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43. やっと渡せる


 今日は本来領都に向けて出発する予定であったが、魔導列車の手配と私が待つ間の逗留場所の話し合いの為、もう一泊ここで過ごすことになった。



 「あ、おはようございます。お伝えしたいことがあるので騎士団長様のお時間があるときにお会いできないか聞いてもらえますか?」


 「はい、了解しました。どのようにご自宅内へお伝えすればよいでしょうか?」


 「このボタンが呼び鈴になってるので、ご返答がありましたら、押してお知らせください。」



 何かあればすぐ対応できるようにと、玄関近くには誰かしら待機してくれているので伝言を頼む。




 「あ、おはようございます。昨日は眠れました?」


 「おはようございます、まゆ様。とても寝心地がよく休めました。ありがとうございます。」


 「おはようございます!」「ぉぁょ、ごじゃぃまちゅ……。」


 「アリスちゃんはまだお眠かな。朝ごはん用意するので、お茶どうぞ。」



 

 成獣コンビは朝いなかったので、大人の分は簡単に小麦粉ガレットを焼いていく。スープは以前のように簡単にできるスープメーカーを使い、コーンポタージュを作ろう。空いたフライパンで玉子を落とし半熟に火を通す。紫たまねぎやきゅうり、キャベツの粗みじん切りに、ナッツを砕いて、フレンチドレッシングを混ぜたコールスローを少し冷ました生地にのせる。その上に目玉焼き、生ハムをかざり、パセリをかけたら完成だ。


 子供達には、餃子の皮をたこ焼き機フライパンにはめていき空いたところにウズラの卵を落としていく。焼いただけの物にコールスローとミニトマトを飾ったり、生ハムを飾り、色とりどりの一口ミニガレットもどきを作った。

 


 「できましたー。」


 「「「「いただきます!」」」」


 「かーいー!」

 「おいしいです!」『きゃんきゃん』


 「子供達は少し違うんですね。」


 「まだナイフは難しいかと思って、一口サイズにしました。」


 「このような料理は初めてです。美味しいです。」


 「お口にあってよかったです。」



 食後、コンラッドさん家族はスピカの散歩という名の、アリスちゃんを慣らすため天幕まで出掛けた。片づけが終わった頃には騎士団長からの話し合いの場の連絡がきたため別の天幕へ向かう。





 「おはようございます。まゆ様。昨日が提案しました、魔導列車の利用について進展はありましたでしょうか。」


 「はい。山田さんと連絡を取りまして、お話いただいたとおりに辺境領で合流したいと思います。手配のほど宜しくお願いします。」



 クバンまでの行程を予想し、列車への乗車方法など話し合う。山田さんが到着するまで十日ほどを目安に、辺境伯の領城に滞在してほしいとのことだ。


 ひと段落着いた頃、入室の伺いが入り、皇太子がいらっしゃった。



 「お話し中失礼します。私は一足先に皇都へ戻りますのでご挨拶に伺いました。いろいろ落ち着きましたら一度皇都へお越しください。お待ちしております。」


 「はい。皇都ではどのように取次を願えばいいですか?」


 「アルフォンスを今後の旅においても案内にお使いください。また、女性騎士もトゥリアにて顔合わせをお願い致します。」


 「え!今回の被害者だし一度ご家族と会う時間をあげたいんですけど。」


 「それでしたら故郷は帝国東部なので、まゆ様が皇都へいらした際に帰省させます。本人もまゆ様のサポートをしたいと希望しておりますし。」



 騎士団長からの申し出に、まあそれならと渋々納得した。



 「挨拶へ来た身でありながら烏滸がましいのですが、もしよければアルナリーを一本でいいので分けて頂けないでしょうか。」


 「え!一本と言わず束でお渡ししますよ!たくさんありますので!」


 「ありがとうございます!婚約者が花を好きなのでプレゼントしたくて。」


 「素敵ですね!あ、ちょうど渡したいものがあったのでこちらに入れておけば傷まないですね。」



 アプリで20本ほど移動させ、渡しそびれていたアイテムバッグを侍従さんへ渡す。


 「こちらは?」


 「ダイヤモンドフィッシュやアルナイル様から頂いた魚介類が入ってます。献上しようと思って用意していたんです。」


 「そのような希少な物頂けません!」


 「いえ、列車代もありますし、アイテムバック代も未だに受け取ってもらえないので貰ってください。あ!白龍の鱗もありますよ!帰りの安全のお守りにいいんじゃないでしょうか!」



 ……ざわっ


 

 周りが一瞬ざわつき静まり返った。


 「は、白、龍様ですか……?」


 

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