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ちょっと甘すぎたケーキ
地下室での激戦から数時間後、葵は自宅の小さなキッチンで、幼なじみの結城瑞希が焼いた特大のデコレーションケーキを前にしていた。
「アオちゃん、初仕事おめでとう! 無事に帰ってきてくれて本当に良かったよ」
結城は目を細めて微笑んだ。
「アオちゃんのお嫁さんになってあげるよ」
「ありがとな、ミズキ! さすが天才パティシエだぜ!」
葵は早速フォークを手に取る。
「チッ、なんでテメェがここにいるんだよノリ」
葵は隣の席に座る徳彦を睨みつけた。
徳彦は紅茶を一口すする。
「君の安否確認と、違法龍理の残滓が君の居住空間に影響を及ぼしていないかの確認のためだ。それに、このケーキの糖質含有量は興味深いな」
と、一切感情を交えずに答えた。
「何も問題はな」
「うるせー、余計なお世話だ!」
文句を言いながらも、三人はあっという間にホールケーキを食べ尽くした。
葵が満足感に浸ってけん玉を取り出した、その時、床に置いていたスマホが短く振動した。画面に表示されたメッセージの送信元を見て、葵の表情が一瞬で引き締まった。




