、君なら協力してくれるじゃないか、と期待したところにもポイントを追加したんだ」


 「協力? 何のですか? 仕事以外のことでしたら、お門違いかもしれませんよ?」

「君のそういうところは、相変わらずだな」

「あなただって、人のことは言えないんじゃないですか?

あなたが全員と顔見知りだった、と言うのは正しくありませんね。

始めての顔合わせの時、ニキだけは、あなたのことを知りませんでしたよ」

キースは、カイを見ると笑いながら言った。


 「さすがだね~。

まあ、初めからだんまりを決めていた君だから、観察しやすかっただろうし。

確かに、ニキだけはジェイクに近づいてもらった。

新入社員の研修の時にね。

どうせ、ジェイクの助手になるんだし。

ジェイクは、ここに過去二回も来ているし技術も最高だから、早々と決まってたんだ。

それに、独身の僕が、新入社員の可愛い子に近づいて、変に誤解されるのも困るしな」

カイも笑った。

「そうですね」

そして、独り言のように言う。

「そうか・・・リストは半年前には出来ていたんだ」


 「正確には一年前だ」

キースの言い方は、まるで、教えてやろうという感じだ。

「三ヶ月前には、メンバーの名前を報告しなければならないし、それぞれのスケジュールもある。

苦労して決めた後に断られても困るしね。

特に君のような場合は」

それに対し、カイはふっと笑ってみせる。


 そして、考え事をしているかのように言った。

「なるほど・・・非常に興味深いです。

一年前と言うと、ニキが入社する半年前に、すでにリストは出来ていたんですね」

それに対し、キースの答えは即座だ。


 「ニキは、在学中、うちの会社でインターンとして働いてたんだ。

だから、社員名簿にインターンとしてのニキの名前は入っていたよ。

それを言うなら、君だってうちの会社の人間じゃないだろ。

その理由も、『非常に興味深いです』じゃないのか?」

「そんなことは簡単ですよ。

あなたの会社に、適切な人材がなかったからでしょう?」

キースは、少しあきれたように言った。

「そういうところも、相変わらずだね」


 「そう、ニキですか・・・この辺も調べてみる必要がありますね」

「もう調べたよ、全く普通の子だ。

ジェイクは気に入ってるけどね」

「それだけですか?」

「えっ?」

「それだけで、あなたがニキを選んだとは思えませんがね」


 「ふ~ん・・・」

「なんですか?」

カイは、含み笑いをするキースをいぶかって聞く。

「いや、いつもの仏頂面をしている君と、真剣な時の君とは別人だな~と思ってさ」

「僕は、いつでも真剣ですよ。

命を預かる仕事をしてるんだし」

と、カイは言うと、用は済んだとばかりに去ろうとする。


 「とにかく、ニキは、おもしろそうです」

そのカイの、去り際の言葉に対し、キースは追うように言う。

「ニキに近づくのか? 変なことするなよな」

カイは振り返り、

「失礼ですね、変なことに成りようが無いでしょう?」

と、怒ったように答える。


 「釘を刺しただけだ。

うちの大切な社員だしな」

そう言いながら、キースは報告書に目を向けた。

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