Y-14 異世界読書
休憩は終わり、また移動を開始した。今晩は野宿となるので街道を外れたところで家を出す予定だ。テントでの寝起きなど考えているが、今日は文字の検証もある。
「まこっちゃん!兄ちゃんたちどこでねんのー?」
「他の部屋片付けて寝てもらおうかなって思ってるぞ。」
今の助手席はリックだ。質問されて、実際まだ確認を取っていなかったことを思い出す。トイレ休憩でダニエルと話しておこう。
「あー、俺たちは火の番しながら外で交代に寝るから気にしなくていいぞ。」
「そうなのか?この範囲安全だけど。」
「わかっちゃいるが、習慣だしな。なんかムズムズすんだよ。」
「なるほど。了解。あ、でも寝る人は、中使うのはどうだ?」
「そりゃ助かるが、出入りでうるさいぞ?」
「大丈夫だよ。男女でわけるか?」
「いや、一部屋で充分だ。ありがとよ!ちょっと中気になってたから嬉しいぜ。」
夕暮れになり、自宅を出すため、ほどよい野営地を探す。街道から外れるが、死角の少ない場所にアプリで角度を確認し設置した。
「やっぱり、家を出すと範囲内は読めるみたいだ。」
「限定的な能力なんでしょうか。」
「今後を考えると覚えた方がいいよな。あーこの歳で語学かー。覚えられるかなー。」
「おいちゃん、べんきょうしゅるのー?」
「わたしたちも、まえはいんちょうがおしえてくれたのよ。」
「いんちょうどこいっちゃったのかな。」
「よし!一緒に勉強するか!文字かけるほうがいいもんな!」
「うぇーおれやだー。」
「おれもー。」
「おいおい、文字わからないと悪いやつに騙されるぞー。」
文章を凝視すると、元々のここの文字が見えてきた。切り替えられないか意識すると変えられるようだ。
「ま、とりあえずは先に飯にするか!」
「まこっちゃん、おれカレーたべたい!」
「あ、おれもー!」
「ちゃいろー!」「おいちいのー!」
「またか?まあいいけど。ダニエル達も食べるか?」
「お!いいのか?」
「おい!甘え過ぎだ!」
「え、いいよいいよ。気にすんなって。俺もダニエル達がいて本当助かってるから。」
皆でわいわいと食事をし、風呂もすすめたあと、オリバーから少しこの国や世界のことを教えてもらう時間を取った。年少は電池が切れているので、年長と一緒にリビングで静かに書き取りだ。
「どこから教えたらいいんでしょうか。」
「この国は学校というか子供達が学ぶところはあるのか?」
「ええ、村だと教会や、街になると学校がありますよ。」
「そこで、学び始めたばかりの子と同じかんじで頼むよ。」
まず、聖獣のこと、曜日のこと、数字の基本を教わった。
聖獣は、フェンリル、白虎、海馬、白熊、大陸亀、朱雀、星鯨、冥界の八体。冥界だけは姿形は不明らしい。それぞれに王がおり、白虎の王は帝国皇室と繋がりがあるとのこと。すぐ雷を落とすのもその王だとか。フォーマルハウト山脈の麓にはフェンリルの王の名から来ている、レグルスの森があるそうだ。
また、性質が曜日を表すようで、一週間は、風、雷、水、樹、炎、星、冥の八日。それぞれの文字を練習した。
「うへぇー。おぼえられねー。」
「なー。めんどくせー。」
「頑張れー。勉強は大事なことだぞー。」
「白龍様や聖獣様のおかげで世界は安定しているので、いつ出会っても敬意を表せるよう知識を持ちましょうね。」
生物が安全に暮らせるのは、瘴気を循環浄化してくれる白龍と黒龍のおかげらしい。聖獣は龍のサポートをしており、瘴獣が現れた際主に対応してくれるとのこと。
「魔物は瘴獣関係じゃないのか?触るとやばいとか怖いんだけど。」
「魔物は魔法特化で進化した動物なので大丈夫です。普通の動物より美味しいですよ。」
「へーそりゃ食ってみたいな!瘴獣の見分け方とかはあるのか?」
「まず、瘴気をまき散らし気持ち悪くなるので近づけないですね。伝承によると瘴獣になり果てた動物はヘドロが纏わりついて溶けかけているそうです。」
「もしかして聖女とかはそれ関係で呼ばれるのか?」
「神と聖女でどのように話されているかはわかりませんが、聖女が現れるのは瘴気がそこかしこで溢れた時期が多いそうなので、聖獣や龍を助けに喚ばれているのではと言われています。」




