表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/104

6. 安眠できそう


 期待に震える指で、母が愛飲しているオロナミン〇をタップしてみる。


 ポトッ


 寝袋の上に無防備に投げ出された、見慣れたあの元気がでる飲料。



 ガッツポーズが出た。




 これで食べ物に当分困らないだろう!

 昼間から不安ばかりで、情緒が激しく右往左往していたが、衣食は担保された解放感と炭酸が身に染み渡る。


 他のアイコンでお金の袋は、金融機関と自宅の500円玉貯金が合算され表記されているようだ。思ったより貯金箱が貯まっていてニヤけてしまう。定期預金や積金も解約されすべて財産扱いとされていた。

 


 最後は本命の買い物カートのアイコンだ。

 アニメなどでみた異世界の定番ともいえるチートではと、全身が歓喜のスタンバイ状態だ。


 



「……よっしゃーーーーーー!!!アニメで見たやつー!!!」


 瓶を倒したが何滴かしか残っていなかったので気にしない。ただただこの高ぶりに合わせて小躍りした。

 車からは奇声が漏れ謎に揺れ動き、もし何者かが車を見ても、決して近づかない異様さだっただろう。


 

「ネット通販だー。」

 いつも利用しているサイトごとに分かれているようで、履歴もそのままであり検索しやすい。

 

 

「あれ?わからんやつがある」


 

 今までスーパーや雑貨屋さんで購入したもの、居酒屋やごはん屋さんで食事したもの、ネット通販にないものの履歴がまとめられたカテゴリーがあった。


「チートすぎるやろぉ………」


 こんなにチートすぎていいのか、なんだか幸運が一気に来たように感じ、今後に揺り返しが来ないかと不安がじわじわと少しだけ吹き返してきた。


「あー、そうだあれしてない!」


 そうあの定番のセリフ。忍び寄る不安を吹き飛ばすように…





 

「ステータスオープン!!!」




 


 ………………。




 


 何もない。恥ずかしさが頬にのぼってきた。それでも諦めきれず、ぼそぼそと他の定番の言葉を口にした。


「ステータス開示…」


 言葉ではないのかと、心で思ってもなにも反応がない。ちょっと、いやかなりショックではあるが、携帯電話のチートに気持ちは持ち直した。これ以上は高望みしすぎだ。


 外もすっかり暗くなり、今まで食べに行ったところの一覧を見ながら、明日は少し贅沢しちゃおうかなと色々と眺め、寝袋の中でゴロゴロする。


「そうだ、山田さんに連絡しようかな。」



 

 ――〈私〉探索はできてませんが、色々と嬉しい発見がありました。明日は冒険してみます!



 ピコンッ


 ――〈山田〉僕の方も寝床なんとかなりそうです。結構心労がひどく早めに休もうと思います。また明日やりとりできたら嬉しいです。おやすみなさい。


 


 

(心労か…お仕事でトラブルあったのかな…)

 自然と利用していたが、普通にやりとりできることに安心する。相手は私の置かれてる状況を知るよしもないが、人との繋がりというのはこんなにも大事なのだと身に沁みた。


 明日はなんだか明るい気持ちで迎えられそうで、電気毛布の中ぬくぬくで眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