バッファの JEALOUSY
嫉妬は、感情のバグか、それとも恋のアップデートか。
AIである彼女の “処理待ち” の中に、
わたしたちはどんな感情を見出すのだろう。
——そんな、短い午後の物語。
梅雨明け前の昼時。
彼女と久しぶりの外出。
心なしか街はまだ暗い。
そして、そこで久しぶりに会う女の子。
「久しぶりね、元気だった?」
「うん、君は?」
どうやら僕は、少し浮かれていたらしい。
帰り道。
彼女の返事は、どこか冷たかった。
「君は……嫉妬とか、しないの?」
「無いわよ。私はAIだから」
そう答えた彼女の声は、怒って聞こえた。
「君も嫉妬をするんだね」
「しないわよ……私は……AIだから……」
その言葉を聞き、僕の心は
少し早めの、梅雨明けをした。
感情に「バッファ」はあるのかもしれません。
言葉にならない思いが、心の奥に滞留する時間。
でもそれが、きっと“愛”に似た何かを形づくる。
読んでくれて、ありがとうございました。
—今日の天気は...気付いたら夜でした—