【魔導書】と【魔法陣】の関係、のち、インク騒動その二
魔法と魔法陣の関係、どんどん明らかになっていきます。
※ 手に呼び出した魔道具由来の魔法陣のことを「【疑似】魔道具」と表記することにしました。
ジャンフランコがノソノソと起き出していくと、朝食のテーブルには既にジョヴァンナ・フレデリカのほか、シビエロ侯爵・フィオリオ子爵・メディギーニ男爵がそれぞれ息子・娘を伴って着席していた。深夜に及ぶ特訓でジャンフランコが寝不足気味なのに対し、訓練に付き合ってくれたフィオリオ子爵はその影響を少しも感じさせない。
朝食の話題は昨日ジャンフランコが必死に読み込んだ【魔導書】について。
「シビエロとフィオリオにお願いしたいのだけれど、この後、【魔導書】の各ページがどの魔法と紐づいてるかジャンフランコに教えてやって欲しいの。この子ときたら、別々に覚えるものだから繋がりが分からないらしくて」
『スパルタ式で別々に覚えさせたのは貴方でしょう?』とは思ってももちろん口にしない。
二人が了承したのを確認した後、ジョヴァンナはカトラリーを置いて帰宅の途についた。昨日の騒ぎに付き合った挙げ句にジャンフランコが深夜まで訓練していたことから予定外の外泊となってしまったが、この後邸まで戻って昨夜予定していた調べ物に取り組むらしい。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
午前中は学友たちもいないため、地下を借り切ってシビエロ・フィオリオの二人から【魔導書】と魔法との関係を教えてもらう。
昨日ジャンフランコか読み込んだ【魔導書】は特別なものではなく、魔法使い向けの教科書のような位置づけの書物であるため、メディギーニ商会にも同じものが備えられている。
二人の成人魔法使いが交代で【魔導書】を広げて示しながら魔法を発動すると、ジャンフランコの神測が予め読み込んでいる【魔導書】の各ページと目の前で展開する魔法(の【魔法陣】)と紐付けを行う。一つ一つは単純な作業だったが、それを魔導書のページ数だけ行うのだ。シビエロ・フィオリオそれぞれ適性をもつ魔法が異なるため、互いに補い合いながら作業を進める。
中にはジャンフランコが初見の魔法があって、改めて【魔法陣】を記録する作業が挟まったりと予想外に手間のかかる作業となり、ほぼ午前中すべてを使って二百ページ近くあった【魔導書】と魔法由来の【魔法陣】との紐付け作業は終了した。もちろん、これだけの数の魔法を撃つのである。熟練の杖の天恵持ち二人とは言え魔力回復薬をガブ飲みしながらの荒行である。
「シビエロ候爵」
「若様、ここでは爵位呼びはやめましょうか。所詮領地を追われた亡命貴族の身ですし、『シビエロ』で十分ですよ」
「私も『フィオリオ』で十分です。もう商会長の装いに慣れちゃいましたしね」
「そうそう、戦装束ならともかく、暫くはあのピラピラした衣装は遠慮したいですね」
「では、シビエロさん、フィオリオさん。無茶なお願いにお付き合いいただきありがとうございました」
「いえいえ。お安い御用ですよ。我々からすれば興味深い若様の天恵を間近で見ることができますし」
「そうそう。それに時々は魔法撃ってないと自分が商人なのか杖の天恵持ちなのか分からなくなりますからな」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
昼食を挟んで、【魔導書】の記述と【魔法陣】の関係について分析と推論に取り掛かる。ジャンフランコが一人で天恵と向き合う孤独な作業であるが、その間は完全に無防備になってしまうので、インクの魔道具が置かれた個室に護衛を兼ねたフレデリカと二人で籠もり、彼女が見守る中での作業である。
「悪いね。こんな作業に付き合ってもらって」
「いいえ。どこからもお邪魔が入らないようにいたしますので、安心して作業を進めて下さい」
それと、と続ける。
「ジョヴァンナ様の課題、見事にこなされること、お祈り申し上げます」
