Y-3 異世界邂逅
山田視点
カーテンの隙間から朝日を感じ目が覚めた。
ぐぅ〜〜
そういえば、アイスだけで夜ご飯を食べていない。
チートアプリで牛まぜのっけ朝食を購入する。週に2回は近所の店で愛食しているメニューだ。今日はご飯が足りないので、ストックしているパックご飯をレンチンしておかわりした。
しっかり寝てしっかり食べたからか、やる気が出てきた。
「外を見てみるか……。」
昨日の格好は不意の衝撃に強かったので今日も同じスタイルだ。
「きれいな川だなー。」
昨日行き着いた川は、幅も広く渡るのは難しそうだ。川と文明はセットのはずなので、ここは上流を目指し、川の近辺を探ろう。
「移動はやはり徒歩かな。」
バイクと悩んだが、オフロードではないし、なにかあればすぐ家を出し逃げ込めるようにしておきたい。できれば今日一日は移動に費やしたいので、お昼用のおにぎりとお茶をワンショルダータイプのバックパックに入れ、斧は手で持つことにした。
移動を始めて、日頃の運動不足と昨日の馬鹿力の反動を感じる。気を抜くと膝が笑いそうになるところを踏ん張る。魔物がでる可能性を考え、周囲を意識しながらの歩みも慣れず、疲労が倍増するように思う。
何度も休憩を挟みながら震える足を動かし続けた。陽の傾きをかんじ、もうそろそろ区切りをつけようと立ち止まる。
一瞬前方に光の線が見え、川沿いに荷馬車のような物が現れた。車軸が折れているのか横転し、かなり破損しているようだ。
いきなりの展開にこの異世界は転移が普通なのだろうかと訝しむ。
「おーい。誰かいますー?」
馬で動かすのかはわからないが、幌をかぶった荷台の部分だけがあり、他に人や動物はいないようだ。
「…………人の気配とかわからん。」
今後の異世界生活のポテンシャルを案じながら、幌に近づき中を覗く。
「ひぃっ……。」
「ひぃー!!!」
声に驚きに、自身も悲鳴がでた。中からたくさんの目がこちらを見ていた。
よく見ると子供ばかりで、端に身を寄せ合い怯えているようだ。
「あー。ケガとかしてないかな?」
…………。
怖がられている。
結構子供に好かれるタイプと思っていたが、兄の子供達で身内だったからなのだろうか。
「……ぉまえ!なんだ!悪魔か!?」
一人の子供が皆を庇うように前へ出て叫んだ。
「ぇ……いや、人間なんだけど……?」
「お前みたいな人間いるわけないだろ!」
「えーーー。そんなこと言われても……」
あ、フルフェイスのヘルメット被っていたんだった。
「ごめんごめん。これ被り物なんだよ。」
ヘルメットを外すとなぜか皆驚いていた。少し怯えが消えたようで、端に固まっていたちびっ子達が近づいてきた。
「おいちゃん、聖女なの?」