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41. 雨上がりの空からの雨



 「ぱぁぱー!まぁまー!あ゛ーーー!まゆたーん!あーーー!!」





 『おう。ほれほれそんなとこで泣くでない。』


 「「アルナイル様!」」



 ちょうど天幕から出て泣き声の方へ顔を向けると、星鯨が家の玄関前にいた。盛大に泣き叫び、地べたに転がっていたアリスちゃんをひょいと抱え、涙ぐむアルフォンス君の頭を撫でている。



 「あ、ちちうえっ!」


 「ロバート!どうしたんだ?」


 「ひっく、あの、おきたらちちうえいなくて、アリスがないてて……。」



 コンラッドさんがロバート君を抱き上げ話を聞く。天幕で目が覚めたら、誰もいない知らない場所にアリスちゃんが泣き、探しに家へ来ても誰もいなくて、地面に泣き伏してしまったそうだ。



 「そっかー。ごめんね。誰もいなくて怖かったね。」


 『こんな汚れてしもうて。ほれ、握っているものもお出し。』



 星鯨にそっと手のひらを開かされたアリスちゃんは、寝るときに外していたのだろう、握り締めぐちゃぐちゃになったヘアバンドを見てまた泣き出してしまった。



 「うあ゛ーーーーまゆたんにょーーー!!あ゛ーーー!!」


 『ほれほれ、綺麗になっておるぞ。』



 予備動作もなくエフェクトもない聖獣の魔法は脳味噌が混乱する。瞬きの間にアリスちゃんの鼻水も服の土汚れも全身が綺麗になっていた。案の定アリスちゃんは気づいていない。


 

 「アリスちゃん綺麗になったよ。付けてあげるね。うん可愛い!」


 「アリス似合ってるよ。妖精さんのようだ!!!ああ。こちら服もそうですが、まゆ様が御用意くださったんですよね。ありがとうございます。」


 「いえいえ。そうだ!起きたしおやつにしようか。コンラッド様もご一緒にどうぞ。子供達が一生懸命採ったベリーを使ってるんです。」


 「ぅ゛ぇ。う、おやちゅ。」

 「ちちうえもいっしょにたべてください!」


 「あれ、アルフォンス君は入らないの?」


 「はい。報告もありますし、ここで失礼します。」


 「えーでも、アルフォンス君のおかげで採れたベリーだし……。置いておくからあとで取りに来てね。」


 「ありがとうございます!あとで伺いますね。」


 「皇太子殿下も召し上がりますか?毒味?とかしますよ。狭い家であまり入らないんですが、お付きの方もどうぞ。」


 「毒味など気にされずとも大丈夫ですよ。よければこの者もご一緒してもいいですか?」


 「どうぞどうぞ!」




 家へ入るとフェンリルが大型犬サイズでスピカと一緒にこたつで寛いでいた。人数も増えたので片付けていた大人用の椅子を取り出し、席へ案内する。



 「立花様、私殿下の侍従をしております。ヴァンターと申します。給仕はこちらで行うので、ご自宅の設備について幾ばくかご教示願えますか?」


 「はい。ありがとうございます。それでは、こちらへどうぞ。」



 キッチン内でお湯の沸かし方、茶葉の場所や食器を説明する。今回は見栄えが可愛らしいのでホールのままテーブルへ並べ、侍従さんが取り分けてくれるそうだ。



 「かあいー!!!ぱぁぱ!ありゅなあるちゃま!」

 「ちちうえみてください!アルナイルさまの色です!」


 「すごいね。二人が採ったんだったね。楽しみだ。」


 『ほっほっほ。そうじゃのう。わしにそっくりじゃなぁ。』


 「スターベリーとクリスタベリーのタルトです。チーズをクリームに使っています。ほかにも用意できますので、苦手でしたらおっしゃってくださいね。」


 「ああ大丈夫です。これはすごい。しかも、テーブルに飾ってあるのはアルナリーではないか?」


 「はい、そうです。海辺の岩場に群生していたんですよ。森から海に抜けたときは唖然としましたが、色々と発見があって楽しかったです。」


 『ふむ。お茶がうまいな。』


 「ですね。やっぱりプロが入れると全然違いますねー。おいしー。」


 「光栄でございます。」





 美味しく食べて飲んで、和やかにお茶会は終わり、皆が家を出ようかという時再び爆音が響いた。



 「やあ゛ーーーーー!いきゃにゃい!ぱぁぱ!めっなの!!!!うぁあ゛ーーーー!!!!!」



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