迷っちゃった!
「ねぇ、アウェリ」
「なんですか、ロン」
「これって....」
「そうですね、迷いました」
ロンに頼った私がバカでした。
「どうしようアウェリ、助けてよ〜」
「迷ってから言われても困りますよ」
流石にこんな森の奥まで来たら引き返せませんね。
「そうだ!いいこと思いついた!」
「次はなんですか?」
次は何をしでかすのか..
「アウェリ、木に登ってよ」
は?
「意味がよくわかりませんでした、もう一度言っても
らえますか? 」
「木に登って」
「頭がおかしくなったんですか? そんなことしたら木
を棲家にしてる魔物に狙われちゃいますよ」
「それもそうだね、じゃあ僕がするよ」
「私がしなくて済むなら勝手にしてください」
何かありませんかね?
見渡す限りの緑ですね。
なんだあれ?
う〜ん....里か〜
里!?
「ロン、なぜか里がありましたよ。降りてきてくださ
い」
っ!
なっ!いつの間に囲まれて、
「あなた達は誰ですか? 剣を下げてください、敵意は
ありません」
「余所者、お前から自己紹介するべきだろう」
この里は排他的だと見えますね。
「私はフィルド・アウェリ、冒険者です。私は敵では
ありません」
「そうか、じゃあこいつは誰だ? 」
....首根っこを掴まれてる。
「ロン、何してるんですか? 」
「木を登ってたら捕まえられちゃった! 」
....本当に何してるんですか、
「すいません、連れが迷惑をかけて。こいつはロンっ
て言います」
「酷いよ! 僕はアウェリのために木を登ったんだよ」
勝手に登っただけですがね、
「....敵意はなさそうだな。おい! 剣を下げろ」
「剣をおさめていただきありがとうございます」
「私たちはお前たちを信用したわけじゃない」
警戒心が高めですね。
「私たちは自己紹介をしました。次はあなた達につい
て教えてください」
「....とりあえずついて来い」
「どこに向かってるんですか? 」
「この里の長のところだ、黙ってついて来い」
印象最悪です、もっと愛想を良くしたらどうですか?
「着いたぞ、入れ」
「失礼します」
....見た感じより中が大きくないですか?
「やぁ、よく来てくれね。まずはいらっしゃい」
「ありがとうございます」
「こんにちは〜、僕がいらしゃったよ〜」
なっ、なんて失礼な!
「ロン! 失礼ですよ」
「あぁ、いいよいいよ。それより、クラーク、申し訳
ないけど下がってくれる?」
「わかりました、扉の前で待機をしておきます」
「ありがとね、じゃあまた後で」
「どうして兵を下げたんですか? あなた達から見た私
達は信用にたる人物には思えないのですが」
「別にいいよ、僕には君たちが信用に足る人物に見え
たし、そう聞こえた」
どういうことでしょうか?
「そう聞こえたとは? 」
「アウェリ、多分だけど心が読めるんだと思うよ」
はっ?
心が読める?
そんな力があるんですか?
「心が読めるとは? 」
「まず、君にちょっといいかな? 」
「いいよ、それを言っても君達なら気にしない」
なんか会話のテンポが気持ち悪いです。
「君はエルフだよね」
「あぁ、そうだよ。僕たちはエルフだ。ちょっと見て
てね」
....えっ!
耳が!?
「普段は耳を魔法で隠してるのによくわかったね」
「まぁ、僕はすごい魔法使いだからね」
「まぁこんな場所に住んでいてはそう思われてもしょ
うがないけどね」
「確かにね〜、隠すつもりってあるのかな」
「普段は隠してるんだけど、結界に不具合があって
ね」
「不具合?」
「そうそう、不具合。最近、森で異変があってその影
響でね」
「アウェリ、まずは結界について教えてあげよう! 」
「エルフは人族がほとんど使えない空間魔法が発達し
ているんだ。それで里を隠したりしてるんだ。この
部屋だってそうだね」
エルフしか使えない空間魔法、
そんなものが....
「すごいね、知っていたとしてもそこまでわかるんだ
ね」
「流石に隠すのが下手すぎるよ〜」
「ははっ、じゃあ僕も君の秘密を明かしてあげようか
な」
「それはやめてね、怒っちゃうよ」
「それは、怖い。でも邪魔はしないから安心してく
れ」
「絶対に言わないでね」
「そんなに圧をかけないでくれ」
そんなに大事な秘密なんでしょうか?
まぁ、人それぞれですからあまり踏み込むものではありませんね。
「それとね、僕は君にも興味が湧いてきたんだ。君の
その目的の先がどうなっているのかどうか、楽しみ
だよ」
....私の心を読みましたね。
「乙女の秘密を無闇矢鱈に見るものではありません
よ」
「悪かったよ、良かったらここに泊まっていくとい
い。明日は祈神祭だからぜひ参加してくれ」
「いいんですか! ありがとうございます」
エルフのお祭り....少しだけですが興味が湧きますね。
本当に少しだけですがね。




