第三十八話
何だか幼くなったような様子の和音と帰宅した俺は和音を部屋に寝かせて、お願いされたオムライスを作っていく。
そのとき電話が鳴った。
『あ、先輩。和音大丈夫そうですか? 何かお手伝いをしましょうか?』
「ああ、ありがとう。でも大丈夫だ 和音もただの風邪だから二、三日でよくなるよ」
『そうなんですね……。良かった~。ところで、 なんだか嬉しそうな声ですね? 何があったんですか』
「ああ、和音が甘えてくれたんだよ」
『先輩、それは気持ちの悪い楽しみ方ですね』
「なんでだよ。久しぶりに甘えてくれて嬉しいんだよ」
「まぁ、風邪ですしね。でも、和音に変なことをしたらダメですよ?』
「変なことってなんだよ。でも、和音を心配して電話してくれて、ありがとな」
『いえいえ、それでは~」
七緒も気を使ってくれたのか、冗談をやめて早めに電話が終わる。
「手早くオムライスを作って、和音の部屋に運ぶ。
「あ、お兄ちゃん! 早く早く」
和音はベットに座って布団をポンポンと叩く。
「どうしたんだ?」
ベットのふちに腰掛けて聞く。
「違う、お兄ちゃんは私を膝に乗せないとですよ!」
なんだろう、和音のテンションがおかしい。
「ああ、悪い」
驚きながらも和音を膝に乗せる。
「はい、食べさして」
下手に何か言う方が、変なことになりそうだな……。
機嫌を損ねないために、俺は言われたように食べさせてあげる。
「うん、おいいし。お兄ちゃんは、料理もできて完璧ですね」
「そんなことないと思うけど……」
パクパクと俺が前に差し出したオムライスを和音が食べてくれた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん。プリンは?」
オムライスを食べ終えた和音がワクワクしながら聞いてくる。
「今冷やしてるから、先に体拭こうな? 準備してくる」
「う~、すぐに戻って来てね」
頬を膨らませてそう言ってくる和音は、メチャクチャ可愛かった。
タオルとお湯のはいった桶をもった俺を苦しめたのは和音の一言だ。
「早く拭いてお兄ちゃん?」
パジャマの上着を脱いで、下着姿の和音がそう言ってきた。
白い肌に可愛らしいピンクのフリルのブラジャーが視界に入ってくる。
「いや、それはダメだろう! 自分で拭きなさい」
和音はしゅんとした顔でうつむいてしまう。
「私は気にしないよ……。どうしてダメなの」
ダメだ、こんな庇護欲をそそる顔をされたら――
「スト――――プ!!!!」
唐突の大声に、俺は驚いてドアの方を見る。
そこに立っていたのは、肩で息を切らし七緒だった。
「七緒? どうしてここに?」
「先輩がピンチになると思ったので、来ちゃいました」
「邪魔しないでよ、おっぱい魔人」
和音の口から飛び出した言葉に、俺笑ってしまう。
「な、なんですか! 親友に向かって~。てか、先輩この可愛いロリ和音いったい?」
「風邪のせいなのか、幼児退行してるみたいなんだ」
「なるほど、よくわかりませんが、分かりました。とりあえず、先輩は部屋に戻っていてください」
「え? どうしてだ?」
「いや、今から私が体を拭きますんで! それとも見たいんですか?」
すごく怖い顔で睨まれる。
「あああ、そうだよな。じゃ、後は頼んだ。そういえば、冷蔵庫に作ったプリンあるから二人で食べてくれ」
俺は逃げ出すように、部屋を飛び出す。
危うく、和音の体を拭くとこだった。
七緒の乱入に、感謝だな。
そう思いながら自室に戻って、ネームを書くことにしたのだった。