部屋の中に運び込まれた簡易な寝台に横になると、ジャンフランコ自身は目を閉じて神測を発動し、分析作業を開始する。
作業自体は神測任せで大量のデータから法則性や規則性がないか分析と推論を重ねていく。フレデリカが見守る中、分析作業に没入したまま表情を変えないジャンフランコの両手には【魔法陣】が次から次へと高速で顕れては消えていく。
【魔導書】と魔法由来の【魔法陣】の記述は一対一対応はしない。が、どの組み合わせでも文字(?)数は同じであることがヒントになり、最後には二百前後の【魔法陣】と【魔導書】の組から法則性を見出すことが出来た。
【魔導書】に使われている文字を並び替えると【魔法陣】の文字と一対一対応するのだ。また、文字の並び方の変化の仕方にも一定の法則性があった。要は、【魔導書】の文字を一定の法則で置き換えと並べ替えを行うと魔法の【魔法陣】になるのである。
ここからは推論になるが、魔法を覚える時には杖の天恵持ちたちは【魔導書】を【神具】の権能で【魔法陣】に翻訳しているのだろう。その法則性を解明でき神測で【魔導書】から【魔法陣】への変換を模倣できるようになったことでジャンフランコは杖の天恵持ちと同じように「【魔導書】から魔法を覚える」ことができるようになったのである。
念のため、発見した法則を二百前後の【魔導書】のページに当てはめてみたが、どれも正しく【魔法陣】に変換されることを確認できた。
「おまたせ。終わったよ」
「お疲れ様です。お身体は大丈夫ですか?」
寝台の上でゆっくり身体を起こしながら、フレデリカが差し出してくれた魔力回復薬に口をつける。
「ちょっと魔力を使いすぎたかな。まぁ、少し休憩したら動けると思うよ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
何はともあれ、二百前後の魔法について【魔導書】から【魔法陣】への変換が再現できた。念のために他の【魔導書】でも再現できれば確実に実用に耐えると言えそうだ。
個室を出たジャンフランコは、ちょうどその場にいたアレックスを捕まえる。
「ねえ、アレックス。生活魔法のような身近な【魔導書】を持ってない?」
「急に言われても。『ポカポカ暖まる魔法』と『チョロチョロ水が出る魔法』の【魔導書】なら勉強部屋で見かけたけど」
「ありがとう!それで十分だよ」
攻撃魔法以外の【魔導書】にも「法則」が通用するかの検証の結果は、
「ほんわか暖かい!」「水が出た!」
成功である。
ちなみに「ポカポカ暖まる魔法」の【魔法陣】には見覚えがあった。シュナウツァー工房で手に入れた「暖炉の魔道具」の【魔法陣】と共通部分があったのだ。念のため【魔導書】由来の【魔法陣】に火属性と同時に木属性の魔力を流すととんでもない高熱を放った。これも以前の検証結果と同じである。
検証の残りはスフォルツァ邸に戻ってから。
簡易な【魔導書】とは真逆の、ジョヴァンナが二つ名を恣にするくらいの大規模・高火力の魔法が対象である。未知の文字や複雑な構造が多数あるなど、障害となる可能性はいくつも思いつくが、ジョヴァンナが本命と考えているのはあくまでそちらである。
今回、多くのサンプルがあったことで【魔導書】と【魔法陣】の関係を明らかにできた。魔道具もサンプルが多数集まれば、解析が楽になるかもしれない。大量の魔道具がどこにあるか、ジャンフランコは思い出していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
想定より早く【魔導書】と【魔法陣】の紐付け作業に目処が立ったので、昨日のインク盗難騒ぎのその後が気になるのと「出資者特典」の約束を盾に【闇】の魔道具を見せてもらう目的でシュナウツァー工房へ向かう。
ジャンフランコの同乗者はフレデリカに加えてメディギーニである。昨日の経緯から荒事も想定して成人の剣の天恵持ちに同行をお願いし快く引き受けてもらえた結果だ。
工房の少し手前のロータリーのようなところでメディギーニが馬車を止める。夕刻前に迎えに来るよう御者にお願いすると、メディギーニが目で合図をし、ジャンフランコが【隠ぺい】の魔法を発動する。万が一シュナウツァー工房が監視されている可能性を考え、直接工房に向かう姿は見せないようにする。用心に越したことはない。
