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銭と神具は使いよう 〜 元WEB屋は魔法陣を解析して異世界を知る 〜  作者: 冬寂
魔道具はビジネスの世界への入り口でもある

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情報共有についての話し合い

友人にも話せない秘密を抱えて生きる、てのはなかなかしんどいものです。

 ジョヴァンナ・ロドリーゴが揃っているので、フレデリカを交えて目下の懸案について相談する。


 最近のジャンフランコにとっての日常生活上の最大の悩みである、学友やその保護者などとの間の情報格差をどの程度まで解消すべきか、要は情報開示の範囲についての再整理だ。顔を合わせる時間が長いのに、一々話してもよいか悪いか悩まなくてはいけないのは精神衛生上よろしくない。


「まずは、僕の天恵(スキル)についてですけれど、魔法や戦技を杖や剣の天恵(スキル)持ちと違うやり方で発動してることは薄々は感づかれているみたいだし、【魔法陣】として把握できてることは共有しても問題ないと思うんです」

 その延長で

「魔法・戦技・魔道具に実は【魔法陣】という共通点があることは、彼らにとっては初めて知る事実なので拒否感があるかもしれません。それでも、だからこそ、【魔法陣】として把握したら魔法・戦技の発動ができることの説明にもなります」

 ここまで特に反対なし。


「【魔導書】・【秘伝書】も【魔法陣】に翻訳できるから魔法や戦技を天恵(スキル)を使って【魔法陣】経由で発動できている、というのは今更ですよね。ついでに魔道具を再現できることも見せちゃいましょう」

 問題はここから。

「【魔法陣】読めるし、なんとなれば書き換えられる、というのはどうでしょうね。ここまで説明した事実から類推できそうではありますが」

「そうですね。ジャンフランコとしては、魔道具の修理や製作に手を伸ばしていきたいんですよね」

「はい。既にロンギ商会は巻き込んじゃいましたから、学友の皆にも同じところまでは協力してもらえた方が何かとやりやすいと思いまして」

 何より、【隔絶された時空】を再現するのなら、そろそろジャンフランコ一人では手に負えなそうになりつつある。

「あとは、シュナウツァー工房も同レベルで巻き込んでおきたいです」

「【守秘の】魔法で契約するのが条件になるけれど、あそこはもう身内も同然だからよいのではないかしら」

『身内同然とはどういうことだろう?』

「あそこは既にジョヴァンナの基金(ファンド)からの出資だけで動いているんだよ。ある意味、シュナウツァー商会は基金(ファンド)を通じて当家の所有になってるんだ」

「乗っ取っちゃった、ということでしょうか?」

「あら、人聞きの悪い。そうね。パトロンに付いた、と言えばよいかしら。黙っていても確実に利を生んでくれる商会だし、ジャンフランコが魔道具を使った事業をやりたいなら、隠れ蓑にすることも可能よ」

「経営は現状のまま任せておいても問題ないし、小規模とは言えそれなりに実績のある老舗だからね。いろいろと使い勝手の良さそうな商会だよ」

「分かりました。ありがとうございます」


『さて、情報共有の話に戻ろうか』

「話は戻りますが、神々を勧請(かんじょう)して約定すれば魔法が使える件はどうしましょうか」

「それは絶対にダメ。『神々』の時点でソフィア教会と真っ向から対立するからね。【魔法陣】が理解できるのは天恵(スキル)で押し切ること。その先、魔法発動の裏に神々がいる件は、気づいてない振りを押し通しなさい」

 禁書の範囲に踏み込まないように気をつけること、と付け加えられて、その日の話し合いは終了だ。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 翌日、メディギーニ商会でシュナウツァー商会長が待っていた。

 早速ローレ教室を交渉のために訪れてくれたようで、その時の様子についても教えてくれる。ローレ先生は遺跡探索で自身含め複数の負傷者を出したことに意気消沈してしまっていたらしい。


 また、探索が失敗したことで教室の運営資金についても不足気味らしく、シュナウツァー商会から魔道具の買い取りオファーをしたら一も二もなく飛びついたらしい。

「込み込み小金貨一枚で交渉がまとまったぜ」魔道具の価値を知らん奴め、とシュナウツァー商会長はニヤニヤしながら話す。


 また、今回の遺跡探索で複数の魔道具を入手したけれど、用途など分析する余裕はないようで、今のところ全部綺麗なままらしい。


「そっちは込み込み大金貨一枚でオファー中だ。まあ、呑むだろうね」とシュナウツァー。貴族や商家に売るにしても鑑定やら何やら必要で、今のローレ教室にはその余裕も無さそうだと見ているとのこと。


