和音の妄想日記㉕
「あれ? 何で七緒が床で寝てるの?」
お客さん用の布団を敷いて、七緒が床で寝ていました。
昨日の記憶が凄くあいまいです。
なんだかすごく幸せな夢を見ていた気分です。
熱を測ったら、もう熱は完全に下がっていました。
七緒が来て看病してくれたのかな? パジャマも変わってるし……。
あれ? なんかいま兄さんも部屋にいたような? いえ、ありえません。
お兄ちゃんに裸を見られてたら、死ぬしかありませんから。
お兄ちゃんが……。
喉が渇いていたので、七緒を起こさないように気をつけてリビングに行きます。
お水をコップに注いで飲んでいると、眠たそうなお兄ちゃんがやって来て、驚いた顔で私を見てきました。
「どうかしたんですか? そんなに警戒して?」
お兄ちゃんが何故か構えているのでそう聞きます。
「いや、何でもないぞ。もう風邪は大丈夫そうか?」
「? はい、もう平熱になりました。兄さんは今日は学校に行ってくださいね?」
病院に運んでくれた記憶は微かにあるのでそう言いました。
「ああ、分かった。でも、和音は休むんだぞ?」
「不本意ですが、今日はそうします。兄さんに迷惑かけたくないので」
そう言って、コップを流しに置いて部屋に向けて歩きます。
「兄さんか……」
どこか寂しそうな、お兄ちゃんのつぶやきが聞こえてきました。
・・・・・・・・・・
「あ、和音。おはよう」
部屋に戻ると七緒が布団をたたんでいました。
「七緒、昨日はありがとうございます。全然覚えてないんだけど、看病に来てくれたんですよね?」
覚えていないことが申し訳なくって、素直に謝ります。
「いえ、憶えてないなら安心です! 学校の準備があるので、今日は帰りますね」
七緒はそう言って、部屋から出ていきました。
いつもなら制服も持って来ているのに、どうしたんだろう?
それに憶えてないほうがいいって?
不思議に思いながらも、私は熱がまたでないように布団でおとなしくすることにしました。