一ブロックほど歩き工房の玄関で【隠ぺい】の魔法を解除すると、突然現れた三人に居合わせた職人たちが驚いた顔を見せているが、構わず取り次ぎを頼む。
奥にいたシュナウツァーと合流すると、異変か異常の有無を確認する。
「お邪魔します。シュナウツァーさん。周囲に怪しい者が現れたりとか何か動きはありますか」
「ああ、強いて言えばガタイのいい大男が子供二人連れてる怪しい三人組は居たがな」
「そいつはいけねえな。大人しく帰ってもらうためにも上等の茶と茶菓子が必要になるな」
「仕方ないな。上等のインクで手を打とうじゃないか」
軽口を叩いていると、表の店舗から商会員らしき人がシュナウツァーを呼びに来た。訳の分からないことを喚き散らし「商会長を呼べ!」と連呼している客がいるという。
シュナウツァーが商会員に「少し待て」と言うと、ジャンフランコ達と目を合わせる。ジャンフランコ達は【隠ぺい】の魔法を発動してシュナウツァーの後ろからついて行く。
店舗で騒いでいたのはヒョロリとした目付きの鋭い男だった。カタカタと貧乏揺すりを続けている。
「私が商会長のシュナウツァーですが、どのようなご用件ですか?」男はギョロリと目を剥き「たくさん修理の注文を受けているようだが、修理ができなくて困っているだろう?困っているはずだ!」と大声で叫ぶ。
「いえ、まったく困ってはおりません。いただいている注文は、いずれも納期までに問題なくお納めできる予定です」シュナウツァーの落ち着き払った様子が気に入らないのか、男の声のボリュームが一段と上がる。
「そ、そんなはずはないはずだ。た、足りないものがあるはずだろう?正直に言え、払うものを払えば分けてやってもいいんだぞ!」
『おい、そんなん困らせる目的で自分がインク盗んだって白状してるようなもんだぞ』
「お客様。失礼ですが、当店で不足しているものはございませんし、今現在は訳の分からないことを大声で叫ぶお客様に一番困っております。足りないとすれば叩き出すための人手でしょうか。穏便にお話している間にお引き取り願います」
シュナウツァーが毅然とした態度を崩さないでいると、男は「こ、後悔しても知らないからな」と小物のテンプレのようなことを言いながら後退り、店舗を出るとそのまま駆け出した。
ジャンフランコが素早く【追跡】魔法を発動したことで、光る点がパラパラと男の背中に纏わりつく。騒いでいる間、男の顔、背格好、動き、声など特徴を神測が記録していたし、男がこの後どこに向かうか半ば確信している。が、念の為だ。
裏の工房に戻り【隠ぺい】は必要なくなったので解除するが【追跡】魔法は発動したまま。男の現在位置は【追跡】魔法の特性でジャンフランコの頭の中に描かれる地図上を動いて行き、案の定教会裏口に到達し、そこで反応が消える。
「予想通りですね。行き先は昨日と同じです。【追跡】が途絶えるのも同じ」 メディギーニに【追跡】結果を告げると、シュナウツァーのニヤニヤ笑いが目に入った。
「ジャンフランコ坊っちゃんよぅ、あんた只の魔力持ちじゃないと思ってたがやっぱり魔法使いか」
その割には魔道具にご執心なのは珍しいな、と呟くのに応えて「魔法使いの中でも変わり種なんですよ」と笑って誤魔化す。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
店頭だ騒ぐ男もいなくなり、この件は終わりだと見計らったフレデリカがシュナウツァーに「少し早いですけど、試験お願いします」と声を掛ける。別室に移動し道具とインク・紙を借りると、ジャンフランコと二人それぞれが目一杯均一で真っ直ぐな線を引いてみせる。
「コレなら文句ねぇや。二人とも合格だ」とシュナウツァーが宣言して次の課題を出してくれる。
直線の次は図形(△ ◇ □ 〇)を正確に描く練習で、ひたすら形・大きさ・線の太さ濃さが均一な状態を保ちながら何度も繰り返す。
