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Y-15 異世界運転

 今日の移動は大きな街へは寄らず、街道を抜ける一日になるそうだ。


 聖王国から共和国の首都へ繋がる主街道と交差するので人通りも多く、今夜はテントを使う予定にした。


 「主街道までは村が少ないので、ここからは魔物もでてきます。注意していきましょう。」


 「そうなのか。その時は何もできないしダニエル達頼りで申し訳ないな。邪魔にならないようにトラックにこもるよ。」


 「おう。任せておけ!俺たちこれでもCランクだからな!」



 初日も不意を突かれなければ余裕だったらしい。この街道もそこまで強い魔物が群れになることもないそうで、安心して任せていいようだ。



 「あのさ、山田さん、これって俺でも動かせる?」


 休憩中、白銀の風のマイクが尋ねてきた。やはり男の子は機械の魅力に抗えないのだろう。車の安全保障チートがあるので、成人だったら大丈夫だろうと試乗を提案する。


 「次の休憩のときに少し離れて乗ってみるか?」


 「え!いいの!やったね!」「俺も俺も!」

 「それだったら俺も乗ってみたいわ!頼むわ山田さん!」

 「オレは狭そうだから辞めとくよ……。」


 「おれもー!」「おいちゃん!ぼくもぉ!」


 「おまえらは足が届かないだろー。」


 休憩中大ブーイングの嵐を受け、さすがに車は駄目だと、キックバイクを買い与えた。上手くなったらこういう自転車に乗れるようになると、手持ちのバイクに乗ってみせる。


 「そのかわり、乗るのは次の休憩からだぞ。もう出発だ。」


 荷台からのブーイングをBGMに街道を走る。草原が広がり、清々しい秋の風を感じながら、賑やかな旅を楽しむ。




 「山田さん!もうそろそろ昼にしようぜ!」


 軽トラの横に馬を寄せ、ダニエルが開いた窓越しに宣言した途端、後ろから歓声が聴こえた。


 「はははっ了解!」


 街道横にいくつかある休憩所の隅に車を停める。馬たちは水場で水分補給だ。そして、人間たちの補給を考える。昨日の食事から餌付け成功ではないが、料理担当を任せてもらうことになった。白銀の風に料理担当がいなかったことも理由にある。


 「昼は何にするかなー。」


 「にくー!!!」「にーく!にーく!」

 「エビ!!!」


 「海老は昨日食べたからなー。肉にするか!」


 「「「いえーい!!!」」」


 大人だけだと適当にステーキだけでいいかとしてしまうが、子供たちには野菜を食べさせたい。大量に肉を食べた気にもなれるよう脂身の多い豚バラ肉スライスを三キロ購入する。


 「また火を起こせばいい?」


 「おう!頼むわ!」


 自然とアレックスと一緒に料理をするのが当たり前になっている。手際もいいし、何気に料理を教えてると楽しそうなのが気になる。その気があるなら、こっちの道に行くのもサポートしてあげたいが、孤児院問題を何とかしてからになるだろう。


 「うえーやさいあるじゃーん。」

 「にくはーどこだー。」

 

 「めっちゃ切ってる。」


 米を炊いている間、キャベツを二玉と玉ねぎ人参を切り、もやしを用意しているとまたもや男子からブーイングが入った。白銀の風の獣人男子ジャックとレオもちびっ子に混ざって文句満々な顔をしている。


 「これが黄金のたれで上手くなるんだよ。」


 「なにー?きんぴかなのー?」

 「きんはくえねーよー。」


 「じゃじゃーん!とりあえず待ってろって。」


 野菜に軽く火が通り、豚バラを並べていきアルミホイルで蓋をする。いわゆる蒸し料理だ。全体に火が通ったころ外して、一気にタレをぶっかける。


 じゅわあ゛ーーーー


 「じゅる」

 「「「いいにおいー。」」」


 「だろー。このタレがうまいんだよー。野菜も美味いぞー!」


 「ぜったいうそだー。」

 「においはごうかくね。」「おいちゃんまだー。」


 「皿に米盛ったらこっち来ーい。順番によそうから。」


 大人は自分たちでできるので放っておき、野菜を避けようとする子供たちに遠慮なく盛っていく。


 「では、いただきまーす!」


 「「「「「いただきまーす!」」」」」


 「うめー!」「なんでだ。やさいがうまいなんて。」

 「このたれはてんさいだ。」


 ブーイングが嘘だったように綺麗さっぱりと鉄板を空にして、今度は乗せろ合唱が始まった。


 「はいはい。乗り方はこうだぞ。順番に乗れよー。」


 「私達が見ておくから安心して。あの大きな子供たちに車早く乗せてあげてよ。ふふ。」


 「あー。はは。待ちくたびれてるな。宜しく頼むよ。」



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