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48. 技術チートは無理


 「振動が少ないですね。」


 「サスペンションだったかな、それがあると違うようですよー。」


 「馬車でも変わりますか?」


 「変わるんじゃないでしょうか。私はあまり詳しくないので山田さんに聞いてみますね。」



 コンラッドさんはできれば技術登録してほしいと強く勧めてきた。領都と王都の往復が多く、馬車での負担が大きいので泣く泣く移動を減らし、王都で単身赴任の日が多くあるらしい。子供達との時間の為にこの技術を運用したいようだ。


 「成長するのはすぐですもんねー。こんなに可愛いし日々見逃したくない気持ちわかります。」


 そこからは、コンラッドさんによるどれほど子供達が世界一可愛いのか、妻が素晴らしいのかの独演が続いた。





 「まゆ様、移動中のお食事については必要ないとのことでしたが、こちらご自宅を出すにはスペースがございません。本当に宜しかったのでしょうか?」


 「はい!森での移動で使ったテントがあるので、そこで休もうと思います。」


 お昼の休憩で、騎士団長が念押しの確認を取ってきた。少しでも隊のほうで面倒をみてくれようとしてくれるが、人目を気にせずストレッチやごろごろしたいので、こちらも負けじと遠慮している。


 コンラッドさん達は、侍従さんが用意したところで休むようだ。午後は仕事で同乗しないが、今回の移動は子供達を乗せてほしいと希望された。




 「アルフォンス君、お昼はこっちで取るので大丈夫?簡単でいいかな?」


 「簡単なものでしたら、また私に挑戦させてください!」


 運転もしており、食事までお世話になるのはサポートとして付き添うアルフォンス君には思うところがあったそうだ。


 「それじゃお言葉に甘えて任せようかな!」


 天気もいいのでタープを張り、秋の冷たく気持ちのいい風を感じながら温かいラーメンにしようと思う。野菜を切ったあと、鍋の中で塩コショウで炒め、火が通ったら水を入れるように流れを教える。沸いたら呼んでほしいと伝えてからテント内でストレッチをしながら休憩する。



 「領都まではいいけど、王国に戻ったら馬車だよねー。なんとかトラウマなくしてあげたいけど……アルナイル様に聞いてみようかな。」


 車内での安らいだ表情でにこにこする二人を思い出し、別れたあとのことが心配になってくる。



 お湯が沸いた知らせをうけ、ラーメンの仕上げに取り掛かる。鶏ガラと甘みのある地元の醤油で味付けし、中華麺を入れほぐしたら玉子を落とし蓋をする。


 「よし!食べよっか!」


 器に盛りつけ、ごま油を軽くまわし掛けて完成だ。



 


 食後はすぐ子供達と合流し再度出発だ。後部座席は足元を全て埋め、いつでもお昼寝可能にしておいた。


 「ロバート、アリス、また休憩で会おうね。」

 

 「はい!ちちうえはおしごとがんばってください!」

 「ふぁ。ぱぁぱ、おやちゅみ。」



 午後の行程はあっという間だった。子供達が起きだす頃には砦が見え、入り口まで車のまま内部に案内された。


 砦内は今回の為に辺境伯側で客室が整備されているようで、今日は異世界初の建物での宿泊になる。




 「辺境伯様からご挨拶させていただきたく。晩餐にご招待したいのですが、いかがでしょうか?」


 部屋に案内してくれた騎士から、夜ご飯についての確認がきた。山田さんとの待ち合わせまでお世話になるので、こちらからも挨拶したいと伝えてもらい、ドレスコードなど聞き出した。異世界での初食事も楽しみだ。

 

 「18時にはお声かけさせていただきます。それまでお寛ぎくださいませ。」




 ソファでうとうとしてしまったが、夕暮れの冷えで目が覚めた。いそいそと友人の結婚式で来たほかのワンピースに着替える。地元の友達は結婚が早く、何度もお祝いに駆けつけていた。毎回同じ服も味気なくついつい買ってしまっていたので、もう一回くらいはフォーマルな対応は可能だろう。


 今回は下地が黒で上にベージュのレースを重ねた、スタンドカラーのノースリーブワンピースを着た。胸の下で黒地のリボンを巻き引き締めているので脚長効果を狙った一着だ。少し冷えるのでノーカラーのジャケットを羽織り、メイクも整えて、呼ばれるのを待つ。


 

 

 

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