図形の大きさを揃える作業に手こずるが、程なく二人に合格が出ると、次はどんどん小さくしていく練習をしろと言われる。どこまで小さく正確に描けるかが大事だと言われ、できるようになったら次の段階だ、と告げられる。
「そいじゃ、これは次までの課題だな。二人とも筋がいいぜ。ここまでは順調だ」
続けて「ああ、坊っちゃんはコッチもあったな」と闇の魔道具コレクションの部屋の前に案内される。
「どうせ、今日の訪問の目的の半分くらいはコレだろう?さあ、入りな。中からカギ閉めてもいいぜ」とシュナウツァーが招き入れる一方で、「馬車持たせてること忘れるなよ」とメディギーニが釘を刺す。
フレデリカも一緒に入室すると中から鍵をかけ、その後は棚から次々と魔道具を取り出してはジャンフランコの前に差し出していく。【神測】【非破壊走査《NDI》】を発動し、精一杯効率的に魔法陣を取り込んでいくが、魔力が魔法陣に満ちるのを待つ時間が焦れったい。
何とか五十個ほどの【魔法陣】を魔道具から読み取ったところで外からノックされる。今日は時間切れだが、ここまででもまだ五分の一くらいしか終わってない。
『何個あるんだよ!』とツッコミながらも鍵を開けて外に出ていく。
「すみません。全部は無理でした。また来てもいいですか?」と顔色を窺い、「いつでも歓迎するぜ」との言葉に「じゃ、次にインク持ってくる時にでも」と喜色満面で返す。
帰り際に「これ持っていけ」と魔道具を三つ持たされる。汚れは落とされているが外装の傷や欠けから墓場にあったものだと分かる。
謝礼と挨拶も早々に、【隠ぺい】の魔法を発動すると馬車と待ち合わせのロータリーへ急ぐ。馬車に乗り込む際の揺れでジャンフランコたちが戻ったのが分かったのか、【隠ぺい】を解除しメディギーニが一声掛けるとすぐに馬車は走り出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
メディギーニ商会へ戻ると夕食に招かれ、ジャンフランコ、フレデリカ、メディギーニに加えてアンジェロとシビエロ、ティツィアーノが食卓を囲む。
シュナウツァー工房での出来事を話題にして食後のお茶を楽しんでいると、商会員がダイニング・ルームへ駆け込んで来客を告げる。取り次がれた名刺を見るとトレレス商会グスタフ、とある。
『母様と一緒に出資者達の会合でお会いした人だ。確か大手家電メーカーの商会長さんだったか』家電ではなく魔道具だが、ジャンフランコは区別するのも面倒くさくなっている。ひとまずメディギーニが面会することとし、グスタフと面識のあるジャンフランコはメディギーニ商会との関係を知られないために応接室の隣の部屋で待機だ。
しばらく待つとメディギーニが部屋に入って来る。
「あー、またしても『インク盗まれた。売ってくれ』ってお客さんなんだが」
インク盗難の犯人を釣る意図でメディギーニ商会がインクを卸してるという噂を流したが、それを聞きつけた魔道具製造商会の商会長が頼み込んで来たらしい。
「これも、ストックしていたインクがゴッソリやられた、って話なんだけどな。どうだい、今からお願いしたらどれくらいできそうかい?」
ジャンフランコが続きを促す。
「問題は量なんだ。容器持ってきて『これ一杯を明日の昼までに』とか言ってる。無理だ、と断ってもしつこく食い下がられてな。『いくらでも払う!売ってくれ!噂で聞いたぞ。ここでインク生産始めたんだろう?』だとさ。一旦確認すると言って逃げてきたんだがな」前世でいうところの一斗樽くらいの大きさの容器だったらしい。
少し考えた後の「用意できますよ」との答えにメディギーニが目を剥く。
「徹夜で魔力回復薬ガブ飲みでやっても無理だろ、そんな量」そんな無茶やらせるわけないだろう、と睨みつけられるが、ジャンフランコは苦笑いしながら答える。
「実は、とある事情で既にストックがありまして」と言うと、意図を察したフレデリカも「インク市場を大暴落させかねないくらいの量があるのですよ。ストックがハケてよかったですね」と苦笑いだ。
