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25. 生って付くものは大抵美味い

 おやつタイムのあと、通信が始まった。


 〈こちらブライアン。ヴェーザー大丈夫か?〉


 「はい!こちら全員揃っております。」


 〈先に日程について話そう。そちらでレグルス様よりお聞きし、結界問題は解決したとのこと。移動も速まると聞いたが間違いないか?〉


 「はい、間違いありません。まゆ様の乗り物のおかげで、大人の歩行より確実に到着は早まります。」


 〈なるほど。こちらも辺境伯には連絡しており、先発隊も向かっている。しかし、我ら救助隊は同じく明日出発で5日かかる予定だ。同じ頃に着ければいいが、そちらが先に着いた場合は辺境伯の巡視隊に保護願うように。話は通してある。〉


 「了解しました。」


 〈まゆ様聞こえますでしょうか?〉


 「は、はい!」


 〈昨日は話せませんでしたので、遅くなりましたが、この度は帝国の騎士及び、セイファート王国のお子らを保護していただき有難うございます。今回の森からの脱出においても、まゆ様頼りになること申し訳ございません。なにかご要望等ありましたら、できうる限り対応させていただきますので、ご助力のほど宜しくお願い致します。〉


 「あ、いえ。私も転移事故でたまたま出会えたので本当によかったです。今後の身の振り方についてご相談があるので、森を抜けて会えましたら、お時間いただけると有り難いです。」


 〈了解いたしました。上の者にも伝えておきます。では、明日よりのご無事をお祈りします。〉



 そこからはロバート君家族の団欒タイムだ。今日はご母堂も来ていたようだ。預かっている身として、挨拶と二人の様子を軽く話し、あとは歳のせいか涙腺が弱すぎるので席を外した。アルフォンス君が補足しながらロバート君家族の憩いの時間は過ぎたようだ。




 今晩で手の込んだ料理も当分作れなくなるので、思いっきり腕を振るおうと献立を考える。昔から料理をする際、釣ってきた魚や、肉の塊を記録として携帯電話で撮っていた。記念にまな板の鯉ならぬ、まな板にあふれるダイヤモンドフィッシュを撮っておこう。


 「……ん?」


 カメラアプリで魚を映すと、ビックリマークが右下に現れていた。


 「なんだろ……ポチッとな。…………って、チートなんかーいっ!」


 タップすると吹き出しが現れ、中にはダイヤモンドフィッシュの説明文が載っていた。



 〈ダイヤモンドフィッシュ(イエロー)〉

 イエローダイヤの鱗をもつ魔魚。凶暴性はなく穏やかな気質のため乱獲されやすい。聖水などの浄化された水中にのみ生息する。その性質から細菌や寄生虫などを宿さない。可食部分は鱗や目玉、魔石以外全て。それら全て煮ても焼いても生でも何をしても美味。(魚卵はほぼ結晶化しているので諦めよう)



 「これはもう刺し身にしろと言っている……。」



 さすがにアプリチート様がいいと言っても、食道とかは遠慮しておこう。あと、幼児に食べさせる勇気はないので、生魚は大人のつまみに決めた。


 「晩ごはんできたよー!」


 『おう。今日はなんだ?』


 「ダイヤモンドフィッシュの甘酢あんかけに、ほうれん草のお浸しと、きのこの炊き込みご飯と玉子スープです。あとは生魚大丈夫な人は、お酒飲む人用に特別なおつまみがあります。」


 「生魚ですか?」


 「ダイヤモンドフィッシュは生でも美味しいらしいんだよ。私生魚大好きだから試そうかなって。」


 「……大丈夫なんでしょうか?」


 『ん?心配か?生はうまいぞ!』


 「アリスちゃんが間違えて食べたら怖いので、あとで出しますねー。それじゃいただきます!」


 あんかけの野菜は、パプリカやピーマンに玉ねぎを使っている。「ピーマン嫌!」ってならないことを願い、粗微塵切りにしてから水に晒ししっかり火を通した。きのこは炒めて旨味を出してから、炊飯器で出汁と一緒に炊いたので、お米一粒一粒に美味しさが吸い込んでくれているだろう。


 「おいちぃー!!!」


 最近はこの声がないと安心できない。

 


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