Y-22 異世界属性
トントントン
なんだか寝苦しいなと意識が浮上した時、ノック音が聞こえ目が覚めた。いつのまにか、サンとロンとダニーのちびっ子三人組が同じベッドに侵入していたようだ。腹に乗っかっているダニーをずらし、ドアへ向かう。
「おはようございます。もうそろそろ朝ごはんなので起こしにきました。」
「オリバーおはよう。ぐっすり寝てたよ。ありがとう。」
爆睡していたがやはり板を強く感じたのだろう身体はバキバキだ。子供たちを起こし、身支度を整えたら朝食に向かう。
「今日は午前中に買い出しや魔道具屋、子供たちはリコリ狩りですね。お昼は子熊亭を予約しているのでお店で合流して、午後に教会でバザーがあるらしいのでそちらへ行きませんか?」
「バザーか、いいね!それじゃあ午前中は子供たちをよろしくな。」
魔道具を壊しそうだと、ジャックも森行きを希望し、レオも興味がないと子供たちの付き添いが増えた。荷馬車も使うことになり、安心して送り出せそうだ。子供たちへ迷子にならないように言い聞かせ、別々に宿を出る。
「ここが魔道具屋か……。いろいろあるんだな。」
ガラス窓に鉄格子が嵌められ、絨毯の敷かれている高級な見た目の店舗に入る。内装に比べて客の恰好は様々で、こちらでも思っていたより気負わなくて済みそうだ。
陳列棚ごとにスタッフが立ち、それぞれの説明や相談の対応をしているとのこと。昨夜起動できなかったランプと似たものが並ぶ棚で話を聞いてみた。
「申し訳ございません。詳しくは登録情報になるので口外禁止となります。ただ、魔導具は共通して、陣の起動に利用者の魔力を必要とし、決まった時間・単位で魔石の魔力を使用し能力を発揮します。こちらの魔導ランプでしたら、一度の起動で二時間光りますね。」
「利用者の魔力量などは影響しないのでしょうか?」
「はい。利用者の魔力を直接使うわけではなく、生物がもつ魔力に反応しているだけとのことです。なので、ペットを飼われている方へは注意喚起を行っております。」
「そうですか。であれば、魔石の魔力に反応して起動はしないのですか?」
魔石は魔力を頑強に内封しており、外側への干渉がないそうだ。陣を利用しなければ魔力を引き出せないらしい。
丁寧なスタッフの話を聞く限り、やはり自身には魔力がないのだと自覚した。ほかの棚も見て回り、陣の見えるものがいくつかあるのに気づく。安いものや簡単な作りの物は、かなり昔の登録で権限が切れており陣が見えても構わないらしい。
こちらへ来る前に商業ギルドでまた黒糖の換金をし、金銭を増やしておいたので、料理をするときの助けになる上に陣が見やすい形をしていた火起こし機を購入した。あとは、スマホばかり使えない時も考え小さめのアイテムバッグを選び店を出た。
「考えこんでいましたが、何かありましたか?」
「あぁ、これ、自宅内で見たら読めるんじゃないかなって。」
「……!それはあり得ますね。」
住まいの括りであれば、テントもまた自宅と同じように文字がわかるので、宿に戻ったら小さなテントを買い試してみようとなった。
たくさん収穫できたと楽しそうな子供たちと合流し、聖流で運ばれてきたパスタが使われたお店で美味しいお昼を済ませる。
「おっさん……教会行くなら、サンとリリに鑑定の儀受けさせれないかな。」
五才になった初めの秋に鑑定の儀を受けるのがこの大陸での常識だそうだ。このまま旅をしていたら、あっという間に冬になるのではと、アレックスは心配していたらしい。
「やむを得ない時もありますが、五才で受けられないとスキルが減るのではという噂があるんですよ。」
「そうなのか!それじゃすぐ受けよう。予約とかはいらないのか?」
鑑定の儀ではスキルや属性、希少魔術の使い手などがわかるそうだ。ヨーロッパで見るような教会の中でも、これぞ質実剛健という建物に入り、受付のようなカウンターに立つシスターへ声をかける。教会ではいつ何時でも対応できるよう、鑑定の儀における導師が控えているそうで、すぐに初老の導師が現れ別室に案内された。
「特別なことはありません。こちらの石板に手を当て、神に祈りを捧げてください。」
勝手に居丈高な対応をされるかと思っていたが、やはりこの国は特別なのだろうか、にこやかで丁寧な人柄に安心して子供たちに付き添う。
「保護者の方、このお二方は神聖魔術の才があります。将来希望するのならば教会はいつでもお待ちしております。ご検討ください。」




