15. 袖振り合うも他生の縁
「ロバート君、アリスちゃん起きるぞ―!おやつ食べよー!」
寝惚けまなこでぼうっとしているが、二人ともぐずることもなく起きてくれた。顔を洗いに連れていくと、アリスちゃんは「まゆたん、ゆき、あちょぶ」と繰り返していたが、先におやつを食べようと言うとテーブルへと爆走した。アルフォンス君は昨夜寝ずにいたそうで、話をしたあと客室を整え仮眠してもらっている。
「おいちぃーーー」
「おいしいです!このくだものはなんていうんですか?」
「これはバナナっていうんだよー。栄養いっぱいなんだよ。」
幼児へのおやつの定番バナナ。あとはヨーグルトとビスケットを添えた。そのあと、雪うさぎをウッドデッキに並べたり、絵本を読んだり、おもちゃではしゃぎ、今日は早めにお風呂タイムだ。
「あれ、起きたんだ!もう少ししたら晩ごはんだから、先にお風呂どうぞー!」
脱衣所から出ると、ちょうどアルフォンス君が部屋から出てきた。ロバート君が率先してアルフォンス君にお風呂の説明をしている。
今日の晩ご飯は夜だけどお子様ランチの予定だ。二人がアニメを見てる間に頑張ろう。チキンライス分の肉を切るとき唐揚げ用に少し分けておき、玉ねぎと人参も多めに切って冷凍コーンと一緒にコンソメで煮込む。フライパンでミニから揚げとポテトを揚げ焼きにして、オムライス、レタスとミニトマト、小さいゼリーを乗せピックで飾れば完成だ。キャラ弁にはまった際に、百均でいろいろ揃えてあるのだ。ミニマムサイズは作るのも見るのも本当に楽しい。
大人はがっつりサイズにしたが、アルフォンス君は足りるだろうか。ロバート君が呼びに行ってくれて、全員揃って「いただきます」。
「先ほど、本国より通達がありました。」
お腹もふくれ、もうそろそろアリスちゃんも撃沈かなという時、アルフォンス君から話があった。
「まず、ロバート様のご家族とも連絡がとれ、我が国と連携し事に当たることとなりました。明日、帝国へと合流される予定なので、昼には私の通信機より侯爵様とお話できますよ。」
「ほんとうですか!……ゃった!」
「現在地はやはりフォーマルハウト山脈の麓であると推定されます。この平地の南西は断崖絶壁であり、南は川を挟んで魔獣の森になります。移動できても他国になりますので、安全性からもこの森を東へ抜けて帝国へ渡ることになりました。森から外へ抜ける境界問題はまだ調査中ですが、聖獣様と謁見が可能とのことで日数は掛かりますが、解決の目処はあるそうです。
森林内を移動する際の基盤はまゆ様頼りになりますが、この雪の降る間に決行したいです。ご協力願えますでしょうか?」
「もちろん!ロバート君達を早くご両親に会わせたいし、私も一人ここにいるのは怖いので一緒に行きたいです。」
「ありがとうございます。では、今日はもう遅いので、本国とも話しながら明日詳しく計画を立てましょう。」
ロバート君は明日お父さんと話せることがわかってニコニコでテンションが急上昇しているが、アリスちゃんがもう涎を垂らして夢の中だ。二人を布団へ連れて行き、ロバート君が寝付けるまで少しお話をする。
「ちちうえとおはなしできるのたのしみです。アリスはなかなかったとおしえてあげないと……」
「ロバート君もアリスちゃんを守って泣かずに頑張ってたから、それも教えてあげないとだね。」
「はぃ……。ふぁ……ぼくもいいこでがん…ばったょっていわなぃと……」
「そうだね。明日は早起きしようね。おやすみ。」




