5. 巣篭もりを希望
初めての秋の山で夜の冷え方がわからず、車だからとバックパックでキャンプしていた時が思い出せないほど、防寒着などの荷物を積んできている。外に出るのが怖いからと、運転席と助手席の間から後部座席へ移動し、ダウンジャケットを着たり、心配性で積んでいた毛布に包まることで安心感が増した。
そうすると、このまま寝るのは不便なので寝床として整えようとあれこれ考え出した。
毛布に包まったが抜け出し、後部座席を倒した。綺麗にフラットにはならないが寝転べるようにしたい。キャンプ用品は収納BOXでまとめてあるので、重ねて左リアドア側へ積んでいく。寝るスペースにアルミマット、波型のクッションマットやインフレーターマットを重ね、寝袋も広げておいた。もちろん毛布も。
今回のキャンプは冬に向けて、薪ストーブを使う練習キャンプでもあった。ストーブが思ったよりも上手くできなかった時用に、毛布も二枚積み、ポータブル電源と電気毛布も保険として持参していた。
『備えよ常に』とボーイスカウトで教わったが、ただただ心配性なだけで、積載量の多い車があるからこその大荷物である。
ただ、唯一自分を褒め称えたい備えていた物がある。
簡易トイレだ。
高速で渋滞などトラブルがあった時用に、常にサイドボードで保管していた。SNSが発信できるならば、まだ備えていない人にはぜひ勧めたいと思う。
人心地がつき、空腹を感じ始める。
ふと暗くかんじて外を見ると、夕暮れが近づいてきていた。こちらには何時に来ていたのかわからないが、今腕時計は4時過ぎを指していた。
キャンプ場へ着いたら、昼食にしようと朝に作っていたサンドイッチを夕食も兼ねて食べることにした。
気持ちに余裕がでてきたので、先ほど見つけた他のアプリの確認を始めよう。
ホーム画面には知らないアイコンが3つある。家の形、金貨が入っていそうな袋、買い物カートを模したものだ。
造詣の深い方々には負けるが、そこそこのアニメ知識はある。これはもう、ネット通販やインベントリなどチートの匂いしかしない。食後でまったりしていた脳みそがドーパミンを大量分泌しているのを感じた。
絶対テンプレチートだ!と期待に胸と体が踊り始める。
家のマークをタップすると、ずらっと大量の一覧が現れた。カテゴリー分けされているが、ぱっと流し見たところ、所有物が表記されているようだ。
車は暗くグレーで、自転車ははっきりと黒文字になっているので、キャンプ用品など実際に手元にある物は車と同じ扱いだろう。
ふと、冷蔵庫のカテゴリーをみつけた。しかも実家の冷蔵庫と私室の小冷蔵庫の中身が別個あるようだ。住んでいた建物全体がホーム扱いなのか、色々とアプリ内を漁れば出てきそうだ。
「これが出せるなら本当のチートだ」
外出中でのもしもの為に、簡易トイレ、本当に本当におすすめです。




