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銭と神具は使いよう 〜 元WEB屋は魔法陣を解析して異世界を知る 〜  作者: 冬寂
魔道具はビジネスの世界への入り口でもある

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属性を増やそう!(全属性になろう!)

ラーマデーヴァ(看破の神 )の加護を得て、二人ともまた変貌しちゃいました。

 夕食の席に現れたジャンフランコとフレデリカの姿を見て、ジョヴァンナとロドリーゴは目を(みは)った。


 先にグヒヤデーヴィー(秘事の女神)の加護を受けた時の二人の変貌が記憶に新しい。あの時は二人そろって【闇】の祝福を受けたような髪の色・瞳の色に変わっていたのが、今日はその中に白銀の光が溶け込むように変わっているのだ。


 もちろん、神の加護を受けたのかなどと、侍女たちの耳目がある夕食の席で詰問できる内容でもなく、その場はひとまず当たり障りのない話題に終始した。


「ローレ教室に伺ったところ、先生の方から日時の指定があったにも関わらず、ご不在だったのですよ。聞けば週末を通して遺跡に籠っており、今日の講義もすっぽかされたとか」

「あの御仁も相変わらずだね。それで、そのまま帰って来たのかね」

「先生の秘書のような上級生から昼食の席にとお誘いを受けました。ただ、お互いに得るものがあったかと言うと疑問ですね。私としては、敷地に廃棄するように積み上げられた魔道具の数々が気になるところですが」

「あら、貴方またゴミを引き取るつもりなのですか」

「ゴミではありません。【魔法陣】にはほとんど傷がないため外装を整えればすぐに使えそうな魔道具ばかりでした。あの教室はダメですね。魔道具を発掘する方にばかり力が入っていて、魔道具そのものの研究は素人に毛が生えた程度でした」

 専門課程に進むにしても、あの教室は選びません、と宣言する。

「ちょうどシュナウツァー商会の商会長とお話しする時間があり、酷い扱いを受ける魔道具を救い出す方法について相談しています」

「メディギーニ商会に迷惑をかけないように。シュナウツァー商会ならば信用が置けるから、貴方の工房に直接運び込んでもらいなさい」


 ローレ先生から誘いがあったことも話す。

「それで、週末遺跡探索に同行するように求められましたが遠回しにお断りしています」

「遠回しに、とは?」

「保護者の了解があれば、とお答えしています。僕は一年生です。危険な遺跡探索について母様からお許しがあるわけがないではありませんか」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 他愛もない会話を続けている間に夕食も終わり、一同はジョヴァンナの執務室(オフィス)に入る。


「さて、君たち二人の瞳と髪について説明をしてもらえるかな?」

「実は、いろいろとありましてグヒヤデーヴィー(秘事の女神)様のほかにラーマデーヴァ(看破の神 )様のご加護も得るに至ったのですよ」

  男性がグヒヤデーヴィー(秘事の女神)の使徒であり続けると不都合があることについて、ラーマデーヴァ(看破の神 )が説明した内容を話すとロドリーゴの顔色が青くなる。

「それはまた...別の神の加護も受けておいて正解だね」 

「あの駄女神!うちの跡取りに何てことを企てたのかしら!」ジョヴァンナは怒り心頭である。


「その際に、二人とも【看破】・【解呪】・【治癒】の魔法に関して、それぞれの神と約定を結ぶことが出来ました。僕は【神具】を通して魔法を発動したときの効果が上がりました」

「わたくしの場合は、【魔法陣】に自分の魔力を流せば魔法を発動できるようになりました」

 フレデリカが補足すると、ロドリーゴが訝し気に問いかける。

「フレデリカの属性は【土】と【金】だったはずだが…いつの間に【光】の属性を得たのだ?」

「言われてみれば…【光】属性の神々三柱と約定を結ぶことで、【光】属性の魔力を流せるようになったようです」


 フレデリカの答えを聞いて、ロドリーゴが考え込む。

「ということは、私も【光】属性の神を勧請(かんじょう)して約定を結べば【光】の属性を得られるのかね」

「言われるまで気づきませんでしたが、確かに仰る通りですね。試してみる価値はありそうです」


  ラーマデーヴァ(看破の神 )の仲立ちがあった先ほどとは違い、まったく【光】属性の魔法を扱ったことのないロドリーゴには、もっとも初歩的な【治癒】魔法から始めることを勧める。

 

 ジャンフランコが初歩的な【治癒】魔法の【魔法陣】から、【治癒】の神を勧請(かんじょう)する部分の【魔法陣】を抜き出して羊皮紙に写し、フレデリカに魔力を流してもらう。


