Y-11 異世界朝食
「おはようございます!」
「おいちゃーん、おきてー!」
「……ん?あ、おはよう。」
昨日は寝付くまでぐるぐると考え込んでいたので、少し寝不足のようだ。朝食を食べたらすぐ商品登録に行くのでぱっぱと動こう。
「朝ごはんはどんなのか楽しみだな。」
「この辺はどこも同じだぞ。」
「そうそう。まあここの穀物の粥は豆も入って食べ応えはあるよ。」
帝国でも場所によれば毎食パンではなく、朝は粥が多いそうだ。
「あいよ。今日のは最近輸入できた穀物入りだよ。」
「あ、どうも。よし、いただきます。」
「ん?あんた聖女信仰かい?」
「いや、なんで?」
「いただきますっていう奴は、絵本読んでもらったばっかの子供か、聖女信仰の奴くらいだからね。」
「あ、いや俺らは帝国から来たからさ!」
「そうなのかい?まあ、面倒くさいことしなければなんでもいいよ。」
素っ気なく食堂のおばちゃんは戻っていったが、オリバーに庇われてなんだか助かった。面倒くさい奴と思われても困る。ついつい出てしまう癖は隠したほうがよさそうだ。
「聖女信仰ってなんだ?」
「聖女を祀る団体でな。聖王国で起きた宗派なんだが、神と聖女を同一視してるんだよ。神が聖女を遣わしてくださるのにな。不思議なもんだ。」
「近年、聖王国ではこの宗派がかなり力を持っているらしく、ほぼ王宮を牛耳っているとか噂されています。なかなか過激な宗派らしくて、ここは国境が近いのでピリピリしているのかもですね。」
「帝国では、修道院や公式行事とかでは使うからあまり気にしなくていいと思うわよ。商人とか貴族は特にね。」
「おれらもこじいんでは言うぞー!」
「だよねー!」
「ねー!いただきますっ!」
また後でオリバーに、国によっての慣習や伝統の違いも詳しく聞いておこう。
「ん?これ米じゃん。」
「山田さん、知ってるんですか?最近アンタレス島から輸入が始まったんですよー。」
「長粒米だからうちの国とはちょっと違うけど、これはスープとか炒めものに向いてるんだよな。てか、このスープ旨いな!」
「ここは当たりだろー!」
「俺達は宿は絶対清潔で旨いところって決めてるんだぜ。」
「休まらないもんねー。」
「この米以外にも何種類か入ってきているようなのであとで市場寄りますか?」
「お!いいの?ちょっと買い物してみたかったんだよ。よろしく頼むわ。」
白銀の風のマイクとレオが荷物持ちと護衛として付き添ってくれた。ほかのメンバーは子供たちが邪魔にならないよう、荷馬車と馬を連れて門の外で待っていてくれるので、急ぎ買い出しと登録を終わらせよう。
「ここが商業ギルドです。」
「へー綺麗な建物だな。」
白っぽい石の建物で他より目立っている。出入りする人もお金持ちの様相が多い。しかし、まばらに平民だろうか市場にいるような恰好もいるので、門戸を広く開放しているようだ。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「商品登録と買取をお願いします。」
「では、こちら二番の札をお持ちになって、ドアに赤いプレートがある部屋へお入りください。」
ここまでは、昨夜確認した通りだ。日用品など少額のものは窓口での対応だが、商品登録の際は孤児だろうが誰であっても個室に通されるそうだ。
「本日はどのようなものの登録をお考えですか?」
「こちらのバッグをお願いしたいです。」
「では、バッグ関連をお調べしますので少々お待ち下さい。」
商品登録されたものは、概要が世界中の商業ギルドに転送され、各ギルドごとにファイリングされてるそうだ。バッグ関係だけでも大人の親指から小指までの厚さがあった。
「形状の項目にもデザイン欄としても載っていなようです。登録手続をすすめて宜しいでしょうか?」
「はい、お願いします。」
登録の話し合いはかなりスムーズに進み、形状項目にあるもので似た内容を確認し使用料など決めていく。しかし、ここで驚く事実に気づく。昨夜オリバーに見せてもらっていた地図の文字は読めたのにここでは全くわからない。表情に出さないよう気をつけ、二重チェックを装いオリバーに読んでもらう。今夜にでも色々と検証が必要だろう。




