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34. よっ!カニ三昧!


 「あ、今から作りますので、少々こちらでお寛ぎください。」


 こたつへ促し、ダイヤモンドフィッシュの骨せんべいと、お茶をお出しする。


 

 昨夜から、地味に頭を占めている真っ赤に美しく輝く、大きな、カニ。収納から取り出しカメラを向けたると、形通り愛する紅ズワイであることがわかった。茹でたり火を通すと、ある一定の温度で勝手にポロっと甲羅の宝石は取れるそうだ。宝石はガーネットクラブの名の通り、ガーネット。この世界は基本的に動植物から宝石が採れるのだろうか。


 お湯を沸かしながら、鯛を焼き炊飯器にセットする。寸胴鍋にギリギリサイズな蟹を二杯茹で、少しでも野菜をと煮しめを作る。カニの足はかぶりつけるように剥き、副菜にきゅうりとわかめの酢の物、昼に砂抜きしておいた大振りアサリの味噌汁でおおまかなメニューは揃う。あとは、大人のつまみに腹の身を戻した蟹味噌甲羅を焼き、人数分のキスと大海老の天ぷらを揚げれば完成だ。カニを剥くのに少し時間がかかり過ぎたかもしれない。先に神様へお供えして、皆に配膳していく。


 「すみません。お待たせしました。」


 『大丈夫じゃよ。まだ暗くなったばかりじゃ。』


 『おう。我が早すぎただけだ。今日も豪勢だの。』


 「そうですか?よかった。じゃあ食べますか!」


 「「「いただきます!」」」


 大海老はアリスちゃんには大きすぎるので、はさみで切り分ける。味噌汁は初出しだが、皆普通に受け入れてくれてるようで安心した。鯛めしもうまいこと味がしみて、おかわりしてしまいそうだ。


 「はあー。カニうまー。」


 「本当美味しいです!手間が掛かっていましたがお疲れではないですか?」


 「この足にかぶりついたらもう手間も疲れもどっか行っちゃった。」


 「かに!うま!」『きゃんきゃん!』

 「かにおいしいです!アリス、うまじゃないよおいしいだよ。」


 「あー、言葉移っちゃうよね。気を付けないと。でも美味しい物食べると語彙力が死んじゃうんだよねー。」


 「言葉が出てこないのはなんだか分かります。私はすごく美味しいしか言えてません。」


 蟹を頬張る可愛い姿を写真に収めたり、皆でわいわいと感想を話していると、聖獣組は日本酒をちびちびと飲みながら、黙々と食べている。口に合わなかっただろうか。



 『ん?昔を少し思い出してな。十分旨いから気にせずともよい。』


 『そうじゃなあ。あやつもカニが大好物でなぁ。少し感傷的になってしもうた。』







 翌朝、軽トラックが埋まるほどの大量のカニを手土産にと携えて星鯨は本を読みに来た。


 「おはようございます。すごい量ですね……。」


 『やはり好物の方が嬉しかろ?今日もお邪魔するでな。』


 「いつでも来てくださっていいんですよ。手土産もたくさんいただいたので今後は大丈夫ですよ。毎回ありがとうございます。」


 今日は一日自由なので、食材の仕込みや処理をしていこう。朝ご飯は昨日の残り物で鯛めし茶漬けだ。



 「今日はこの辺りの情報がないので少し調査しようと思います。」


 「あ、そうなんだ!百メートルは安全だからあまり外に行かないでね?あと、お昼寝時間に少し手伝ってもらいたいことあるんだけど大丈夫?」


 「はい!午前中のみで見える範囲からは離れませんのでご安心ください!お手伝いはどのようなことですか?」


 「巨大ツナボニートを捌いてみたくて。へへ。」


 「あれに挑戦するんですね!お力になれるよう頑張ります!」


 心配になって一緒に外へ出ると、アリスちゃんが散歩したいとなってしまった。海辺は素人目にも範囲内と分かるので、浜辺を少し歩くことにする。



 「波打ち際は範囲内かわかるけど、来た方の森と岩場の山側はどこまでか分かりづらいね。」


 「大丈夫ですよ。そんなに離れませんし。」


 「んー。でも。……ちょっと待ってて!」



 キャンプ用の派手派手パラコード百メートルと、イベントで使えるレインボー旗をアプリで購入する。コードの端を玄関ドアに結びつけて、もう片方はお腹に巻く。


 「はあはあ、よし!これで百メートルきっちりじゃないかもだけど安全な範囲が分かるよ!」


 「……わかりやすいですね。」


 コードがぴんと張るところまで行き、砂浜に旗を刺して行った。森側は白龍の息吹があるのでまだいいが、岩場側は魔物が出るかもしれない。アルフォンス君が代わってくれたが引っ掛かるのも危ないので、杭に紐を結び端を持って探索するそうだ。


 「家の中心から百メートルだと範囲もうちょっと手前かも。気をつけてね。」


 「ありがとうございます。行ってきます!」


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