 白く輝く魔力のモヤモヤが【魔法陣】から顕れ、フレデリカの【神具】が触れると先ほどに引き続いて【治癒】の神が顕現(けんげん)する。

 ジャンフランコが事情を説明し、ロドリーゴと約定を結ぶようお願いすると、快諾をもらえる。

「懐かしいのぉ。太古の昔、人はこうやって我らの権能(けんのう)勧請(かんじょう)する術を得ていたものだ」

「では、其方の右手を【魔法陣】に触れたままとしておきなさい」

【治癒】の神がロドリーゴの手に触れ、ロドリーゴ越しに【魔法陣】に魔力を流す。

 短い間、【魔法陣】から【光】の属性の魔力がロドリーゴに向かって逆流する間に【魔法陣】そのものが書き換えられ、ロドリーゴとの間に約定が成立する。


【治癒】の神には顕現(けんげん)したままお待ちいただき、その間にジャンフランコが(魔道具から入手した)奥義に近い方の【治癒】の【魔法陣】を準備し、羊皮紙に写したものを二枚用意する。


 まずはロドリーゴ、次いでジョヴァンナの順に【魔法陣】に自身の魔力を流す。

「私が【光】属性の【魔法陣】を発動できるなんて」感動に打ち震えるロドリーゴを横目に治癒の神が【魔法陣】に魔力を流し、【魔法陣】が書き換えられて【魔法陣】から魔力が返ってくると約定成立の合図だ。


 ジョヴァンナも同じように約定を結ぶ、【魔法陣】が羊皮紙の上に残らず彼女の【神具】に吸い込まれたのは、彼女が「杖」の【神具】を持つからである。


「杖の【神具】持ちの場合はそうなのか」と呟くロドリーゴに、「母様は新たな【治癒】の魔法を覚えられたはずです。約定つきだから、すごく効果が高いはずです」

 父様は【魔法陣】の紙を持ち歩いて必要な時に魔力を流してください、フレデリカと同じです、と言うと、「フレデリカと同じように私も【闇】属性が得られるのではないか?」と暗に同じことを【闇】属性でもやるように要求される。


 ジャンフランコとしては、今はグヒヤデーヴィー(秘事の女神)と顔を合わせたくない。あんなに恨みがましくラーマデーヴァ(看破の神 )との約定をしないよう求められたのを押し切ったわけだから。


【隠ぺい】の魔法から、神を勧請(かんじょう)するための【魔法陣】を抜き出す。顕現(けんげん)するのは グヒヤデーヴィー(秘事の女神)だ。

 【魔法陣】を描いた羊皮紙をフレデリカに渡して勧請(かんじょう)を頼むと、ジャンフランコは部屋を出る。なぜかジョヴァンナが一緒に部屋を出るが、そういえば彼女もグヒヤデーヴィー(秘事の女神)には義理を欠いて顔を合わせづらいのだっけか。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ロドリーゴが「終わったぞ」と言いながらジャンフランコとジョヴァンナを呼びに出て来る。


 執務室(オフィス)に戻ると、ロドリーゴが自分の【神具】文書(the book)を呼び出す。従来の五色に加え【光】・【闇】の二色が増えている。「見ろ!神具が七色に変わったぞ。私は全属性になったのだ…」ロドリーゴは肘を曲げたり伸ばしたりして、神具の向きをくるくると変えて七色に輝くのを楽しむ。


 今更ですが、と前置きしてジャンフランコが水を差す。

「父様の【神具】、これで人前では見せられなくなりましたね」

 理解できない顔のロドリーゴに

「【光】と【闇】の属性が加わったことはどのようにご説明されるおつもりですか?ロドリーゴ様?」とジョヴァンナが釘を刺すと、ようやく気付いたロドリーゴはガックリと項垂れる。


 その後はジャンフランコが初歩的な【火】属性・【(かね)】属性の【魔法陣】を羊皮紙に写し、ジョヴァンナの足りない属性を補えるようにする。


 ジョヴァンナ自身は自身の【神具】が七色になったのを眺めてご満悦である。


 この後は放っておいても【魔導書】を読み耽り自分で高位の攻撃魔法を覚えていくのだろう。

ロドリーゴが全属性になるメリットって思いつかないんですけどね。


今回の新要素:


・ ロドリーゴとジョヴァンナが全属性に。

・ 属性を増やす方法: 何とかして神々を勧請(かんじょう)して直接約定を結ぶ

  (最初は基礎的な魔法がオススメ)


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