「墓場」から引き取った魔道具については、ひとまず梱包してもらってメディギーニ商会で受け渡すことを取り決める。その後、インクの魔道具を置いた小部屋にシュナウツァー商会長を誘って、【守秘】の魔法の契約を結ぶ。


 前夜、両親と整理したとおり、自身の天恵(スキル)を中心に情報の開示をする。分かりやすいデモンストレーションとして、インクの疑似(quasi)魔道具を出してインクを生み出して見せたところ、特に驚きもなく受け入れられてしまった。「はん、そんなこったろうと思っていたぜ」とは、その時のセリフだ。


「できれば俺のコレクションに何をする魔道具があるのか時間のある時に教えてくれ」

 了承すると、更に

「うちの墓場で拾った魔道具で、直せそうな奴は出来たら直しといてくんねぇか。うちで買い取って外装直してから販売したいからな」

「構いませんよ。というか、是非。よろしければ外装を修理する様子も見学させて下さい」

「応よ。そう言えば魔道具修理の修行はどうするね。お前さん天恵(スキル)で何とかできるならもう要らないだろ?」

 これにはフレデリカが自分一人だけでも続けさせていただけるようお願いしたい、と返す。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 部屋がノックされ、学友たちの準備ができたことを告げられる。

 案内してくれた商会員にシュナウツァー商会長の見送りを任せると、フレデリカを伴って勉強部屋に向かう。


 学友たちの前で神測(デジタイズ)について説明すると、返ってきた反応は「ズルい」の一言であった。

 ジャンフランコとしては苦笑するしかないのだが、今現在、まさしく【魔導書】や【秘伝書】を必死で読み込んで魔法や戦技を覚えようとしている彼らからすると、見ただけで理解し魔法や最近では戦技まで使えるようになったジャンフランコの天恵(スキル)は羨ましい限りなのだ。


 ただし、「ズルい」の連呼は、ジャンフランコが一枚の【魔法陣】を取り出したのと同時に停止した。


「アンドレアとアレックスは【木】属性と【水】属性を持っていたよね」どちらでもいいから、この【魔法陣】に【木】属性と【水】属性の魔力を流してみてもらいたいんだ」


 一番「ズルい」を連呼していたアレックスがひったくるように【魔法陣】を手に取ると、魔力を流す。即座に彼女の身体が薄い緑と青の光で包まれる。


「これって…【身体強化】かしら」

「そう。魔道具と違って誰でも使えるってわけにはいかないのと、強化具合と魔力のコントロールは自分でやらないといけないけれどね。その代わり、【魔法陣】さえ持ち歩けば杖の天恵もち(魔法使い)でも【身体強化】が使えるんだ」

 これが僕か天恵(スキル)を使ってやってることなんだけど、と付け加える。


「それで、何でこんな事が出来るか、て説明には興味はないかな?」


 反応したのは、学友達の後ろに控える保護者達だ。


「今のお話だと、【魔法陣】に魔力を流せれば戦技を発動できる。それを魔力を持たない平民含め、誰でも使えるようにしたものが魔道具、ということになりますね」

「そのとおりです、シビエロさん。ついでに言うと、それの魔法版もありますよ」【認識阻害】の魔道具や【追跡防止】の魔道具を例に挙げる。


「つまりは、【魔法陣】さえあれば魔法や戦技は発動できる。それを【神具】に覚えさせて発動できるのが【杖】や【剣】の天恵(スキル)もちで、誰でも発動できるように魔石と組み合わさっているのが魔道具。基本原理に違いはない、ということだな」

 メディギーニがまとめてくれる。


 ジャンフランコは頷くと、「流石に母様が得意にしてるような大規模な魔法を魔道具にするのは非現実的ですがね」と付け加える。

 大量の魔石と複雑に積層させた【魔法陣】が必要になりそうで、ちょっとした砦くらいのサイズは必要そうだ。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「以上が、このところ僕が秘密裏にいろいろ調べてて分かったことです。僕の【神具】のことも含め、母様から許可が下りたので皆様にもお知らせしました」

 今まで黙っていてゴメンナサイ、と頭を下げる。


「それで、差し当たっては魔道具関係で色々と動きがあるし、皆にも協力お願いすることが増えてくる、と思います」


 ジャンフランコはそう言って情報共有を締め括った。

これで、学友とつるんで色々と悪いことができるようになりました。


今回の新要素:特になし


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初めての作品投稿です。


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