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Y-6 異世界遭遇


 翌朝、ゆらゆらと体が動き目が覚めた。


 「おいちゃん、はらへった。」


 寝落ちした皆に釣られて、敷き詰めた布団の端で自分も寝ていたようだ。何人かまだ夢の中のようだが、目の前のロンからは腹の虫が聞こえる。


 「おぅ……よし、ごはん作るか!……って痛てー。」


 起き上がれないほどの全身筋肉痛だ。初日のダッシュ分か、昨日の徒歩分かで加齢のショック度合いは変わるが、どちらにしろ日頃の不摂生を実感する。


 「おっさん何してんの?」


 「体痛くて起き上がれないから、少しストレッチをね……」


 「おいちゃん、ダニーがおねしょしてる。」

 「ぅー。ごめちゃい。」 


 「おー。まあちっさいもんなー。誰かシャワーしてあげれるか?俺動けないんだわ。」


 ストレッチでなんとか立ち上がることはできたが、今日の移動は無理だと、節々が悲鳴をあげている。濡れた布団はとりあえずアプリで収納し、替えの服と一応オムツも購入しておく。朝は簡単にウインナーとゆで卵、パンと牛乳で許してもらおう。


 「申し訳ないけど今日は移動無理っぽい。」


 「へんなあるきかた!」

 「へっぴりごしって言うんだよー。」

 「まこっちゃん、しょうがないからゆるしてやるぜ!」

 「おれ、まこっちゃんにかてそう!」


 無事な布団は端に寄せてもらい、お詫びにと大量におもちゃや室内遊具を出した。ソファに寝ころび、スマホ内の荷物を確認する。子供たちのパジャマや、下着に服も替えがいるだろうし、まともな靴を履いていなかったので、順番に足のサイズを測っておく。ファッションはわからないが、アウトドアショップの子供用を、モデルが着ているままに買っておけばいいだろう。


 明日からの移動に、人数もだが年少の子や自分自身の体力も不安になってきた。車は注釈に乗員の安全保障や攻撃無効などがあるので安心なのだが、五人乗りなので窮屈になるだろう。ちなみに、住宅も半径百メートルは安全なようだ。


 「まこっちゃん腹減ったー!」


 「え、もう昼か!……今日はもう動きたくない!散財しよう!」


 ネット以外にも実店舗での利用も反映されることは確認していたので、地元の町中華を爆買いする。


 「うわー!すげー!」

 「いいにおい……じゅるっ」

 「これ何ー?」


 「ラーメンに、チャーハン、餃子と天津飯っていうんだが、まあ適当に食べてくれー。」


 「いえーい!」

 「これめっちゃうま!」

 「こら!サン!独り占めすんな!」


 喧嘩しながらもきれいに完食し、少し遊んでいたらいつの間にか、アレックスとキャロ以外はラグの上で熟睡してしまった。動けない自分に代わり、タオルケットを二人が掛けてくれる。


 「二人は眠くないのか?」


 「うん。なんか本はないー?」


 「おう、子供向けはないな。でも日本語読めるのか?」


 「にほんご?そこの紙のもじは少しよめるぞ!」


 郵便物の一部文字が読めるそうなので、子供向け絵本などまとめ買いする。


 貯金はあるが、結構使ってしまった。旅をするにしても金策を考える必要があるだろう。異世界の定番の塩を売るべきだろうか。悩んでいたらうとうとしていたようだ。子供たちのはしゃぐ声ではっと起きた。


 「あ、まこっちゃん起きたー!」

 「なあなあ外出てもいいかー?」


 「あぁ。百メートル以内だと安全だから、あんまり離れるなよー。あ、窓から見えるところまでな!あと川も危ないからなしだぞ!」


 「やったぜー!」

 「ぼくもいく。」


 アレックスが付き添って行ったが、双子はともかくロンはまだ未就学児だ。やはり心配なのでベランダの椅子から見守ることにする。手すりは強化ガラスで、薄く縞々柄はあるがよく見える。


 他のちびっ子たちは外には行かないが、ベランダは気になるらしく、ついて来た。



 「うわ!すげー!」

 「おい!あぶないからもどるぞ!」


 双子を諫めるアレックスの声が玄関の方向から聞こえ、遠くからはなにか叫び声や争う声が聞こえる。

 

 「おい!そこのガキども逃げろ!」


 傷みなど忘れて、ベランダの柵を乗り越える。玄関側へまわる途中遠くで、背中に岩が生えた熊らしきものと、見るからに野盗の格好が5人、冒険者の格好が4人の、三つ巴が見えた。



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