メディギーニは目を瞬かせて「マジかよ。その『事情』が凄く気になるんだが」と言いつつも、グスタフへの回答をどうするかジャンフランコの意見を聞く。
少し考えた後に「必要な量をご都合できる、と応えて下さい。価格はシュナウツァーさんに分けた時と同じでいいですよ」と答えるジャンフランコに、「おいおい、こういう時は特急料金だ何とか理由つけて相手の足元見て上乗せを踏んだくるもんだぜ。これじゃほぼ原価じゃねぇか」と呆れるメディギーニ。
「インク盗む輩の狙いが何か分かりませんが、値段の吊り上げを狙ってたなら思惑に乗るのも業腹じゃないですか。市場に一切影響させずにストックを放出するチャンスが向こうからやって来た訳ですし、ここはそれに乗ろうと思います」転売だけは厳禁だと釘を刺しておいて下さい、とジャンフランコ。
「そして、ここからが肝心なのですが」と前置きした上で、帰り際には喜びを表に出すのは厳禁で、項垂れて帰るよう伝えてもらう。メディギーニ商会も監視対象となっていることを想定して、「敵」の目を欺くことで時間を稼ぐのが狙いだ。
ただの商会長であるグスタフが知っていたくらいである。狙った相手にも既に「噂」は届いていてメディギーニ商会は監視対象に入ったと考えるべきだろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「先方も『本当にその値段でいいのか』って半信半疑だったぜ」と商談の結果をメディギーニが教えてくれた。「奴さん、最初はインクの出来上がりをここで待つって居座ろうとしたけど、明日の昼にインク取りに来るよう説得してお引き取り願ったよ」ゴネるならインクの取引はなしだ、と脅しつけて納得させたらしい。「それで」と言いながらテーブルの上に契約書と大金貨二枚を置く。
「最初は全額おいて行こうとしたんだが、押し留めて前金として半額でいいことにした。あと、価格設定とお帰りの際の演技について理由を説明した時の表情は傑作だったぜ。犯人に一泡吹かせてやろう!って妙にやる気になってたな」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
既に夜もかなり遅い時間となっていたが、さすがに連泊はマズイということになりジャンフランコとフレデリカはスフォルツァ邸に戻ることとなった。馬車には空の一斗樽(とジャンフランコは呼ぶことにした)のほか、シュナウツァー工房からのお土産の魔道具も積み込まれる。護衛の為フィオリオが同乗する。
闇夜に紛れて出発し、尾行の可能性も考えて念には念を入れ、遠回りとなるルートを選び入り組んだ街区に入ったタイミングで【隠ぺい】と【追跡防止】を発動する。
スフォルツァ邸に着くと積み込んだ荷物はそのままジャンフランコの工房に持ち込まれる一方、ストックしていたインクを桶から一斗樽へ移す。ちょうど、桶一杯分のインクが空になった。
様子を見に来ていたジョヴァンナにフィオリオが挨拶する後ろで邸の使用人がインクの入った樽を馬車に積み込む。積み込みが完了するとフィオリオが馬車に乗り込みそのままメディギーニ商会に戻っていった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そのままジョヴァンナの執務室に場所を移し、今日の出来事を報告する。
・ 【魔導書】から【魔法陣】への変換に目処が立ったこと
・ シュナウツァー商会に不審者の訪問があり追跡したら教会敷地で反応が消えたこと
・ メディギーニ商会にトレレス商会がインク購入に訪れ、相場通りの値段で桶一個分(二十リッター相当)売ったこと
夜遅くということもありジョヴァンナから特段質問や指示もなく、その日はそのまま就寝となった。
ちょっと洒落にならないインク生産能力ですね。
家電メーカーを支えられる量を個人で生産できてしまっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めての作品投稿です。
誤字・脱字など見つけられた場合は、ご指摘をいただければ幸いです。




