4. アプリを確認しよう
頭をさすりながら画面を確認する。
先ほどは気づかなかったが、ホーム画面はシンプルにアイコンをなくしていたのに、アプリが表示されている。ほかにも知らないアプリがあるが、とりあえず反応を示しているマッチングアプリを開いてみた。
――〈山田〉申し訳ございません。今週約束していました食事ですが、諸事情により中止でお願いします。
当分先が見えませんが落ち着き次第おって連絡します。
すみません。
実家で暮らす弊害というべきか、親からの結婚の催促と、まあ自分自身でもそろそろ動き出すべきかと重い腰をあげた。
人並みに結婚願望はあるが、友人と遊ぶほうが楽しく、また都会にいるとやりたいことも多かった。いつの間にかこんないい歳まで趣味を満喫し、のんびり独身人生を謳歌していた。
そんななか地元に戻り始めたマッチングアプリ。山田さんとは不思議と毎日連絡が続き、波長が合うというのか会ってみたいなと始めて思った相手だった。
少し残念に思ったが、この状態で自分自身も無理なことは重々承知していたので返信した。
――〈私〉ご連絡ありがとうございます。私も少し遠いところへ来てしまい帰るのが難しくなりましたので中止大丈夫です。
――〈山田〉そうなんですね。僕も遠いところへ来てしまい…いつ帰れるかどうか………異世界に来ちゃったようで笑
「えー!!!」
すごいタイムリーな冗談で笑ってしまった。現状を濁して返信したが、相手からも同じように来るとは思わなかった。 なんだか気が抜けて、くすくす笑いがこみ上げてきた。
「そっかー!私異世界転移したのか!」
やっと自分の状態を理解した。まだまだ頭は空回っていたのか、この状況にきちんと向き合うことが怖く避けていたのか、無意識下で思考を制限していたようだ。あの山脈は地球では見たことないほどでかいし、山脈の麓にこれほど何も無さすぎる平地が続くのも珍しい、こちらに来たときの状況もこれはもう昨今流行りの異世界だろうと。
――〈私〉私もなんです!笑 周り雪景色です(困
――〈山田〉僕は海原が見えます。海鮮を手に入れようと思います。
(北海道や東北でキャンプしてるって思ったかな)と考えながらも、電話は無理だったのに、不思議と使えるアプリでのやり取りは、人との繋がりを感じ安心感を得て、元気がでてきた。
――〈私〉私はまわりを探索しようと思います!またなにか発見があれば連絡しますね!
――〈山田〉僕も寝床を探してみます!
あちらはホテルを取っていなかったのか、急な出張だったのかと少しだけ心配だ。
なんだか気持ちが軽くなってきた。ただ探索するとは言ったものの、まだ車から出るのは怖い。車内にいるにしても、エンジンをかけ続けていたのでガソリン残量が頭を巡る。




