21. おやつは至高
通信は終わり、子供達はお昼寝タイムに突入した。今日は泣いたり喜んだりと忙しい子供達のために、ケーキを作ってあげようと思う。アルフォンス君に片付けなど手伝ってもらいながら詳細を聞く。
「明日一日準備や移動方法など試し、早くて明後日には出発しましょう。予測としまして1週間から10日ほどかかるとしています。やはり子供達が同行しますので、万全を期した計画を立てたいと思っています。」
「結構かかりますねー。あ、これも洗ってくれる?」
「はい。……高位冒険者の脚力で3日から4日かかるようです。ですが、これも過去何百年前かの伝承らしく、私自身雪上を歩くことに慣れていないので、長引くことを念頭に置いてます。救助隊は早めに到着し、私たちを待てるよう、拠点を築き長期に渡り対応できるようにするとのことです。」
「そうなんだー。あ、スノーシュー買ってあるから、明日試そうか!結構今夜も降りそうだしねー。」
あとは焼きあがるのを待つだけだが、子供達が起きてしまいそうな、美味しい匂いが家中に充満している。紅茶も用意して、お皿もとっておきを出そう。優雅なティータイムを想像していると、窓が勝手に開き大型犬が入ってきた。
「……えーっ!!!」
『いい匂いがしたのでな。邪魔するぞ。』
「レグルス様でしたか……。」
私の叫び声で驚いたのか、甘い匂いに釣られたのか、子供達も起きてきた。急遽お皿を増やし、盛り付けを始めると全員の目がケーキにくぎ付けだ。今日のおやつは、りんごのアップサイドダウンケーキ~バニラアイスを添えて~。
「おいちーーーーーーーー!」
「すごくおいしいですっ!このつめたいのはなんですか?」
「きゃんきゃん!」
「アイスクリームって言うんだよー。ミルクを凍らせながら作るんだけど、温かいケーキに冷たいアイスの組み合わせが最高なんだよね。」
『うむ。美味である。もうないのか?』
アルフォンス君とロバート君は年の離れた兄弟のように、似たように目を細め、ゆっくりと少しずつ味わうように食べている。アリスちゃんとスピカは競うようにもぐもぐと口いっぱいだ。フェンリルはすっかり食べ終わっており、おかわりを催促された。実は、森には狼など肉食動物もしっかりとおり、湖付近の殺生禁止がなければ襲われてもおかしくなかったことを昼間知った。感謝を込めて残りのケーキはすべて献上しよう。
「どうぞ。まだいるようでしたら時間をいただけたら作れますよ。」
『おう。今日はこれでよい。美味なるものは暴食すべきでないからな。』
「あ、私たち明後日には出発するので、明日くらいしか作れないかもです。」
『そうか、森を抜けるのだったか。まあ我は転移で行くのでどこにいても構わん。』
[今日は]の言葉に引っかかっていたら、やはり日は関係なくお望みのようだ。これは今日と明日で大量にストックしておくべきだなと、腹をくくった。なんだか凄い存在であるし、神様に奉納するように努めようと思う。足りなくなったらネット通販でこっそり購入しよう。有名店であれば素人の手作りより喜ばれるだろう。
「レグルスさま、ダイヤモンドフィッシュはせいなるいずみに生きると本でありました。あのみずうみはせいすいなんですか?」
『ああ。聖水と言えような。地下水脈で白龍の住家と繋がっておるし、息吹も溶け込んでおる。ここらは聖なる気に満ちて気持ちよかろう。』
「……だから、パニックにならず心が落ち着ていられるのですね。」
「聖なる気があるとパニックにならないんですか?」
「はい。神聖な場所は、負の感情や魔を寄せ付けません。一説には聖なる気がそういったものを浄化しているとも言われています。」




